| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百三十八話 幕府その十三

「戦は続くやもな」
「本朝の外で」
「少なくとも備えは必要じゃ」
「兵は、ですか」
「それはな」
 忘れてはならないというのだ。
「実際に南蛮の者達には本朝を狙っている者がおる様だしな」
「はい、そのことですが」
 信行もいた、彼も信長と信忠を支える為に本陣にいるのだ。
「耶蘇教等を看板にしてです」
「国を乗っ取ることをじゃな」
「狙っている者もいるとか」
「フロイスは違うがな」
「あの御仁はそうしたことはです」
「考えておらぬな」
 信長はフウロイスのそうした考えを見抜いていた、そのうえでの言葉だ。
「あの者達は」
「より高いことを考えておられます」
「あくまで耶蘇教を広めるだけじゃな」
「あの御仁の考えは」
「そうじゃな。そうした者達はよいが」
「しかしですか」
「それを看板にして国を乗っ取ろうとする者達はじゃ」
 信長はその目を鋭くさせて述べた。
「放ってはおけぬな」
「断じて」
「そうした者は退けるしじゃ」
「必要とあらば」
「戦もする」
「だから魔界衆を滅ぼそうとも」
「そうした者達をどうするかじゃ」
 このことが問題だというのだ。
「それが肝要じゃ」
「そうなりますか」
「だからな」
「はい、兵はですな」
「備えておく、そして鉄砲だけでなく大砲もじゃ」
 それもというのだ。
「多く造り船もじゃ」
「船もですか」
「鉄甲船をより遠い場所に行ける様にした船を多く造りじゃ」
「そのうえで南蛮との戦もですか」
「出来る様にしておく」
 こう言うのだった。
「いざという時に備えてな」
「そうされますか」
「少なくともな」
「美麗の島にはですか」
「進む、そして何かあれば呂宋等にもな」
 美麗島からさらに南の方にもというのだ。
「行きそしてな」
「戦うことも辞さず」
「国を守ろうぞ」
「天下泰平になろうとも」
「戦のことは考える」
 それからもというのだ。
「わかったな」
「畏まりました、では」
「伊賀に進もうと」
 まずは魔界衆だった、彼等を倒す為にだ。
 信長は天下の軍勢を安土から伊賀に進めさせた。遂に魔界衆との対決の時がその目の豆に来ていた。


第二百三十八話   完


                     2015・8・4 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧