| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ヴァンパイア騎士【黎明の光】

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

非日常的な日常
  2


「ちょっと、姫羅!?」
「ごめん凛ちゃん。私学校に行くね!」



窓から差し込む光から察するに、もう時間はお昼を通り越して終業間際のはず。
今から走れば今日の授業を受けるのは無理だとしても、夜間部の登校時間には余裕で間に合うはずだ。
この時間に寝間着姿で部屋にいるという事は、凛ちゃんは私のためにわざわざ学校まで休んでくれたのだろう。心配掛けて申し訳ないという気持ちが、ちくりと胸を刺した。

脱ぎ捨てた寝間着を床に散乱させたまま、まだ着慣れない黒主学園の制服に袖を通す。
きゅっと襟首のリボンを締めて、昨日暴漢に弾き飛ばされたボタンの留守を誤魔化した。



「……ねえ、姫羅!」



呼び掛ける凛ちゃんの声を余所に、私は風紀委員の腕章を掴むと焦りながら腕に装着する。
最後に自分の姿を鏡の前で確認して――うん!と意気込むと、部屋のドアを開けた。

飛び出す寸前に凛ちゃんを振り返り、顔の前で両手を合わせる。


「ごめんね、凛ちゃん!近いうちに埋め合わせするからッ!」



凛音からの返答も待たずに、姫羅は踵を返すと勢い良く【陽の寮】を飛び出した――。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧