ロックマンゼロ~救世主達~
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第21話 炎の神殿
前書き
レジスタンスベースにて小休止。
メンテナンスルームで簡単なメンテナンスとエネルギーを補給したゼロとルインは、セルヴォとドワに修理のために渡した武器を返してもらっていた。
「さあ、ゼロ、ルイン。君達の武器だ。完璧に修理しておいたぞ。」
「ありがとう…」
「感謝する…」
二人はセルヴォから手渡された武器を受け取ると、礼を言いながら念のために動作チェックをする。
セルヴォの技術力は信頼しているものの、戦闘中に何か異常があってはならないからだ。
「二人共…私は君達を信じている。だから、君達のためならどんな研究だって惜しまない。二人共、約束してくれ。絶対生きて帰ってくると。無理だけはするんじゃないぞ」
「ああ」
「ありがとう、セルヴォ」
これからは、今までの戦いとは比較にならない程に激しいことは間違いないが、二人に死ぬつもりなど微塵もない。
エックスをエルピスから助けて、生きてレジスタンスベースに帰る。
「手前味噌だが…わしらは、自分の造った武器には自信を持っておる。ゼロ君もルイン君も、自分の力を信じなさい」
「分かっている」
「うん、分かってるよ。ありがとう」
二人は部屋を出てそろそろ、司令室に向かおうとした時に通路を歩いていたアルエットと目が合った。
「ねえ、ゼロ、ルインお姉ちゃん。私のプリエとクリエ…私のベビーエルフ達、いつになったら戻ってくるの?」
「え?あ、あの…」
二匹のベビーエルフを可愛がっていたアルエットに対して、どう言うべきか言葉を詰まらせるルインに対して、ゼロは静かに口を開いた。
「ベビーエルフはエルピスと共にいる。エルピスを捕まえればベビーエルフ達も戻るだろう」
「本当?」
アルエットがゼロを見上げながら尋ねる。
「…ああ……お前はシエルの部屋にいろ。回収したエルフ達の世話をして、シエルを待っていろ。それがお前のミッションだ」
「うん」
ぬいぐるみを抱き締めながら、ゼロに言われた通りにシエルの部屋に向かうアルエットに、ルインは安堵の溜め息を吐いた。
「ありがとう、ゼロ。流石にアルエットちゃんには言えないよ…あんなにベビーエルフのこと気に入ってるのに…」
「気にするな…行くぞ」
アルエットと別れた二人は司令室に足を動かした。
そして司令室に入ると、シエルが心配そうにゼロとルインを見つめていたが、二人はネオ・アルカディアに向かう。
あそこでエックスが自分達を待っているからだ。
「シエル、私達をもう一度、ネオ・アルカディアに転送して。」
「…分かったわ。ネオ・アルカディアの第一エリア…炎の神殿ね…二人共…ここでいいのかしら?」
「うん、お願いね」
「頼んだぞ」
二人はトランスサーバーに乗り込むと、オペレーターの二人が転送準備に入った。
「ゼロさんとルインさんが、出撃されます。各員、転送準備にかかれ」
「転送準備完了…転送!!」
転送の光に包まれたゼロとルインはネオ・アルカディアの炎の神殿に向かうのだった。
「無理…しないでね…二人共」
二人の無事を祈りながら、帰りを待つシエル。
そして炎の神殿の入り口前に転送されたゼロとルインだが、こちらに気付いたパンテオンが向かってくる。
ゼロとルインは同時にセイバーでパンテオンを斬り捨てた。
「あれ?ここ、行き止まりなの?」
少し先に進むと壁にぶつかり、シャッターも何もないことに気付いたルインは周囲を見渡した。
「いや、これは前に見たことがある。」
ゼロが壁に近寄ると、柱の形をしたシャッターが開いた。
「隠し扉?」
「ああ、一年前にネオ・アルカディアで見た物と同じだ。」
中に入ると、煮えたぎったマグマがある部屋に出た。
周囲を見渡すと、罅が入った柱が見える。
「あの柱…使えないかな?」
「何か強い衝撃を与えれば崩れそうだがな」
「衝撃…あ、あの爆弾は?」
ルインが指差した先には、こちらに向かってくる爆弾型のメカニロイドがおり、あのメカニロイドの爆発の威力なら確かに壁を崩せそうだ。
しかしタイミングを外せば、自分達が爆発の餌食になりそうだが。
「私に任せて、FXアーマーのショットなら」
即座にFXアーマーに換装し、二丁のナックルバスターをメカニロイドに向けた。
「それっ!」
ナックルバスターにはルインの思い通りに動く弾を誘導する機能があり、上手くショットを操作してメカニロイドに当てると、罅が入った壁に当てる。
そして、それの繰り返しで奥に進み、シャッターを開いた。
「はあ、熱かった…」
「マグマだからな。」
部屋から出ると、再び何体ものパンテオンがやってきた。
「グラウンドブレイク!!」
ナックルバスターを地面に叩き付けると火柱が発生し、パンテオン達を飲み込んだ。
一気に進むと、再びシャッターが開き、中に入ると同じようにマグマのある部屋であった。
ルインはショットでメカニロイドを吹き飛ばしながら、確実に先に進んでいき、奥のシャッターが開いたので奥に向かうと、降りられる場所がある。
下に複数のエネルギー反応があるため、どうやらまだまだパンテオンとメカニロイドはいるようだ。
一気に飛び降りて、下にメカニロイドをゼロはZセイバーで、ルインはナックルバスターで破壊していく。
「フンッ!」
パンテオンの盾をチェーンロッドで奪い、ルインがダッシュで距離を詰めて、メガトンクラッシュで殴り飛ばす。
「喰らえーっ!」
ショットを連射し、メカニロイドやパンテオンを一体一体確実に撃破していく。
そして二人は不安定な足場を物ともせず、ルインはHXアーマーで、ゼロはダッシュジャンプで一気に進み、そして壁を駆け上がるとシャッターがあった。
道を塞ぐパンテオンやメカニロイドを薙ぎ払いながら、シャッターを潜り抜け、中に入った途端に下からマグマが上ってくる。
二人はマグマに落ちないように、すぐさま上に移動する。
「扉だよゼロ!!」
何とか脱出して奥の方を見遣ると、パンテオンに守られたシャッターがあり、それを守るパンテオンをルインがダブルセイバーで斬り捨てる。
そして潜り抜けると、真下にあるシャッターが開き、二人はそのまま落下して地面に着地した。
「随分広い所に出たね」
ルインが呟いた直後にファーブニルが向こう側から姿を現した。
「よう、ゼロ、ルイン。エルピスを追い掛けてきたんだろ?知ってるぜ!!ダークエルフだか何だか知らねえが、あんな奴、ハルピュイアに任せといてこっちは、こっちで楽しもうぜ!おらああああっ!!行くぜーーーーっ!!!」
ファーブニルの全身を光が包んでいく。
光が収まった時には、ファーブニルは今までの人型ではなく、戦車を思わせるメカニロイドのような姿になっていた。
「へ!?何その姿は!?」
「こいつが俺達四天王のパワーアップ、アームドフェノメノンだ!今の俺のパワーは前の時とは比べ物にはならねえぜ!!」
「確かにパワーはありそうだね…」
かなりの巨体だし、確かにレプリロイドの姿の時よりかなりパワーが上がっていそうだ。
「ファイアショット!!」
ファーブニルが前進するのと同時に二人目掛けて巨大な火炎弾が砲門から発射される。
「うわっ!?」
「くっ…!」
あまりの熱量を誇る火炎弾に、ルインとゼロは咄嗟にかわす。
パワーアップしただけあって火炎弾の威力が人型の時とは比較にならない。
「燃え尽きろ!ヴァイタルバーナー!!」
火炎弾の次は砲門から火炎放射を繰り出す。
「っ!!」
「チッ!!」
咄嗟にゼロが前に出て、シールドブーメランを展開することで火炎放射を何とか受け止められたが、ゼロは膝をつく。
「大丈夫、ゼロ!?」
「ああ…だが、シールドブーメランでは完全には防げない。距離を取るぞ」
二人は距離を取ってゼロはバスターショットを引き抜いてサンダーチップを起動させると、武器に雷属性を付加させる。
ルインもセイバーを同時にチャージする。
「プラズマビット!!」
「そこだっ!!」
電撃弾とチャージショットがファーブニルに同時に直毛する。
「ぐっ、やりやがったなっ!こいつを喰らって吹っ飛びやがれぇ!ブラストボム!!」
砲門から爆弾を発射した。
ゼロとルインはそれをかわしながら攻撃していくが、あまりにも装甲が固いために、碌にダメージが入らない。
「ファイアショッ…」
「これ以上はさせないよ!!」
ZXアーマーに換装し、火炎弾発射寸前の左上の砲門にチャージショットを叩き込み、チャージショットを受けた砲門が爆散した。
「うおっ!?」
「旋牙突!!」
ゼロも隙を突いて、ダッシュ突きで右下の砲門に帯電したセイバーを突き刺す。
今のファーブニルの攻撃は四つの砲門から放たれるため、つまり砲門さえ潰せば、攻撃出来なくなるはずだ。
左上の砲門に続いて右下の砲門も潰れた。
「やってくれやがったな…けどよ、まだまだこれからだぜ!ファイアショット!ヴァイタルバーナー!!」
砲門を二つも潰されてもファーブニルの闘志は衰えず、残った砲門から火炎弾を発射し、火炎放射を繰り出す。
「弱点さえ分かれば、怖くないってね!喰らえーっ!!」
高い貫通力を誇るソニックブームを放って三つ目の砲門を潰し、ゼロもチャージショットを最後の砲門に放ち、それを潰した。
「チッ…!」
「砲門は潰した。お前にもう勝ち目はない」
ファーブニルのアームドフェノメノンは、火力と装甲を重視しているために機動力は人型の時より劣っている。
小さな火炎弾は辛うじて撃てるようではあるが、それではゼロとルインには勝てない。
「ふ、ふざけんな…っ!俺はまだ負けてねええええええええ!!」
壊れた砲門から火炎弾を乱射したが、ゼロとルインは容易くかわした。
「オーバードライブ!…この状態でこれを使うのは消耗が激しいけど…仕方ないか!プラズマサイクロン!!」
オーバードライブで強化された電磁竜巻がファーブニルに炸裂した。
「ぐおおおおおお!!?」
電磁竜巻を受け、ダメージを受けすぎたためにファーブニルの巨体が爆発し、煙が晴れると元の姿に戻ったファーブニルが膝をついていた。
「ッキショーーーーッ!!何だよーーーー!!何でパワーアップしても、おめえらに勝てねえんだ!!あっ…諦めねえぜ…いつか…必ずおめえらをぶちのめしてやるからなーーーっ!!覚えてやがれ、この野郎ーーーっ!!!」
言いたいことを言ってから転送の光に包まれたファーブニルはこの場から去った。
『座標軸セット完了…。これでいつでも、ここへ戻れるようになったわ…一度ベースに戻ってきて…お願い…二人共』
「「了解」」
ゼロとルインもエネルギー補給などのためにレジスタンスベースに一時帰還するのであった。
「ゼロさん、ルインさん。帰還します」
「転送完了まで…2…1…転送!!」
トランスサーバーにゼロとルインが出現し、シエルが二人を出迎えた。
「転送終了しました」
「ゼロ、ルイン。二人共、お疲れ様。無理だけはしないでね…あなた達がいなかったら…私…」
ネオ・アルカディアの炎の神殿から戻ったゼロとルインを気遣うシエル。
もう、シエルにとってはゼロとルインは欠かせない存在になっていることがよく分かる。
それは二人にとっても同じことであるが。
後書き
ファーブニル第2形態撃破。
ファーブニルの第2形態は本当に弱いです…。
人型の方が強いんじゃないでしょうか?
まあ、ゲーム的には弱くても、ファーブニルの長所である火力を伸ばしているため、設定的には強いんでしょうね、設定的には。
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