IS〜もしもの世界
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
40話
「ふいーただいまー」
と部屋のドアを開け、誰もいない空間に向かって返事をする。何故か生前の癖でこれだけは決まって言うのだった。
「ん〜やることないし武道館でも行くか」
とブツブツ独り言を呟きつつ、ドアを開けると
「やっほー」
「どうしたんすか楯無さん?」
「そろそろ、拒絶されて絶望に打ちひしがれていそうだなと思ってね。私が慰めにきたのよ」
「?別に何ともないですよ。あ、あとなるべく楯無さんのこと出さないでって言ってたんですが今日言いました。ハイ」
「えっ⁉︎ちょっと大丈夫だったの?」
「?ええまあ。こうしてピンピンしてますし」
不思議な顔で俺を見つめてくる。だが正気に戻った楯無さんはあるものを見せてきた。
「んー。まあいいわ。シュークリーム買ってきたから、一緒に食べましょう?」
「おお!いいですね。そうしましょう!」
と俺は飲み物を用意しつつ訪ねる。
「そういえば、なんで楯無さんが簪さんと組まないんですか?」
「うっ!そ、それは・・・」
と何故か言いにくそうに黙るので、
「そうゆうことですか。なら仕方ないですね」
とカマをかけてみる。と、
「えっ⁉︎いまのでわかったの⁉︎」
「ええ、まあ」
「・・・ふう、なら仕方ないわね。ええそうよ。私達、仲が悪いのよ。何か簪ちゃんが負い目を感じてるのかずっと疎遠でね・・・」
「なるほど。だからああやって整備室に閉じこもってたのか。合点が行きました。」
「・・・そうね」
と背中越しでも分かるしてやられた感を出す楯無さんに紅茶をだす。
「ん、ありがと。最近虚ちゃんに迫る上手さじゃない?」
「そうですかね。さて、本題に戻りますがどうやら簪さん一人でISを作ってる様なんですよ。どうにかならないですかね?」
「うーんやっぱり私が一人でISを組み上げたのが原因かなぁ」
「・・・一人でっすか」
「ええ。まあ七割方くんであったからなのよ」
とことん規格外な人だと思い知らされる。束さんにはどうしても負けてしまうが。
こうして結局雑談で1日を過ごしてしまうのだった。
ー1週間後ー
あれから結構仲良く?はなったのだがまだ決定打には至らないらしくたまには放課後を鍛錬に費やしたかったので武道場で居合の鍛錬をしている。
「・・・ふっ!」
バシン!と竹刀と巻き藁がぶつかる音が響く。流石に竹刀じゃあ叩き折るのは出来ないか。まず竹刀が折れる。
「さーて次は「・・・」ん?」
何故だろう。誰かの視線を感じる。
「・・・こん、にちは」
「ああ、簪さんかこんにちは。どうしたの?珍しいねそっちから声をかけてくれるなんて」
「気分、転換・・・」
「そっか。やっぱり大変なんでしょ?」
「うん、少し分からなくて・・・」
「やっぱり無理があると思うんだよなー。まあ楯無さんを超えたいって気持ちは分からなくもないけどさ。」
「っ!」
図星なのかそのまま押し黙る簪さん。
「なんでも一人でやろうとすると簪さんが壊れちゃうよ?やっぱり分からないところは頼らなきゃ」
「・・・そう、なのかな?」
と少し涙ぐんだ声で喋るので慌てる俺。
「ああ、ごめんごめん。別に責めてるわけじゃないんだ。誰だって欠点はある。あの会長でさえあるものだろ?」
「わか、らない。いつも見てきたお姉ちゃんは完璧だった・・・」
「・・・それはね。簪さんにいいところを見せようと楯無さんが頑張るから、そう見えるんだよ?」
と慰めになるかわからないが頭を撫でる。
「・・・・・」
「それに言ってたけど楯無さんだっていっぱい分からないところは人に聞いてたって言ってたし。それとこれとは別だけど楯無さんを超えるのはやめろって訳じゃないよ?超えるために他の人にもっと頼っても良いんじゃないってこと」
と言うと落ちついたのかいつも張り詰めていた顔が少し和らぐ。
「俺が言えるのはそれだけかな。じゃあ俺はお暇するよ。あとタッグのことなんだけど「いいよ」へ?」
念押しにと言おうとしたつもりだが、気のせいかokと言われた気がする。
再度決意を固めた目でこちらを見るのでもう一回だけ聞く。
「えーっとつまり、タッグを組んでくれるってこと?」
そう言うと頷いて、
「お姉ちゃんを超えるため、に、まずあなたから頼っても、いい?」
不安げに問いかけてくる簪さんに苦笑しつつ、
「ははは。もちろんその為に俺は苦労してきたんだよ?」
と、また頭を撫でると気持ちよさそうに
「う、ん」
といい、少しの間喋ったあとそれぞれ寮に戻った。
後書き
結構短いですがすぐに次出すので許してください(´・ω・`)
ページ上へ戻る