おぢばにおかえり
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第十九話 夏ですその五
「そういうのはまずいないわよ」
「東映の特撮の悪役でもいないわよ」
「そう、やっぱり」
「刑事ドラマのチンピラでもそんなのはねえ」
「ねえ」
寮の娘も多いですけれどテレビのお話になります。やっぱり皆テレビに餓えています。なお寮にいるとテレビはないです。一年の時は携帯も駄目です。見つかったら没収です。十年以上前はそもそも携帯電話自体がなかったんですけれど。
「そういうのが学校の先生やっていたら怖いわよ」
「北朝鮮の強制収容所じゃないんだから」
あの国の非常識さって男の子がよくネタにしています。中にはあのいつも出て来ている痩せたおじさんやピンクのチマチョゴリのおばさんの真似をする子もいたり。韓国語かしら、って思って聞いていたら普通にそう聞こえる言葉を言っているだけでした。けれどもそっくりでした。時々日本語の訳をあの口調で言って真似をしています。それにしても何でいつもあのおじさんかおばさんなんでしょう。顔覚えてしまいました。
「仮面ライダーで言うとあれじゃない。怪人になってすぐにやっつけられるタイプ」
「所謂三下?」
「先生で偉いかも知れないけれど人間としてはそうよね」
私もそう思います。
「そういうのに限って威張ってるけれどね」
「そうよね」
井上敏樹さんの脚本でも出ないようなとんでもない人が先生に多いのが不思議です。信者さんの中にはマスコミと学校の先生と学者はどんな人間でもなれる、って仰る方がおられます。そういうお話を聞くとそれは性格に問題があるって意味なのかしらと思います。
「この高校はそういう先生がいないのが助かるわ」
「セクハラとかしたら最悪」
「もうそれ問題外」
可愛い娘、奇麗な娘が多いんで。これは本当に心配です。
「すぐにクビにして欲しいわよね」
「公立だったらそうそう簡単にはクビにならないらしいけれどね」
「それおかしいわよ」
おかしいことって世の中には一杯あるかも知れないですけれど特にそう思います。
「何でクビにならないのよ。っていうか」
「普通警察よね」
「そうよね。人にそこまで暴力振ったら」
まず床に背負い投げとかないです。そこまでできる人がいるってこと事態がおかしいですけれどそうした人がお咎めなしっていうのはもっとおかしいです。ひょっとして学校ていうのはそうした先生を庇えるんでしょうか。
「自衛隊とかでも普通に問題になるわしいわよ」
「ああ、やっぱり」
自衛隊の話も出ました。その娘は親戚の人が自衛官なんです。
「内部にそうした人を捕まえる場所があるんですって」
「学校そうしたところないわよね」
「全然ないわね」
あまり警察も入らないですし。それを考えたらとんでもなく変な場所です。
「だから変な先生がいても何にもならないのよね」
「それ考えたらこの学校っていいわよね」
「というか有り得ない先生多過ぎ」
結論としてはそうなります。
「世の中どうなってるのよ。人を教える先生がそんなので」
「変な話よね、全く」
「ええ」
「寮の先生達ってどうなの?」
先生の話になったところで自宅生の娘が私達に尋ねてきました。
「学生寮って幹事の人がおられるのよね」
「ええ、そうよ」
「住み込みでね」
男の人であってもです。
「おられるけれど」
「女の園におられるのね」
「ああ、そんなにいいものじゃないから」
私達のうちの一人が右手を横に振ってそれを否定します。
「凄い世界だから」
「汚い部屋は凄く汚いし」
「そういうものなの」
彼女はそれを聞いて意外といった顔をします。どうも寮という場所はかなり幻想を持たれてるみたいです。実際は違うんですけれど。
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