とある3人のデート・ア・ライブ
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第八章 反転
第10話 影の手引き
前書き
あけましておめでとうございます!!今年もどうか、作者とこの小説をよろしくお願いしますっ!!
みなさんがハッピーな一年になれますように╰(*´︶`*)╯
〈フラクシナス〉艦橋に、けたたましいアラームが鳴り響く。
その音を聞いて、琴里は眉をぴくりと動かした。
琴里「何事!?」
言いながらモニターに目を向ける。
椎崎「そ、それが……」
椎崎が微かに指先を震わせながら琴里に視線を向けてくる。
琴里「どうしたのよ」
琴里が言うと、椎崎はごくりとのどを鳴らしてから唇を動かしてきた。
椎崎「か、カテゴリー・E……霊力値がマイナスを示しています……!」
琴里「なーー」
その言葉に目を見開いた。
外部の映像を見るとさらに驚くべき光景があった。
士道たちのいるビルの上部が黒く輝き、その光が放射状に天に向かって広がっていったのである。
琴里「まさか……」
最悪の事態が起こってしまった。
恐れていたことが現実になってしまった。
琴里「霊結晶の……反転……ッ!?」
ーーーー
ーーー
ーー
ー
アイク「ははははは!!!ははははははは!!!」
夜刀神十香の身体が黒く、闇に塗りつぶされるように輝いたかと思うと、次の瞬間、彼女から溢れ出た闇の粒子の奔流が強化ガラスを泥のように溶かし、隔壁のビルの窓も突き抜けて、全方位へ撒き散らしていった。
エレン「アイク、これはーー」
驚きのあまり思わず手を止めたエレンが呆然と問うてくる。
ウェスコットは募る想いを乗せ、呟くように言った。
アイク「〈王国〉が反転した。さあ、控えろ人類」
両手を広げる。
アイク「ーー魔王の、凱旋だ」
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ーーー
ーー
ー
天使、〈レミエル〉にはまだ能力がある。
それは、自動回復。
自分の意識を喪失させる代わりに肉体的な傷、疲労、さらには精神面まで治癒する能力。
本来戦いの場面では使う機会はないはずなのだが、エレンがトドメを刺す直前でどこかへ行ってしまったので自動発動してしまったのだ。
なお、〈レミエル〉には佐天自身も知らない、もう一つ隠された能力があるが、それはいずれ明かすとしよう。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
士道「なんだ、あれ……」
搾り取るような声で彼女の姿を見た。
それは明らかにおかしく、何かが違っていた。
あれは十香なのにまるで初めて会ったような感覚に陥り、変に吐き気がした。
十香「なんだ、ここは……」
そう言いながら辺りを見回した。そこは先ほどまでの白い壁はなく、全てが崩れ去り、瓦礫が自分たちを囲むように落ちていて、天井にも穴が開いていた。
そして目に付いた美九に剣先を向ける。
十香「おい貴様。ここはどこか教えろ」
美九「えぇっと、ここはDEMインダストリー社……じゃないんですかぁ?」
十香「聞いたことがないな……どうして私はここにいる?」
美九「それは、貴方が攫われたからですよー」
十香「攫われただと?誰にだ?」
美九「えーっと………そこの方じゃ……」
と言いながら美九は疑問に思いながらもエレンの方を向く。
対してエレンは十香の姿を見ながらもどこか平然としていて自然体だった。
アイク「さあエレン、君の出番だ。〈プリンセス〉を拘束しろ。我らの目的を果たすために」
エレン「えぇ、分かっています」
言いながら剣を抜き、戦闘態勢に入る。
瞬間、エレンが凄まじいスピードで十香を斬りつけるようとするが、十香はいとも簡単に受け止めてみせた。
十香「……人間どもが。まとめて消えろ」
すると、十香がエレンを上回る力で剣を振り払い、エレンを吹き飛ばした。
エレンは直ぐに態勢を戻し、吹き飛ばされ地面を滑りながらも無傷で立て直す。
その時、呆然としている士道に美九が話しかけてきた。
美九「ちょっとー!あれ本当に十香さんなんですかー?」
士道「……あぁ、十香だ。十香のはずなんだけど……」
美九「ちょっと!はっきりしてくださいよー!っていうか、貴方どうして平気なんですかぁ?」
士道「ま、まぁ……それは特異体質で……」
と、美九の問いに答えたのはそこにはいない彼女からだった。
琴里『士道、よーく聞きなさい!あれは十香が反転した姿よ!詳しいことは全てが終わってから説明するわ。とにかく今は十香をこっちに戻すことだけ考えなさい!』
士道「反転!?こっちに戻す!?どういうことだよ!」
琴里『説明はあとよ!って言ってもやることは変わらないけどね』
士道「……いつものアレをするのか」
琴里『そうよ。当麻くんにもってこの事はさっき伝えたから、二人でどうにかしなさい!』
言いながら十香の方を向く。そこではエレンと十香が凄まじいスピードで戦っていた。以前の十香なら一撃で倒されていただろう。
士道「……けど、どうやったら十香にキス出来るんだ?」
エレンが斬りつけて十香が受け止める。怯んだところを十香が反撃する。その攻防の繰り返しにはキスどころか間に入る隙もない。
しかし、一瞬の攻防の中にエレンが押され、態勢を崩す。
エレン「くっ……!?」
十香「愚かな人間ども。消えろ」
と、呟くと同時に十香の鏖殺剣が黒く輝きだした。
十香はそのまま地を蹴って空へと飛び出す。
エレン「なるほど、これならAAAランクというのも頷けます」
アイク「でも君の敵じゃないだろう?」
エレン「はい。ですが、今は少し部が悪いので身を引くのが賢明かと」
一方通行や上条との戦いの時の疲労がここでようやく現れたようだ。本気を出せば反転している十香であろうとエレンの敵ではない。
彼女の敵は、今はたった二人しかいないのだから。
だがこの時にも十香は鏖殺剣を振り上げて何かをしようとしている。
鏖殺剣は鈍く光る黒色の輝きがより一層増していき、それは剣全体を覆い尽くしている。
そして。
十香「『暴虐公』!」
振り下ろされた剣から放たれた暴虐公は、美しい黒紫色の弧を描きながらDEMインダストリー社に向かってきている。
上条「させるかよ!!」
だが所詮は異能の力。上条当麻の右手に触れれば最後、跡形もなく打ち消してしまうだろう。
上条も地を蹴って被害を早めに防ぐために暴虐公に向かって進んでいく。
当たる瞬間に右手をかざし、暴虐公をいとも簡単に打ち消し、そのまま十香の方へと向かっていった。
十香「何!?」
流石の十香も予想外だったのか一連の動作全てに喫驚した。
そして。
上条「目を覚ませ、十香ッ!!」
彼の右手が、十香の身体に触れたーー
ーーその、瞬間。
何かに吸い込まれるような感覚が二人を襲った。
上条「えっ……?」
十香「……ッ!?」
身体、力、疲労、意識さえも触れた右手に吸い込まれるような感覚に何も出来ずにいた。
その右手には光があった。
小さな光が少しずつ大きくなっていき、眩くなっていき、
やがて自分達の視界を覆い尽くした。
全てが、呑み込まれていく。
ーーやっとだねーー
意識が飛ぶ寸前に、聞いたことあるようなないような、女の子の声が聞こえたのは気のせいだったのだろうか。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
佐天「………ん?」
傷の修復が終わり、佐天の意識が元に戻った。
ゆっくり起き上がると、そこは眠る前とはまるで違っていて、かなり驚いた。
周りを見ると、美九や士道、エレンや……確かDEM社のウェスコットとか言ってる奴までいた。
しかし、四人とも首を上に上げて一点を見ているようだった。
つられて佐天もそこを見ると、そこには目を疑う光景があった。
白く大きい光が、ここを照らしていたのだから。
アレが何なのかは分からない。
でも、何となく……あの光を見て、彼女はこう思った。
佐天「………神様?」
ーーーー
ーーー
ーー
ー
学園都市、窓のないビルにて。
アレイスター「………この時を待っていたよ」
生命維持装置らしき弱アルカリ性水溶液に満たされた巨大ビーカーに逆さに浮いていた『アレイスター・クロウリー』が不思議な笑みを浮かべながら呟いた。
もう一つの計画は第一の計画を成功させるための手助けだったが、それが予想以上に狂いに狂い、ここまで長引かせてしまった。
しかし、その苦労も終わりに近づいていく。
アレイスター「君なら私の計画の立役者になってくれるはずだ。ここまできて失敗は許されないからね」
どこか焦っているように、何かに怯えているようにも聞こえるその言葉の真意を知るものは果たしているのだろうか。
アレイスター「なかなか目覚めない君の目を覚ますのは大変だったよ」
魔術を裏切り、科学への道を進んだ彼が見る先は何なのか。
アレイスター「さあ、運命の扉は開かれた。会いに行こうではないか。私の『友』に」
そして。
アレイスターが言う計画とは一体何なのか。
後書き
この小説を始めた当初から決めていた展開にやっと踏み込めました!
新展開に告いで、オリキャラが出てきます!トータル90話目にしてやっと(笑)
でも、正月終わると、また投稿するのが厳しくなるんですよね……こんなに中途半端なのに……
なんで受験ってのがあるんだよぉ(涙)
はい、オリキャラの設定を細かく考えつつ、早く受験終わらせるために勉強も頑張ります。
ではでは〜
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