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新オズの腹ペコタイガー

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第四幕その一

                第四幕  最高のカレー
 ジュリア=ジャムは朝早くから宮殿のお庭にあるオレンジを採っていました。そのジュリアのところにです。 
 恵梨香が来てです、彼女に尋ねました。
「今からですか」
「ええ、お仕事をしてるの」 
 ジュリアは恵梨香ににこりと笑って答えました。
「こうしてね」
「まだ朝早いのに」
「私いつもこうなの」
「そういえばいつも早起きですね」
「朝早く起きて働くの」
 それがジュリア=ジャムの毎日なのです。
「こうしてね」
「それで夜は、ですね」
「早く寝てるの」
「早寝早起きですね」
「少なくとも誰よりも早く寝てね」
 そしてというのです。
「早く起きてるわ」
「宮殿の中で一番ですね」
「私は姫様のお付きの侍女だから」
 メイドさんだからというのです。
「そうしてるの」
「メイドさんも大変ですね」
「いやいや、特にね」
「大変じゃないですか」
「姫様はとても優しいから。前のかかしさんもね」
「あの人は、ですね」
「そうでしょ、他の人を怒ったりしないし」
 そうした人ではありません、かかしも木樵もとても心優しいので。
「それにね」
「あの人は食べることも寝ることもないので」
「何もしなくてよかったし。魔法使いさんも」
「あの人はあの頃はずっとお一人でおられて」
「何でもご自身でされていたから」
 だからというのです。
「私は何もね」
「することがなかったんですか」
「そうなの、それで姫様もね」
「いい方なので」
「怒られたりしないし。それどころかね」
 怒られるどころかというのです。
「いつも褒めてもらってるの」
「そうなんですね」
「だからね」
「お仕事はですか」
「全然辛くないわ、むしろね」
「楽しいんですね」
「こんな楽しい仕事ないわ」
 宮殿でのメイドのお仕事はというのです。
「私はずっとここで働くわ」
「早寝早起きをして」
「そうしてね」
「そうですか、そういえばジュリアさんお疲れのことはないですね」
「いつも元気よ」
「そうですよね」
「何の不満もなくて」
 満面の笑顔での言葉です。
「この通りよ」
「それは何よりですね」
「ええ。ただ貴女も早いわね」
「今朝はですね」
「またどうしたの?」
「昨日かなり早く寝まして」
 それで、というのです。
「早く起きてしまって」
「それで起きて」
「着替えてお散歩していました」
「そうだったの」
「そうしたらジュリアさんがおられて」
「話し掛けてきたってことね」
「そうなんです」
 こうお話したのでした。 
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