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アインクラッド篇
movement Ⅰ 白き夜のクリスマスソング
蘇生の可能性
「なんだ、君は男色家だったか。」
「………ふざけたこと言ってないで察してください。」
ダンジョンで行き倒れた?キリトを背負って、シリウスにある星月夜亭の扉を再びくぐった俺を、店主はいきなり質の悪い冗談で出迎えてくれた。
「おっと、よく見たらキリト君じゃないか。どうしたんだい?」
「さあ?ダンジョンでいきなりぶっ倒れたから。」
「で、どうしろと?」
「一晩預かってくれません?俺こいつの宿知らないんで。」
そう言いつつ勝手に二階に運ぶ。ベッドに転がしておいてシエラさんに尋ねる。
「なんだか変なこと言ってたんだけどシエラさん心当たりない?」
「変なこと?」
「何かもう死んでる人の言葉を聞くまでは何とかかんとかって。」
「…………………。」
シエラさんはなんか複雑な表情でこちらを見た。
「なんだ、知らないのかい?」
「何をです?」
「クリスマスのイベントボスの話。」
「はぁ?」
十分後
「『背教者ニコラス』と“蘇生アイテム”ねぇ。」
「驚いた。君、何でこんな騒ぎを知らなかったんだい?。」
「興味なかったんで。」
「まあ、らしいといえばらしいね。」
クリスマスの夜、どっかのもみの木に背教者ニコラスなるモンスターがでる。その背中の袋には様々な宝物が入っている。と、いうのがクリスマスのイベントボスの概要だった。そして、キリトが執着する理由が………
「そう、死んだプレイヤーを蘇生できるアイテムが有るって話。」
「うーん……………。」
少し考え込む。
「ガセじゃないの?。」
「君もそう思うか?」
「も、てことは………」
「うん、大半はそう思ってる。でも彼は………。」
「可能性に賭けている、か………。」
それであんなになるまでダンジョンに籠っていたのか。
「けど、そんな大物、一人じゃ死ぬでしょう。」
「だろうね。ひょっとしたら彼は………」
死に場所を探しているのかもしれない。シエラさんの言葉が心に残った。その後は、もう一度ダンジョンに潜る気にもなれず、今の宿がある最前線の街に戻った。
「………ほっといたら、死ぬかもな。」
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