完全な自由
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2部分:第二章
第二章
「思う存分な」
「それじゃあ本当にいいんですね」
「二言はない」
また答える先生だった。
「だからだ。君達の思うままに校則を定めるのだ」
「わかりました。それじゃあ」
「ただしだ」
ここでだ。先生の言葉が強くなった。
そしてその声でだ。生徒会長に継げたのである。
「責任は取れるな」
「責任ですか」
「そうだ。責任だ」
先生は生徒会長に対して問うた。
「是非だ。そうしてくれるな」
「そんなの当然ですよ」
笑ってだ。生徒会長は軽く返した。
「自分達で決めたことですから」
「そうだな。世の中はそうしたものだからな」
「ええ。責任は取りますよ」
生徒会長はまた軽く返した。
「ですから安心して下さい」
「わかった。それではだ」
先生は生徒会長の言葉にだ。再びだ。
確かな声で答えた。こうして校長に承認、既に校長も生徒の声に逆らえなくっておりそれでだ。生徒達の要求を全て受け入れたのだった。
こうしてまずは髪型と服装が自由になった。すぐにだった。
様々な髪型に服装の生徒達が登校してきた。
「やっぱりいいよな」
「ああ、自由だよな」
「ほら、俺なんかこうしたよ」
男子生徒の一人が耳にピアスを入れていた。
「どうだよ、これ」
「俺なんかこれだよ」
他の男子生徒は鼻にピアスだった。まち針の様なそれを入れている。
「どうだよ、いいだろ」
「いいな。じゃあもっとな」
「ああ、自由にやろうぜ」
「もっともっとな」
ピアスの場所はさらにだった。臍や舌、顎にまで及んだ。
そしてだ。ピアスに留まらなかった。
「イヤリングいいよな」
「あとブレスレットな」
「それと靴もな」
「サンダルとかでもいいし」
完全にだ。高校生の服装ではなくなっていった。そうして。
教室で誰もが携帯を掛け捲りそれは授業中も行われ。
メールのやり取りが行われてだ。雑談も起き。
授業なぞできなくなった。しかしだ。
それに終わらずだ。登校しない生徒も出て来た。
「だって自由なんだろ?」
「学校に行くのも行かないのもな」
「それも自由だろ」
「じゃあ別にいいじゃないか」
「そうだよな」
自由を御旗にしてだ。彼等は登校せず朝から町で遊ぶ様になった。ゲームセンターにたむろし道端で酒を飲み挙句にはいかがわしい店に出入りする。
学校に酒を持ち込み飲む。それを見てだ。
周辺の住人達はだ。学校側に問い合わせた。
「未成年がお酒飲んでいいんですか!?」
「あの、それも校内で飲んでますよ」
「煙草も堂々と吸ってますし」
「本当にどうなってるんですか!?」
既に生徒達は彼等とのトラブルも多く引き起こしていた。それも問題になっていたのだ。
「最近深夜でも暴れてますし」
「壁とかシャッターにスプレーで落書きするんですよ」
「暴走族か愚連隊ですか?」
「校則とかあるんですか?」
「自由ですから」
あの先生がだ。苦情を言う住人達に答えた。
「我が校は自由ですので」
「あの、幾ら自由っていっても」
「幾ら何でもあれは」
「校内で不純異性交遊とか売春もやってますし」
「それが自由なんですか」
「はい、自由です」
先生はまた答えた。
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