転生とらぶる
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Fate/stay night
1191話
影のゲートから姿を現したのは、柳洞寺の境内の中。
一応、柳洞寺にいた者は全員運び出した筈だが、もしかしたら……万が一にも誰かが残っている可能性がある。
それを確認する、念の為にだ。
「スライム」
俺の言葉に従って空間に穴が開き、そこから既に見慣れた銀色の触手が伸びてくる。
召喚するモンスターじゃなく、俺の感覚器の1つといった形のスライムは、何も命令しなくても俺の意思通りに動く。
そのまま糸状になったスライムの触手は、柳洞寺の中へと入っていき先程零観から聞いた重要な書類の類が入っているという金庫をまず発見し、こっちに運んでくる。
中を開けて確認してもいいんだが、そんな真似をすれば零観からの信用を裏切る事になるしな。
スライムを使って運んできた金庫は、そのまま空間倉庫の中に収納する。
……これだけ大きな金庫が柳洞寺の中を移動しても誰も出てこないって事は、多分完全に人の姿はないんだろう。
それでも一応柳洞寺の中全てをスライムで探索し……予想通り誰も中に存在しなかったのを確認すると、安堵の息を吐いて、次は境内の中全てへとスライムの触手を伸ばしていく。
色々と慎重過ぎる気もするが、下手をすれば柳洞寺どころかこの山が丸々消滅してしまう可能性も高い。
それを考えると、慎重になり過ぎるって事はないんだよな。
ただ、もし本当にこの山その物がなくなってしまえば、恐らくかなりの謎となるだろう。
まぁ、聖堂教会から近いうちにやってくるという監督役に期待か。
hollowで出て来たカレンが来るのかどうかは分からないが。
ともあれ、スライムで周囲を探ってもどこにも人の姿はない。
……まぁ、2月の寒空に墓に誰かがいたら、それは色々な意味で怖いんだが。
もし本当にそんな奴がいたら、それこそサーヴァントとしての力を使って消滅させているんじゃないだろうか。
「さて、じゃあ……いよいよだな」
呟き、影のゲートを展開してそこに身体を沈めていく。
そして俺が姿を現したのは、大聖杯の存在する空洞の入り口。
この奥に大聖杯があるんだが、はたして言峰は姿を現すかどうか。
そう思いながら前に進んでいくと、やがて洞窟の奥の、凛達が勢揃いしている場所へと到着する。
「あら、思ったよりも早かったわね。それで、どうだった? もう柳洞寺には人がいない?」
俺の姿を見つけた凛の言葉に頷きを返す。
「ああ、全員衛宮の用意してくれた場所に運び込んだ。取りあえず、明日の朝くらいまでは大丈夫だと思う。それより早い内にこの大聖杯を破壊してしまおう。ここで迂闊に時間を掛ければ……ちっ」
瞬間、空を切る音が聞こえてくる。
殺意が乗っている訳でもないが、念動力によって感じたそれは明確な害意を持っていた。
……殺意がないのに害意があるというのがちょっと意味不明だが、そんな行為が出来る者を俺は知っている。
殆ど瞬間的な動きで、空間倉庫から真っ赤な槍……ランサーの形見でもあるゲイ・ボルクを取り出し、振るう。
金属音と共に、地面へと叩き落とされる何か。
同時に、俺以外の者達もそれぞれが即座に戦闘態勢に入る。
凛は両手に宝石を挟んでいつでも投擲出来るようにしており、綾子は前もって渡しておいた物干し竿を構える。
セイバーがエクスカリバーを持ち、ライダーは巨大釘を持つ。
イリヤは身体中の魔術回路を起動させ、髪の毛で使い魔のような存在を作り出す。
リズはハルバードを手にイリヤを守るようにして立ち塞がる。
衛宮は持っていた木刀に強化の魔術を掛けながら、桜とセラを庇う位置に移動していた。
皆の表情に浮かんでいるのは、緊張の表情。
誰がここに現れたのかを理解している為だろう。
それは、地面に落ちた物……細長い、どこかレイピアを思わせるような刺突剣を見ても明らかだろう。
これが、多分黒鍵って奴か。
そして黒鍵を使う者で、この場に姿を現すような人物は1人しか存在していない。
背後から受け取る緊張を背に、ゲイ・ボルクの穂先を暗闇に向けて口を開く。
「まさか、自分から出てくるとは思わなかったな」
「ほう……その武器はランサーの物か。形見としては、随分と良い物を貰ったようだな」
そう告げながら闇の中から姿を現したのは、やはり俺の予想通りの人物だった。
「言峰」
「……君とこうして直接会うのは初めてだったと思うが、その通りだよアークエネミー。聖杯戦争史上最悪のイレギュラーサーヴァントよ」
聖職者に相応しい服装をしているが、この男から感じる気配はどう考えても聖職者としてのものではない。
いや、それどころか魔術師としてのものでもないだろう。
そう、強いて言えば……アンデッド。
実際俺の目の前に立っているこの男は、既に死んでいる。
その身体を、アンリマユによって呪われた聖杯の泥で無理矢理動かしているに過ぎないのだ。
つまり、この大聖杯を破壊すれば、恐らく言峰を動かしている力そのものも消失する。
だからこそ、こうして出てこざるを得なかったのだろう。
「イレギュラーサーヴァントか。確かに俺の存在は本来ならなかった筈の存在だろうな。実際、俺も何でここにいるのかは分からないんだし」
「……ほう? その言い様からすると、君は英霊ではないと?」
「さて、どうだろうな。俺の素性がどうであっても、こうしてサーヴァントとして存在している。それは変わりのない事実だろう? 例え俺が英霊であったとしても、なかったとしても……それでもお前の結末は変わらない」
「確かにそうかもしれんな。だが、私としては今大聖杯を破壊されるわけにはいかぬのだよ」
「お前の命が関係してくるからか?」
俺と口からあっさりと出た言葉に、言峰の目が微かに……ほんの微かにだが見開かれる。
それはこちら側の陣営でも同じだ。いや、純粋に驚きという意味では、こちらの方が大きいとだろう。
「アークエネミー、どういう事?」
「簡単な事だ。あの言峰という男は、本来なら10年前の聖杯戦争の最後の最後で衛宮切嗣に敗れて殺されていたんだよ。だが、死ぬ寸前に衛宮切嗣がセイバーに令呪を使ってエクスカリバーで聖杯を破壊させ、聖杯の中にあった呪われた泥が零れ落ち……それを、その身で浴びた。金ぴかも一緒にな。その結果、アンデッドの出来上がりって訳だ。……違うか?」
ゲイ・ボルクの穂先を言峰の方へと向けながら告げると、さすがにこれには驚いたのだろう。先程よりも明確に驚きの表情を浮かべていた。
「……アークエネミー、何であんたがそこまで知ってるの?」
「そうです! それに私の宝具を知っているという事は……」
凛に続いてそう告げてきたセイバーの言葉に頷きを返す。
「ああ。俺はお前の正体も知っているし、何よりこの聖杯戦争の本来の行く末も知っていた。……正確には思い出したってところだな」
「っ!? あの、アサシンを吸収して、記憶を取り戻した時!?」
「正解。……ま、記憶を失っている時も、性格は殆ど変わらなかったようだしな。ああ、それともうここまで来たら、クラス名で呼ばなくてもいいぞ。本当の名前で呼んでくれて構わない。……アクセル・アルマーと」
「お、おい。いいのか!?」
俺の言葉に、綾子が焦ったように告げる。
だが、俺はそれに問題ないと頷きを返す。
「俺の名前を知ったところで、今更ここでどうにか出来る筈もないし……何より、言峰はここで消滅するんだ。それを思えば、名前くらい教えてやるさ」
「待って下さい、アークエ……いえ、アクセル・アルマーでしたか。それはいいとして、何故貴方が私の名を知っているのですか? 更には、10年前の出来事まで」
後ろから聞こえてくるセイバーの言葉に、軽く肩を竦める。
「そういう能力があると思ってくれていい。ともあれ、どうしようも出来なくなって出て来たんだろうが、ここがお前の最後の場所だ。それは理解した上で現れたんだよな?」
「……さて、どうかな。まだ何とかなる可能性もあると考えてもいいのでは?」
「この現状でか? 俺がいない状況でも凛達を襲撃しても反撃されて逃げ出したのに、そこに俺がいるこの状況で本当になんとかなる、と? そう思っているのか?」
もし本気でそう思っているとしたら、さすがに呆れる。
だが言峰はそんな俺の言葉に対し、唇の端を曲げるだけの笑みを浮かべてみせた。
……本気で何とかなると思ってるのか?
「随分と余裕があるようだが……例えお前がアンデッドに近い存在であったとしても、俺と戦うには心臓がない状態でも問題ない程度では意味がないぞ?」
「勿論理解しているとも。そもそも、君はアーチャー……あのギルガメッシュに勝った男だ。だというのに、そんな相手と戦って私が勝てるとは思っていない」
「なら、何をしに出て来たんだ? まさか降伏とは言わないだろうな?」
先程弾いた、刺突に向いた細長い剣。黒鍵を見ながら告げる。
降伏をしようとする相手に、自分から攻撃を仕掛けてくるなんて真似は普通しないだろう。
「そうだな、君の言う通りだ。私は降伏しにきた訳でもなければ、負けるのを承知の上で戦いを挑みにきた訳でもない。私が望むのは……1対1の決闘だ」
「……何?」
一瞬、言峰の口から出た言葉の意味が分からなかった。
いや、何を言っているのかは分かる。決闘を望んでいると。
だが、まさか言峰の口からそんな決闘なんて言葉が出てくるとは思わなかった。
元々策謀の類も平気で使う男なのは間違いないし、事実自らの愉悦の為に人を利用した事も数多い。
そんな男の口から出る言葉として、決闘というのは余りにも相応しくないんじゃないだろうか。
そう考えながらも、ふと納得してしまうところもある。
前回の聖杯戦争、言峰が最後の最後で戦った衛宮切嗣とは最終的に決闘の形となった。
それを思えば、衛宮切嗣に答えを求めた言峰としては、ここで決闘を挑むのは当然の事なのか?
ただ……
「決闘? 何でわざわざ? こっちが有利なのに、別に今あんたと決闘する必要なんかないじゃない」
そう凛が呟く。
そう、実際その言葉は全く正しい。
現状で普通に戦えば勝てるのだが、なのに何故決闘を挑んでくるのか。
「ふむ、凛。人の話は最後まで聞くようにと、いつも言っていたと思うのだが。もう少し冷静になれないのかね?」
「……あんたね。人を散々裏切っておいて、今更師匠面するのはやめてくれる?」
「私が君の師であるというのは、変わりない事実ではないかな?」
「うっさい。あんたみたいなのの下で魔術を習ってたなんて、私にとって最悪の汚点よ。……それで、答えを聞いてなかったわね。何だって現状でこっちが圧倒的に有利なのに、わざわざ決闘なんて引き受けないといけないのよ?」
「ふむ、確かに君達の方が圧倒的に有利な立場であるというのは認めよう。だが、この決闘はだからこそ、とも考えられないかな? 例えば、決闘で私の力を見せつけた上で降伏する、というような」
「……何?」
再び言葉に詰まる。
確かに普通に考えれば、自分の負けが決まったのなら被害が少ない内に降伏するというのはありだろう。……いや、ありどころか最善の選択肢でもある。
けど、それでも言峰にとっては全く似合わない選択肢なのも間違いはない。
大体……
「お前がやって来た事を知っている俺達が、お前の降伏を受け入れると思っているのか?」
そう告げる。
実際、言峰の能力という一面ではかなり高いものがあるのは理解している。
だがそれでも、獅子身中の虫どころじゃない存在を抱え込むというのは、絶対にごめんだった。
「そうだ! 大体、お前が教会の地下でやっていたのをなかったことに出来ると思ってるのかよ!」
続けて叫んだのは、衛宮。
まぁ、衛宮なら当然こうなるよな。
あの時にも酷く怒っていたし。
いつの間にか衛宮の攻撃対象が、俺から言峰に変わっていたのは嬉しいんだが。
「それに関しては、戦って貰えば分かるだろう。……アークエネミー、いやアクセルだったな? 君が私の相手として考えれば、皆の不満もないと思うが? ギルガメッシュを倒す程の力を持つ君だ。そう思えば、どうあっても私に勝ち目はない。だが……もしこの状況で私が勝ったとしたら、それは大きな価値になるとは思わないか?」
「……なるほど」
自分にとって絶対に勝てない相手と戦い、それで自分の価値を示す。
確かにそれは考え方としてはありかもしれないが、言峰という人物がどのような男かを知っている俺としては、躊躇せざるを得ない。
だが、ここで妙な対応をすれば向こうが更に何か手を打ってくる可能性は高い。
現状もう大聖杯を破壊するだけという状況で妙な真似をされるよりは、決闘を受けてそのまま始末してしまった方がいいのは事実だろう。
「そうだな、ならお前が俺に勝つ事が出来たらお前への対応を再考しよう。それでいいか?」
「アークエネミーッ!?」
セイバーの信じられないといった言葉が聞こえてくるが、俺はそちらに視線を向けずに凛へと……自分のマスターへと視線を向ける。
そのままお互いに無言で視線を交わす事、数秒。やがて凛が溜息を吐いて口を開く。
「分かったわよ。けど、言ったからには勝ちなさいよ」
「ああ。……いいな?」
念の為に他の面々にも視線を向けるが、衛宮、セイバー、イリヤ、セラ、リズ、桜、ライダーの全員が不承不承といった形で頷く。
「アクセル、お前が勝つとあたしは信じてるから何も言わないよ」
綾子もそう言葉を返し……こうして、俺は言峰との決闘をする事になる。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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