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2部分:第二章


第二章

「相手がいてこそだけれど」
「まずはその相手を見つけないとね」
「誰かいるでしょ、誰か」
「うちの学校にも」
「いるとは思うわ」
 鈴子自身もそれはだと返す。しかしだった。
 やはりその整っていると言っていい顔を曇らせてだ。彼女は言うのだった。
「けれどね。どうしたら見つかるかしら」
「それでゲットできるか」
「それね」
「答えが見つからないのよ」
 どうしてもだというのだ。その点は。
「というか彼氏の見つけ方がね」
「合コンとか?」
 友達の一人がオーソドックスな方法を提案してきた。
「それどう?」
「合コンね」
「そうよ。何なら舞台用意するけれど」
「それも考えてみようかしら」
 本気で検討する顔での言葉だった。
「いっそのことね」
「そう、とにかく出会いあってこそだからね」
「出会いはねえ」
 どうかとだ。鈴子はここでは彼女が今いるクラスの中を見回した。
 そのうえでだ。こう友人達に話すのだった。
「あるにはあるけれどね」
「学校の半分は男の子だからね」
「出会いはあるわよね、充分に」
「男友達はいるのよ」
 友人関係は広いのだ。しかしだった。
「けれどそれでもね。彼氏はね」
「昔で言うとボーイフレンドね」
「英語の方がいないのね」
「そう、男友達はいてもボーイフレンドはいないの」
 その二つはそれぞれ意味が違うというのだ。
「とにかく。彼氏欲しいわね」
「じゃあ合コン行く?カラオケ屋とかで」
「そうね。お店はスタープラチナよね」
 駅前のカラオケ屋だ。ビルにあり同じビルにはゲームセンターや居酒屋もある。八条高校の学生や教師達の溜まり場になっている。そこだというのだ。
「あそこの店の娘ってうちの学校の生徒よね」
「そうよ。ベイスターズファンのその娘ね」
「その娘がなのよ」
「横浜ファンも大変ね」
 鈴子はその店の少女に心から同情して述べた。
「私もそうだけれど」
「横浜ねえ。来年も最下位かしら」
「あれはもうどうしようもないでしょ」
「フロントも悪いし主力はとんどん抜けてくし」
「何かいいことないかしら」
 野球についても悩むがある鈴子だった。
「彼氏ができて横浜が十連覇するとか」
「彼氏はともかく横浜の十連覇はないでしょ」
 それは完全に否定された。しかも即座にだ。
「三十八年ぶりの優勝だったんでしょ?前の優勝って」
「私達が子供の頃に優勝したあの優勝」
「そんだけ優勝から離れてるのによ」
「十連覇って幾ら何でも」
「しかもあの戦力で」
 只でさえまずいのに主力が次々抜けるその戦力でだというのだ。
「絶対に無理よ」
「世界征服の方が簡単でしょ」
 挙句にはこんなことまで言われる始末だった。鈴子にとっては辛いことにだ。
 だがそんなことを話してからだ。鈴子は。こう友人達に話した。
「あと今日はね」
「ああ、今日鈴子の放送だったわよね」
「放送部の放送は」
「そう、放課後ね」
 その放課後にだ。放送当番にあたっているというのだ。
 
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