転生とらぶる
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Fate/stay night
1184話
夕食が終わり、それからは自由時間となる。
そんな自由時間を、俺は……
「はぁっ!」
「させませんっ!」
突き出されたたんぽ槍をセイバーの竹刀が弾く。
見て分かる通り、現在俺は衛宮の家にある道場でセイバーと模擬戦をしていた。
俺の武器はたんぽ槍で、セイバーは竹刀。
これは、俺がゲイ・ボルクを、セイバーがエクスカリバーを手したというのを想定しての訓練だった。
もっとも、未だにセイバーは自分の見えない剣がエクスカリバーだというのは秘密にしているけど。
……衛宮辺りには教えたのか?
そんな風に感じつつ、たんぽ槍を払ってこっちとの間合いを詰めてくるセイバーから距離を取る為に後ろへと跳躍する。
それでも諦めずにこっちに向かってくるセイバーだったが、空中で持っていたたんぽ槍を大きく横薙ぎに振られれば、向こうとしてもそう簡単に追撃は出来ないだろう。
いや、横薙ぎに振るわれた一撃の下を潜り抜けるようにして距離を詰める可能性はあったが、その場合は横薙ぎから振り下ろしに変えればいいだけだしな。
セイバーと距離を取って床に着地すると、向こうもこれ以上は追っても藪蛇だと思ったのか足を止める。
そのまま向かい合っていると、不意にセイバーの後ろで俺達と同じく模擬戦をしている2人が見えた。
綾子と衛宮の2人だ。
向こうでも俺とセイバー同様に模擬戦をしている。
ただし、衛宮が持っているのが普通の竹刀なのに対して、綾子が使っているのは普通の2倍はあろうかという長さの竹刀。
……いや、考えは分かる。綾子が主武器としている物干し座を念頭に置いているのだろう。
けど……何であんな竹刀がここにあるんだ?
というか、普通にああいう竹刀って売ってるものなのか?
そんな疑問を余所に、お互いに武器を構えて向き合っている俺とセイバーとは余所に、向こうでは激しい戦いが行われている。
もっとも、一方的に攻めている綾子を衛宮が何とか防いでいるって感じだが。
あの太刀筋を見る限りだと、多分この世界でも原作同様にセイバーから稽古を付けて貰ってはいたんだろう。
ただ、セイバーの剣は一流の才能を持つ者の剣。
剣の才能はないと言われている衛宮には決して届かない剣だ。
衛宮に向いているのは、英霊エミヤの双剣だろう。
ただ、この世界ではエミヤの代わりに俺が召喚されている以上、衛宮がそれを習得する事は不可能だ。
それによって、結局は衛宮の最適な剣を習得する事は出来ず、使い慣れないセイバーの剣で戦う事になってしまった。
それに比べると、綾子は剣に限らず武術の才能は高い。
更に今の綾子は半サーヴァントと化している影響で、身体能力も人間離れしている。
そんな綾子に、衛宮がまともにやり合えるかと言われれば……
「隙あり!」
その叫びと共に振るわれた長刀の竹刀が、衛宮の持っていた竹刀を絡め取って空中へと撥ね上げる。
撥ね上げられた竹刀はそのまま天井にぶつかり、床へと落ちる。
そして綾子の持っている竹刀の切っ先は、衛宮の首へ突きつけられていた。
文句なしに勝負ありといった感じか。
「余所見をしているとは、随分と余裕ですね」
竹刀を構えたまま告げてくるセイバーに、挑発の意味を込め、笑みを浮かべて口を開く。
「向こうの決着が付きそうだったからな。どうやら衛宮ではまだまだ綾子には及ばないらしい」
「……彼女は半サーヴァントとでも呼ぶべき存在でしょう。下地からして、シロウとは違います。比べる方がおかしいのでは?」
「そうか? まぁ、普通に考えればそうかもしれないが、衛宮の場合は実戦に出向くんだろ? しかも魔術師なのに、強化の魔術くらいしか使えない。そう考えると、色々不味いんじゃないか?」
「シロウは私が守ります。それに残る敵は1人のみ。そうであれば、こちらが負けるという事はまずありません。心配する必要はないのでは? それに……そもそも心配をするというのなら、槍を使いこなせていないアークエネミーこそ心配するべきでしょう」
その言葉と共に、竹刀を構えたまま一気にこっちへと向かって突き進んできたセイバー。
その勢いのまま、こちらに向かって竹刀を振るってくる。
振るわれる竹刀は、当然セイバー本来の獲物でもあるエクスカリバーに比べれば酷く軽い。
勿論、サーヴァントである以上はエクスカリバーも竹刀もそう大差ないんだろうが、それでもこちらに向かって振るわれる竹刀は怒濤の如き攻撃だ。
その攻撃を、槍の穂先部分や柄、石突きといった場所で弾き返しながら口を開く。
「そう言うなよ、あの金ぴかにはゲイ・ボルクで十分に太刀打ち出来たんだぜ?」
「それは、アーチャーが未熟だったからこそです!」
突きを狙って放たれた竹刀を、右半身を引く事によって回避する。
一瞬前まで俺の身体があった場所を通り過ぎていく竹刀。
その竹刀が伸びきったところで、先程の綾子同様に竹刀を撥ね上げようとし……だが、たんぽ槍が竹刀に命中しそうになった瞬間、セイバーは素早く竹刀を手元に戻す。
本来なら竹刀を打つ筈だった衝撃が来ない事に驚き、一瞬セイバーに向かって手を伸ばし掛けるも、次の瞬間にはこれが槍の稽古である事を思い出し、動きを止める。
そしてセイバーの操る竹刀が俺の顔面へと突きつけられ、結局俺のたんぽ槍はセイバーへと届きはしなかった。
「……参った」
そう呟く。
考えてみれば、こうして明確に負けたのって随分と久しぶりだな。
まぁ、元々槍の扱いに慣れる為の訓練だ。さっきの、咄嗟に槍じゃなくて手を出そうとしたのが失敗だったと言ってもいいだろう。
元々俺は生身での戦闘は格闘をメインにしていた。それは、アークエネミーとして召喚された今も、その前であっても変わらない。
だからこそ手が出そうになったんだが……槍の扱いはまだまだって事か。
「良い勝負でした。ただ、やはりアークエネミーの一撃はまだ甘い……いえ、甘いと言うよりは慣れていないと言った方がいいですね」
「だろうな。それは自覚している」
お互いに距離を取りながらそう告げる。
たんぽ槍を床に置き、空間倉庫からゲイ・ボルクを取り出す。
赤で出来たかのようなその槍は見る者の魂を吸い取るかのような、そんな印象を受ける。
日本刀のように武器でありながら芸術品の域まで達したかのようにも見えるが、それでもこのゲイ・ボルクは武器である事を最大限に主張している。
「……美しいですね」
「ああ。それは同感だ」
セイバーに短く返し、ゲイ・ボルクを持って少し離れた場所へと移動する。
そうしながら、こっちの方を見ている綾子や衛宮に気が付き……
「セイバー、良ければ綾子に剣の稽古を付けてやってくれ」
「私がですか?」
「ああ。綾子の武器は……これだしな」
ゲイ・ボルクを持ったまま、もう片方の手に物干し竿を取り出す。
こちらもまた、ゲイ・ボルクには負けるが目を奪われるかのような長刀。
別にこの物干し竿は宝具という訳ではないのだが、それでも目を奪われるのは事実。
「いいでしょう。元より剣の扱いは私も得意とするところ。それに、こう言ってはなんだが綾子は筋がいい。どこまでの高みに上がる事が出来るが……」
「いいのか? なら、喜んでやらせて貰うけど」
俺達の話を聞いていた綾子が近づいてきて、どこか戸惑ったように……それでいながら嬉しさを隠さずに告げる。
まぁ、綾子の才能を考えればそれも無理はない。
こう言っては何だけど、衛宮とでは訓練にならない……とは言わないが、それでも実力に差があり過ぎるからな。
その辺を思えば、剣のサーヴァントであるセイバーに訓練を付けて貰えるというのは、綾子にとってこの上ない幸運だろう。
半サーヴァントである綾子は、この先の人生で否応なく戦いに関わっていく筈だ。
その力を狙ってくる魔術師とかもいるだろうし、綾子自身が強い正義感を持っているってのもある。
けど、何よりも綾子が騒動に巻き込まれるのを確信している理由としては、綾子が半サーヴァントになった理由だ。
行く先々でトラブルに巻き込まれまくっている俺の血を飲んで半サーヴァント化したんだから、間違いなくトラブルには愛されていると考えて間違いない。
それは確信すら抱いている事だった。
そうである以上、綾子は出来るだけ強くなっておく必要がある。
物干し竿を手に、セイバーと向かい合っている綾子を眺めていると、衛宮がこっちに近づいてきた。
「どうしたんだ?」
「いや、美綴の相手をセイバーに取られたからな。アークエネミーに相手をして貰おうと思って」
……こいつも本当に変わったな。
少し前までは俺を敵視……とまではいかなくても、決して自分から話し掛けてくるような真似はしなかった筈なのに。
多分桜やセイバーといった面々、あるいはイリヤやライダーも入るのかもしれないけど、そっちが頑張って衛宮の意識を変えたんだろう。
ああ、それと桜を助けたのとか、教会の地下から魔力を搾り取られていた連中を助け出したとか、そういうのも影響しているのかもしれない。
「アークエネミー?」
「いや、それは構わないが……」
衛宮の言葉に頷きそうになり、ふと悪戯心が湧く。
確かにこの衛宮は、アーチャーがいない為にセイバーの剣筋となっている。
だが、それでも二刀流に……それも日本刀とか剣のようなものではなく、短い剣。小太刀二刀流などに適性があるというのは変わらない筈だ。
原作のアーチャーにしても、自分でそのスタイルを身につけていったのだから、衛宮にもその素質自体はある筈。
なら、少し道を示してやるのも無理はない。……とか格好付けて考えているが、衛宮が小太刀二刀流でどういう風に戦うのかというのがちょっと気になっているだけなんだよな。
「そうだな、衛宮。俺から見たところ、お前は竹刀のような長さの武器はあまり向いていないように思える」
「え? 何だよ、いきなり」
「いいから、聞け。俺の認識で言えば、お前に向いている武器はもっと刃の短い、取り回しのしやすいもの。それを二刀流で使うのが向いていると思う」
「……二刀流って難しいって聞くぞ」
「そうだな。だから無理にとは言わない。単純に綾子と戦っているお前を見て、そうなんじゃないかと思っただけだ」
その言葉に、どこか疑わしい視線を向けてくる衛宮。
セイバーを呼び出してから今日まで、必死にセイバーから訓練を受けてきたのだろう事を考えると、確かに自分が二刀流に向いているというのは、そう信じられる話じゃないだろう。
ただ、ここで大事なのは俺が圧倒的な強者だって事だ。
何しろ、今回の聖杯戦争で死んだサーヴァントの殆どを俺が倒しているのだから。
そう考えれば、俺の言っている事は決してただの妄想という風に考える事も出来ず……
「分かった、ちょっとやってみる」
短くそう告げ、各種竹刀の置いてある場所へと向かう。
にしても、このたんぽ槍もそうだけど、何だってこの道場には普通に使う竹刀以外の物がこうも置かれているんだろうな。
……タイガーの、いや、藤村の趣味か?
そう思えば、確かに何だか普通にありそうで困る。
「持ってきたぞ。それで、どうやって構えればいいんだ?」
小太刀くらいの大きさの竹刀を両手に持った衛宮が、そう尋ねてきた。
「自分でこれだと思える構え方を見つけるしかないな。ただ、あくまでも俺の考えだと……」
エミヤの構えていたシーンを思い出しながら、衛宮に指導する。
どっしりと、自分から攻めるというよりは待ち受けるといった構え。
まぁ、アーチャーだけあって弓がメイン武器だった筈なんだから、そこまで二刀流に対して拘りはなかったと思う。
もっとも、実際にはランサーと戦う時にも見た通り、二刀で戦うのが多かったが。
「こう、か? うーん、確かに何だかピンと来るような、来ないような……」
呟きながら両手に持った竹刀をそれぞれに動かす。
うん、こうして見ても、確かに衛宮に剣の素質があるとは思えない。
それに関しては、俺から見ても明らかだ。
それでも人間の努力というのは凄いもので、この衛宮が最終的には英霊になれる程の力を持つんだから驚く。
暫く衛宮の様子を見ていた俺だったが、いつまでもこうして見ているだけというのもつまらない。
たんぽ槍を構え、衛宮と向き合う。
「ほら、行くぞ。構えろ」
「え? おい、本気か? 俺はまだこの二刀流の使い方もよく分かってないんだぞ!?」
「習うより慣れろって言うだろ」
その言葉と共に、大分力を抜いた一撃を放つ。
速度はそれ程でもなかった為に、衛宮は右手に持った方の竹刀でたんぽ槍の穂先を弾く。
普通であればここで左手の竹刀を振るうのだが、まだ慣れていない衛宮にそんな事が出来るわけもなく……
「痛っ!」
弾かれたまま横殴りに振るわれたたんぽ槍の穂先が、衛宮の胴体を打つ。
勿論加減をしている以上、そこまで痛い訳ではない。
「くそっ、もう1度だ!」
そうやって振るわれる二刀。
だが……
「ほう、シロウはどうやら私が教えた剣よりも、アークエネミーの剣の方が性に合っているようですね」
綾子とのやり取りを終えたセイバーが、衛宮の後ろで冷たい笑みを浮かべてそう告げていたのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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