魔法少女リリカルなのはINNOCENT ―第5のマテリアル―
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DUEL:01 YOUR MAKE!
「さてと、もうじき15時か・・・」
暗い部屋の中でパソコンに映った時計を見てブロンドヘアの少女が呟く。彼女の名は『伊集院アリス』。
ここ、『グランツ研究所』に住み込みで雇ってもらっているのだ。
そして彼女の言う15時、これはグランツ研究所の所長『グランツ・フローリアン』が生みの親である最新体感シミュレーションゲーム『ブレイブデュエル』が一般公開される時間だ。
アリスがパソコンの前でじっと座っていると突然部屋の扉が開き光が入ってくる。
「まったく、やはりここに居ったか。いい加減外に出てこんか。
お主は我が『ダークマテリアルズ』の第5の牙となってもらう予定なのだから、こんな狭くて暗い部屋でじっとしてないでさっさとアバターを作って欲しいものなんだがな。」
研究所の廊下から入って来た灰色の髪の少女、彼女の名は『ディアーチェ・K・クローディア』。
グランツ研究所にホームステイしている留学生の1人でブレイブデュエルロケテスト時のチャンピオンチーム『ダークマテリアルズ』のリーダーである。
そして彼女の発言どおりアリスはブレイブデュエルのアバターをまだ作成していなかったりする。
ちなみに研究所にいる他のメンバーの殆んどは既にアバターを作り終えている。
「残念ながら私はここでパソコンと触れ合っていたいの、そっちは任せる」
「今こっちに来るんだったら後で我特性のマフィンを食べさせてもいいと思ったんだがな・・・」
「前言撤回、そろそろパソコンも休ませた方がいい」
ディアーチェの作る料理はかなりの評判で、ホームステイして早々にフローリアン一家の料理長を任命されたほどである。
そんなディアーチェのマフィン、アリスもこれには即答だった。
パソコンをシャットダウンさせてゆっくりと椅子から立ち上がると、廊下から入ってくる光に眩しそうにしながらディアーチェと共に部屋を出て行く。
「まったく、私の運動音痴はこっちの身体にも引き継がれてるから、ああいうのはなるべくやりたくなかったんだけどなぁ・・・」
「またその話か、ブレイブデュエルなら運動音痴だろうが十分遊べるのはお主もよく知っておろうが」
「まぁプログラムの2割は私が作ったんだし、そりゃ分かってるけどさ。
やっぱり身体を動かすのはなんか抵抗があるんだよねぇ・・・」
道中の何気ない会話、だがその中に違和感を覚える者も多いはず。
それはアリスの言う「この身体」という発言への違和感だろう。
彼女は「自分は元々は男性で別の世界に住んでいた」と言う、俗に言う『転生者』と呼ばれるものだが、そんなものが実在するなんて普通だったら信じない・・・のだが、ここの所長と研究員の1人は違った。
彼女の居た異世界の話を聞き、その中から新たなアイデアを見つけ出すことも少なくはなかった。
そんな2人の影響か、もしくは彼女の話す世界が妙に現実的なせいか、段々と他の研究所メンバーや留学生達も彼女の話を信じるようになっていった。
そんな彼女の特技はゲームであり、所内では一番といっても過言では無いだろう。
ディアーチェが彼女を『ダークマテリアルズ』のメンバーに加えようとするのもそのせいだ。
程なくして2人は研究所のデュエルスペースへと到着する。
そこには既に大勢の客が入っており、かなり広く造ってあるデュエルスペースの約半分は人で埋め尽くされていた。
正面の壁にある巨大なスクリーンには丁度今行われている戦いが映し出されていて、客の殆んどはそれ見て歓声を上げていた。
「とりあえず初日から閑古鳥ではなかったか。
それじゃあまぁ、適当にアバター作って2,3戦したら戻りますかね。」
「その前にお主は『ブレイブホルダー』も『データカートリッジ』も持っておらんだろう。
博士に貰ってきてあるから、ほれ、受け取れ。」
そう言ってディアーチェが名刺ケースほどの薄さのケースと銃の弾倉のような物をアリスに手渡す。
ケースの方は『ブレイブホルダー』というカードデッキを保存するもので、RPGでいう冒険者のカバンのようなもの。
弾倉の方は『データカートリッジ』といい、プレイヤーのデータを保存するためのものだ。
「うい、ありがとね。それじゃあ行ってくるわ。」
ホルダーとカートリッジを受け取ったアリスは、そのままデュエルスペースの脇にある『カードローダー』と呼ばれる機械の中に入っていく。
カードローダーの中にある装置に先ほど受け取ったデータカートリッジを差し込み、身長,体重,年齢,性別を入力し、カメラがアリスの身体をトレースすると装置の上に1枚のカードが現れる。
これは『パーソナルカード』と呼ばれ、灰色のパーカーに灰色のズボンという寝巻きの様な現在の格好はそのままに、右手には青と金の目立つ1本の短剣のようなものを右手に握っているアリスが描かれている。
短剣には鍔の部分が無く、代わりに大きな宝珠のような物が埋め込まれいてた。
これは『デバイス』とよばれるもので、ブレイブデュエル内の武器である。宝珠はコアパーツと呼ばれ、その他の部分はフレームパーツと呼ばれている。
パーソナルカードを取ると、それとは違う3枚のカードが出てくる。これがブレイブデュエルの初期デッキ、これで準備は整った。
「パーソナルにN+が1枚、スキルカードが2枚か・・・とりあえずはラッキーかな」
初期デッキを確認しながら客を避けて部屋の反対側に向かうと、さっきとは少し形状の違う円柱型の機械がある。
これは『ブレイブシミュレーター』、この中に入ることでブレイブデュエルをプレイできる。
「設定は・・・最初だし適当でいいか。」
出てきたウィンドウを適当にタッチするしてブレイブホルダーを胸の前に掲げる。
「こうするとなんか昔を思い出すな・・・イライラするんだよ・・・あ、やっぱ女の声だから似てないわ。
それじゃあまぁ、ブレイブデュエルスタンバイ!!」
『プレイヤースキャン、開始します
アリーナ上にアバター生成、座標位置はランダム
つづいてセンス、ダイブします
フルタスク、コンプリート』
機械から聞こえる無機質な声を聞き終え、目を開けるとそこには・・・・・・広い空と海が広がっていた。
後書き
どうも、多尾@MDと申します。
今回が初投稿なので至らぬ点が多々あると思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。
この小説には他作品のネタが結構出てくるので、「このシーンって〇〇のネタですよね」とかコメント頂けたらうれしいです。
ちなみに今回だけで2つのネタがありますが、1個は多分分からないですよね(笑
そちらは次回で分かるのでそれまでのお楽しみということで。
次回は空であの人と戦います!最初の戦闘といえば、もうお分かりですよね?
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