おぢばにおかえり
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第十八話 プールですその九
「何でお酒で背が伸びないのよ」
「それはコーヒーなんじゃないの?」
「えっ、違うの?」
「絶対違うわよ」
「ねえ」
皆顔を見合わせて言い合います。そうだったんでしょうか。
「お酒で背が伸びないなんて」
「何処でそんなの聞いたのよ」
「何処でって」
あれっ、そういえば。何か何処かで聞いた筈なんですが思い出せません。
「何処でなんだろ」
「聞き間違えたんじゃないの?」
「全くこの娘は」
「この娘はって何か」
今の言葉はかなり引っ掛かりました。
「私子供みたいじゃない。何よそれ」
「まあ背は実際そうだけれど」
「何でお酒がって思うわよ、やっぱり」
「違ったの」
そのことを知って何か衝撃です。そういえばお父さんはかなりお酒が好きですけれど全然小柄じゃありません。男の人では普通位でしょうか。
「遺伝が一番大きいわよ」
「だからお母さんかお婆さんが小さかったら要注意」
髪の毛の話と同じになってきました。
「そういえばちっちの家ってお母さんも」
「かなりまずいんじゃない、それって」
「代々小さいのよ」
これは認めるしかありませんでした。本当に私の家系は特にお母さんの方の女の人は皆小さいですから。おぢばの女の人はとにかく小さい人が多いんですけれどその中でも特になんです。
「隠せないから言うけれど」
「子沢山と女の人が小さいのは天理教の特徴みたいなものだけれど」
「それ特徴じゃないわよ」
何でそれが特徴なんでしょうか。
「ちっち、努力もしてるんだけれどね」
「これに関してはね」
「あと五センチ」
私は溜息と一緒に言いました。
「欲しいのだけれど」
「五センチってまた贅沢な話じゃない?」
「ねえ」
皆私の今の言葉を聞いてまた言い合います。
「それだけ伸びたら苦労しないわよ」
「それに五センチ伸びてもちっちはまだ
「小さいっていうの?」
「ええ」
「どう考えても」
また言われました。
「というか物凄い小柄なのにこだわってるわね」
「気にしてるのよ」
私のコンプレックスですから。小さいっていうのは。
「それも凄く」
「けれどまあナポレオンも小さかったしね」
「だから別にいいじゃない」
あの英雄のことが出て来ました。話によると小さかったそうです。けれど話を聞いてみると藤井フミヤさんよりは高かったような。フミヤさんは好きな歌手です。
「女の子は特に気にしてもね」
「変わらないし」
「浅香唯さんだって小さくても奇麗じゃない」
確かにあの人はかなり。もうお母さんになってしまいましたけれど奇麗です。お父さんは昔からファンだったそうでテレビに出るとにこにこしています。お母さんはその横で苦笑いです。
「だから別に」
「何か小さい小さいって」
高校に入ってからかなり言われていて。困ってるんですが。
「小さいのが悪いみたいじゃない」
「別にそうは言ってないわよ」
「ねえ」
けれど皆はこう言います。
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