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リリカルな正義の味方

作者:錬金術師
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5話

 高町なのはとフェイト・T・ハラオウンはあることについて相談していた。それは旅行兼オフトレについてである。

「ど、どうする?白夜くん本当に誘うの?」

 彼女たちは彼を誘うかどうかで迷っていた。一応ほかの参加者からの許可は得ているものの、肝心の彼を誘う勇気が出なかった。一緒に旅行に行って沢山話したいことがあるし、訓練も一緒にしたい。だけど勇気が出ない。ずっとそんな調子だ。

「なのはママ、フェイトママ、白夜さん誘わないの?一緒に行きたいんでしょ?」

「ヴィヴィオ…。そうだよね!みんなからは許可もらってるし!よし、誘おうフェイトちゃん!」

「ま、待ってなのは。心の準備が…」

 ヴィヴィオは心の中でママたち乙女だなぁと思っていた。昔は特に二人で白夜の話ばかりしていたのを覚えている。

 そして二人が白夜に連絡すると、風呂に入っていたのか、髪をおろしている彼が…

〈なのはに、フェイトか。どうした?〉

「…………」

 二人は顔を赤くして黙り込んでしまう。普段の彼とは違う姿にくぎ付けだ。

〈なのは?フェイト?用がないなら切るぞ?〉

「待ってください白夜さん!」

〈ヴィヴィオ?〉

「ちょっとママたちは…あはは。えっと、ところで白夜さん!この4連休って何か予定ありますか?」

〈いや、これといって予定はないな。それがどうかしたのか?〉

「じゃあ、私達と一緒に旅行に行きませんか?」

〈…旅行?〉

「はい!といっても、オフトレも兼ねてるんですけど…」

〈…〉

「やっぱり、駄目ですか?」

 ちらっとママたちを見ると不安そうな顔をしている。

〈いや、別に行くのは構わないんだが…。〉

「だけど?」

〈そこにオレが参加していいのか?〉

「いいよ!むしろどんどん参加してほしいぐらい!」

〈なのは?〉

「そうだよ白夜!一緒に行こうよ!」

〈フェイトまで…〉

「白夜さん。私も白夜さんに来てほしいです。あの時助けてもらったお礼もしたいですし…」

〈…わかった。お言葉に甘えて参加させてもらう。オレはどうすればいい?〉

「じゃあ…」

 ヴィヴィオが彼に連絡事項を伝え通話を切ると、ママ二人は年甲斐もなくはしゃいでいた。

「やったよフェイトちゃん!白夜君参加してくれるって!」

「やったね!なのは!白夜が一緒に…」

「「ありがとうヴィヴィオ!」」

 彼女たちはとても喜んでいるようだ。恋する女の子はこんなにも騒がしいモノなのかと思わずにはいられないヴィヴィオであった。






 そして当日。ヴィヴィオ、コロナ、リオが花丸評価をもらい、出発が決まった日、二人はそわそわしていた。ノーヴェとアインハルトもそろい、あとは彼を待つだけだ。

「どなたか、待っているんですか?」

「アインハルトさん。実はなのはママたちが誘った人を待っていて…」

「ああ、柊白夜さんですか。」

 アインハルトは実はこの合宿に彼が参加すると聞いて再選するのをひそかに楽しみにしていた。この前は自らの必殺技すら止められた彼が気になっていた。

「はい…。此処だけの話、ママたち、白夜さんのことが好きみたいで…」

「それで、あんなに…」

「フェ、フェイトちゃん、変じゃないかな?」

「…大丈夫だよなのは!わ、私は?」

「大丈夫、似合ってるよ!」

 丁度その時、インターホンがなり、ヴィヴィオが出ると。

「すまない。待たせたか?ヴィヴィオ」

「白夜さん!」

 そのヴィヴィオの言葉に二人の体が強張る。

「とりあえずあがってください!」

「ああ。邪魔させてもらう。」

 そういって中に入った彼を出迎えたのは、さっきまで慌てふためいていた二人だった。

「い、いらっしゃい。白夜くん。」

「ひ、久しぶり、白夜。」

「久しぶりではないと思うが…。とりあえず邪魔をする。」

「お久しぶりです。柊白夜さん。」

「アインハルト・ストラトス。その後はどうだ?」

「ええ、調子はいいですよ。あなたに負けたあの日から。」

「フ、それはいいことだ。敗北を知るのは悪いことではないぞ?」

「ええ。全くです。ところであなたにまた勝負を申し込みたいのですが。」

「好きにするといい。オレはいつでも受けてたつぞ。」

 ヴィヴィオはその二人を羨ましく思った。自分とは違う関係の二人を見て、そのようになりたいと思った。しかしそれよりも後ろのほうでショックを受けているママ二名をみて助け船をだそうとしたらそれより早く彼がこう言った。

「…そういえば、言い忘れていたが、なのは、フェイト」

「…なに?白夜」「…何かな?白夜君」

「二人とも、その服似合っている。昔よりも更に綺麗になった。二人の魅力を充分に引き出せていると思うぞ」

ちなみに彼は苦笑いだ。彼としては彼女たちの変化を感じ取り、必死に考えて絞り出した考えの結果なのだが、彼女たちは彼がそんなこと言ってくれるとは思っていなかったようで、二人とも嬉しそうな顔をしている。そんな二人を見て、彼は安堵の表情を浮かべている。どうも彼はわかっていて言った訳では無さそうだ。彼はもしかして彼女達からの気持ちには気づいていないのかも知れないと思ったヴィヴィオは母達に同情せざるを得なかった。

そして臨港次元船に揺られること4時間。無人世界カルナージに到着した。カルナージに到着し、ルーテシア達に出迎えられている間、彼は周りの自然を見ていた。

(…今まで様々な世界を回ってきたが、こんなに自然のある世界には来たことがなかったな…。それもそうか。俺が回っていたのは戦場ばかりで、観光、ましてや旅行なんて目的では無かったからな…。)

「エリオ、キャロ!」

「2人とも、紹介するね…ってどうしたの?エリオ、キャロ。白夜がどうかした?」

オレはその声で思考の海から現実に引き戻された。

「あなたは…」

「お兄さんは…」

「…あぁ。君たちはオレを知っているのか。それもそうだな。君達もあの時の戦いを見ていたな」

2人は無言でこちらを見ている。警戒しているのだろうか。それも当然のこと。自分たちと敵対し、尚且つ1人で戦うようなやつを警戒するなという方が無理な話。

「今のオレは君達と敵対するつもりは…」

「「あの時の正義の味方(ヒーロー)!!」

「…え?」

2人から事情を聞くと、オレは過去に2人を救っているらしい。内容を聞くまではわからなかったが、モンディアルは研究所をオレが破壊し、その際オレが連れて行き、生きるために必要なものを施し、去っていったらしい。そしてルシエは森でモンスターに囲まれていた所をオレに助けられたとか。オレの記憶には無いが、2人から礼を言われた。…記憶に無いな…。

ヴィヴィオ達は川で遊び、なのは達はトレーニングをしている頃。彼は1人山奥に行き、その両手に剣を投影して、鍛錬をしていた。その手に持つ剣は干将・莫耶。その2本の剣を使い、敵をイメージして鍛錬している。敵がいると仮定し、自らの心臓を狙って突かれる槍を躱し、その手の剣で斬り伏せる。繰り出される槍を最低限の動きで避け、見切り、カウンターで反撃する。いつも以上に集中していたせいか、かなりの時間が経っていたのだろう。少し休憩しようと、近くの木陰に座る。

「…気持ちのいい風だ…。少しだけ、眠ろう」




所変わってこちらは彼以外のメンバーが集まっている。理由は簡単。お昼ご飯のお時間だからだ。

「あれ?白夜君は?」

「え?見てませんよ?」

「もう…どこに行ったの白夜くん…。皆は先に食べてて。私は白夜くんを探してくるよ」

「なのは。私も…」

「大丈夫だよ、フェイトちゃん。探して、お昼ご飯だって伝えてくるだけだから」

そう言って彼女は空を飛び、上空から彼を探している。

「白夜くん、一体どこに…いた!」

彼女は降り立ってまっすぐ彼のところに行く。

「白夜くん、もうお昼ご飯だよ。皆集まってるから食べに…」

そこで彼女は気付く。彼が木陰で安らかな顔で寝ているのを。その顔に戦っていた時のような辛い表情は無い。気持ちよさそうに寝ている。

「もう、そんなところで寝てたら、風邪ひいちゃうよ?」

そういいつつも彼女は彼の近くに腰を下ろす。チラッと彼を見ると、いつもの様に険しい表情はしていない。彼のこんな顔を見るのは久しぶりだ。彼女はもう少しだけ、と黙って彼の近くに座っていた。

5分後、彼は目を覚ました。

「…寝てしまっていたのか」

「あ、起きた?もう皆お昼ご飯食べちゃってるよ?」

「…なのは?いつからそこに…って聞くまでも無いな。」

「うん。白夜くんもお昼ご飯食べに行こう?」

「…ああ。そうだな」

先に行くね!と言って立つ彼女の後を追いかける様に彼も行く。戻ると皆が集まっており、彼も昼ごはんを食べる。そして食べ終わったあと、彼は自分の食べた分の食器を洗い、また森の方に向かっていった。

森で鍛錬を再開した後、ノーヴェから連絡が入った。なんでも、スターズが訓練をするから見に来いだとか。正直気は乗らなかったが、見に行った。その後、自分の鍛錬に戻ると言って抜け、またイメージした敵と戦っていた。

日が暮れた頃、訓練も終了し、ヴィヴィオとアインハルトも合流し、屋敷へ戻る途中、彼女達はみた。

森の中その手に剣を持ち、おおよそ1人とは思えない動きで訓練している白夜の姿を。

その手には1本の剣。それを薙ぎ、はらい、突きなどの動きを全て使って動くその姿は見るものに感動を与えた。

「アイツ…スゲェな」

「はい…。言葉も出ないです」

「さすが、ママ達を1人で相手できる白夜さんです」

そして彼がその剣を消し、不意に彼女達の方を向いた。まだ息が整っていないにも関わらず、彼は口を開いた。

「なにか用か」

「あ、いえ!これからお風呂に行こうと…白夜さんもどうですか?」

「…オレは後でいい。先に行け」

それだけ言って彼は奥に行ってしまった。彼女達が去っていくのを確認した後、彼は何かを投影する。完全な其れを投影するには「あるもの」が必須なのだが、それを無しで投影するとなると不可がかかる。そのため、今回は失敗した。

「やはり、固有結界が無ければ作れないか…」

彼は不可能を理解し、屋敷へと戻っていった。


明日の試合について、彼女達は話し合っていた。

「1戦目はこのままでいいとして、2戦目だよね…。」

「せっかく白夜がいるんだし、戦っておきたいよね!」

「そうだね…。あ!これはどう?」

「…それいいね!それで行こう!」


彼女達の思惑とは?果たして何を企んでいるのか… 
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