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歌集「春雪花」

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 恋焦がれ

  求むる者も

   なかりせば

 君また同じ

     冬の夕暮れ



 たくさんの恋をした…。恋に焦がれ、愛した人と共に在りたいと望み続けてきたが…結局は誰も私を選んではくれなかった…。

 それを鑑みると、彼も同じだと思うのだ…。
 彼も…以前に恋した人達と変わらず、まるで冬の夕暮れ時のような切なさと淋しさを残して…きっと私の前から消えてしまうに違いない…。

 同性を愛する私には…愛など高嶺の花…。

 故に…彼を諦め切れない私自身の弱さが憎らしい…。



 淡雪の

  落ちし時節の

   別れゆえ

 もの云わぬ雪の

    憂きしものかな



 淡い雪がちらちらと降る季節に彼は…ここからいなくなってしまった…。

 だからだろう…何も言わずに坦々と降る雪を見るのが辛くなってしまった…。

 彼は…私のことをどう思っていたのだろう…?
 もし…私が想いを告げたら…どう思うだろう…?

 聞く勇気もないくせに、私はあれこれと考えてしまうのだ…。

 さすがに…今年もそろそろ降り始めるだろう…。

 否が応にも彼を思い出させる…白い花弁のような雪が…。



 
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