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ハイスクールD×D復讐と剥奪の王

作者:夜鞠修弥
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3話『復讐者とはぐれ悪魔』

~修弥Said~

「残った場所はこの廃工場と町外れの潰れた教会だけか」

俺はグレモリーと接触した後の4日間を、堕天使探しに割り当てていたが、今のところ行った場所は全てはずれだった。

そして、俺は今残っている候補の廃工場に来ていた。

さびれた扉に錆びた鉄屑の山。

辺りには灯りがなく、ほとんど窓から入ってくる月の光が唯一の救いだった。

「……ここもはずれか。だったら、堕天使は教会にいるのか?」

俺がそう呟きながら、調べ終わった廃工場から出ようとした時だった。

「人間が自らここに来るとは、珍しいこともあるものだな」

背後から、男の声が聞こえてきた。

「参考までに聞いておくが、お前は悪魔か?」

「人間にしては、少しこちら側のことを理解しているようだな。確かに俺は悪魔だ。今は、主を殺してはぐれの烙印を押された悪魔だがな」

俺はここに来て初めて聞く言葉に引っ掛かった。

はぐれ?

それに、主を殺した?

いや、どちらにしろ目の前にいるのは敵だ。

なら、俺のとる行動はーーー。

「お前でこの前のストレスを解消させてもらう!」

俺はそう言って、悪魔に向けて接近していく。

「無駄だ、人間。貴様のとった行動は自らの死を早めただけにすぎん」

そう言って俺に禍々しい黒いオーラの塊を放ってくる悪魔。

「……消えろ」

俺は右手に黒い籠手を纏い、悪魔が放ってきたものに籠手を当てる。

『 Devest 』

籠手に悪魔の放ったものが当たり、消えた。

「なに!?俺の魔力弾を消しただと!?」

なるほど、あれが魔力ってやつか。

俺は悪魔に近づきながら、先程の攻撃に使われたものを確認した。

ドゴッ!

『 Devest 』

俺の右腕が悪魔の顔面に当たった。

それと同時に再び聞こえてくる籠手からの機械音。

「悪魔もこの程度か……」

俺は顔面を押さえて悶えている悪魔を見ながら、そう呟く。

「人間風情が調子にのるなぁ!所詮、人間など俺の餌でしかないのだからな!」

「……それがお前の本性ってわけか」

俺は豹変した悪魔を見ながら、そう言う。

「貴様の持つ神器が何かは知らんが、これを防げるものなら防いでみやがれぇっ!」

そう言って悪魔は5発の魔力弾を正面、左右同時に俺に向けて放ってくる。

俺は左右から飛んでくる魔力弾を屈んで避けると、正面から飛んでくる魔力弾に黒い籠手で触れて、消し去る。

『 Devest 』

(後、二発!さっきと同じ、左右同時!)

俺は裏拳の要領で、左右から同時に飛んでくる魔力弾に再び、黒い籠手で触れる。

『 Devest 』

「フハハハッ、死ねっ!」

そう言いながら、悪魔の左腕が俺の腹部に突き刺さーーーーーーーーることはなかった。

俺は瞬時に悪魔の左腕を空いている左手で受け止める。

「ば、バカな!?人間ごときが、俺の腕を受け止めるだと!?ましてや、あれほどの隙を突いたというのに!こんなことがあってなるものかっ!」

「悪魔相手に油断なんてするかよ。俺はお前らに勝つために力をつけたんだからな!」

俺は若干自暴自棄になりかけてる悪魔にそう言うと、腕を放すと同時に悪魔を蹴り飛ばす。

「ガッ、グゥッ………。ふふっ、貴様の攻撃では多少のダメージは与えられても、俺を殺すことは不可能だ」

不敵な笑みでそう言う悪魔。

あの悪魔を殺すのは、“今の”俺では確かに不可能だ。

だが、俺がここに来る前京都であの二人に聞いた話が事実ならーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー俺は、あの悪魔を殺せる。

俺のこの力には、まだ隠された多くの力が存在している可能性があることを、俺はここにくる前に聞かされていた。

「……確か、所有者の思いに応えるんだったな」

俺は静まり返った廃工場内でそう呟く。

「どうした、人間。今更怖じ気づいたのではないだろうな?」

目の前で立ち上がった悪魔が、挑発的にそう言ってくる。

「俺の思いに応えるのなら、あの悪魔を!あの時の悪魔達を!殺せるだけの力をよこしやがれ!」

俺は悪魔を無視して、廃工場に響き渡るくらいの声量でそう叫んだ。

『 Authorize 』

叫んだ瞬間、聞き覚えの無い新たな機械音が、俺の右手の籠手から聞こえてきた。

( Authorize 。………確か意味は、付与。Divest が奪う………ふっ、フフフッ)

「ハハハッハハハハハハハッ!そうか!そういうことか!」

俺は自分の力の意味を理解し、気分が向上した。

「俺は全ての悪魔と堕天使を殺す。お前はそのための糧だ!」

『 Authorize 』

俺がそう言った時、再び籠手から機械音が聞こえてくる。

それと同時に、籠手には光の槍が握られていた。

「なっ!?なぜ、貴様が光の槍を持っているんだ!?そ、それは、堕天使の!?」

俺の手に光の槍が握られているのを見て、慌てだす悪魔。

「何を慌てているんだ?確かお前は俺にこう言った筈だ。“お前の力では俺は殺せない”ってな。そのお前が、なぜ慌てる必要がある」

俺は黒い笑みで悪魔に向けてそう言う。

「そ、そうだ。あの光の槍は偽物。幻覚に決まっている。そうでなくては、人間が光の槍を手にすることは不可能の筈」

悪魔は何かを決意したのか、俺に向けて高速で突っ込んでくる。

そんな悪魔に対して俺は、槍を構えた状態で姿勢を低くして、悪魔を待ち構える。

「死ねェェェェッ!人間!」

そう言いながら、俺の心臓を狙って腕を突きだしてくる悪魔。

「……死ぬのはお前だよ、クソ悪魔」

グサッ!
  
俺は悪魔の腕を避け、光の槍を悪魔の腹部に突き刺した。

「ッ、グハッ!……ば、ばかな!?そ、その槍は、偽物では、なかったのか」

『 Authorize 』

「誰が偽物だなんて言った?まあ、それはこいつの力を理解できなかったお前が悪いがな」

俺はそう言いながら新たに二本の光の槍を両手に握っていた。

グシュッ!

左手に持った槍を、悪魔の右足に突き刺す。

「ガッ!……や、やめろ。………やめてくれ!」

「やめろ、だと?お前ら悪魔がよく俺に向かって、やめろなんて言えたな」

「き、今日のことは忘れる!な、なんだったら、お前の部下になってもいい!だから!いのっ!…………」

グサッ!

俺は命乞いをした悪魔に、止めを刺した。

「お前ら悪魔を俺が許すとでも、思ったか?俺がお前らを許すことなんて、一生こねぇよ」

目の前に転がっている悪魔の死体に向かって、俺はそう呟く。

「お前らが俺にしたことは、謝る程度の事では許されない。俺と同じ気持ち味わいやがれ」

俺はそう呟くと廃工場から出ていき、自宅へ向かって歩き出した。



































~リアスSaid~

イッセーが仕事で依頼主の所に向かった後、私達はそこに堕天使達が向かっていること知り、イッセーを救うために転移魔方陣で、転移した。

その後、イッセーは無事に救出したのだけれど、あの場にいたシスターを助けようとするイッセーを無理矢理部室に転移させてきて、私達は少し疲れていた。

「部長!どうして、アーシアも一緒に助けてくれなかったんですか!」

「イッセー。私達は悪魔で、あの娘は堕天使側の人間なのよ?そんな娘を助けて、もしも堕天使がここに攻め込んできたらどうするの?」

私はイッセーに言い聞かせるように、そう言った。

「部長。はぐれ悪魔の討伐がまたきましたわ」

私とイッセーの間に朱乃が入り込んで、そう言った。

「そう。……皆、疲れているところ悪いけど、もう少しだけ付き合ってちょうだい。それと、イッセー。話の続きは帰ってきてからよ」

「「「はい!」」」

皆の返事を聞いた後、朱乃の展開した転移魔方陣で、はぐれ悪魔がいるという廃工場へと転移した。













「………血のにおい」

廃工場の前に転移した瞬間、小猫がそう言った。

「小猫、においは建物の中からかしら?」

「……はい」

小猫に確認を取った私は、扉を魔力で吹き飛ばす。

「はぐれ悪魔ライル、あなたを消滅しにっ!?」

消滅しにきたわ

扉を壊し、中のはぐれ悪魔に対してそう言うつもりだった。

だが、扉が壊れた建物の中には、光の槍が三本突き刺さったはぐれ悪魔の死体が転がっていた。

「どういうことなの?建物の中には、派手に争った形跡がないわよ。なのに、はぐれ悪魔が堕天使に殺された?」

私は目の前の光景が信じられなかった。

「部長、仮にも今回のはぐれ悪魔はAAクラスのはぐれですわ。このはぐれ悪魔を倒したのが、もし堕天使なのだったら上級クラスですわよ?」

「ええ、わかっているわ。朱乃」

「部長、そのAAクラスとかってどういう意味なんですか?」

イッセーが朱乃の言った言葉に反応して、そう聞いてくる。

「はぐれ悪魔はその力でクラス分けされているの。C~Bが中級悪魔レベル、A~Sが上級悪魔レベルっていう分け方がされているの。でも、実はこの他にもう一クラスだけ存在されているものがあるのよ」

「え?」

「上級悪魔、ましてや魔王様方ですら相手が厳しいとされるクラスーーーーSSSクラス。でも、安心しなさい。このクラスにはまだ一人しか登録されていない筈だったから」

と、イッセーに説明している間に話がそれた。

「朱乃、この事は魔王様に報告しておいて」

私はそう言うと、目の前の死体を魔力弾で消し去った。

「とりあえず、今日はこれで終了ね。イッセー以外は解散してもいいわよ」

私はそう言うと、イッセーと話の続きをするために部室へと転移した。
 
 

 
後書き
次回、4話『復讐者と堕天使《決着》』 
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