混沌の魔術師と天空の巫女
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第7章 大魔闘演武編
10の鍵と2の鍵
夜、人気のいない橋の下で・・・
「魔力を感じない?」
「そうだ・・・・・・魔女の罪が毎年感じていた
ゼレフに似た魔力。今回はそれを感じていないんだ。」
「・・・確かに、競技中、特に感じた魔力はなかったな。」
ジェラールの話の内容は、ゼレフに似た魔力の事であった。
俺はあのグラビア対決中に、2人の真剣な顔を見たので、
気になってしまいここにいるのだった。
ちなみに、最後の剣咬の虎と人魚の踵の対決は
人魚の踵の勝ちだった。
「考えられる可能性はいくつかある。
人物だと仮定した場合、今回はこの街に来ていない。
あるいはこの街にはいるが、魔法を使っていない。」
「まだ出番のない大会の出場者だという可能性もあるわけなだ。」
ジェラールの言葉にエルザさんがそう言う。
「あの魔力がある種の装置又は特定の場所と仮定した場合、
装置が稼働していないか、
魔力を外部に漏らさないフィルターのようなモノがあるのか。」
「何にせよ、物騒な魔力を感じないという内は何もあるまい。」
「そうだといいですけどね・・・・・・かえって少し不気味な気がします。」
俺はそう思うのだった。わかっているからこそ、こう思うのかもしれない。
「俺は明日以降、少し主催者側をさぐってみる。」
「あまり目立った事はするなよ。」
「わかっている。ウルティアにはだいぶ釘をさされた・・・今日もさされるかもな。」
「フフ・・・そうかもな。」
「(見た目でも少し目立つかと・・・・・・。)」
俺は心の中でそう思うのだった。
「無理をしないようにな。」
「ああ・・・2人共お休み。」
「うん。」
「ああ。」
ジェラールは後ろを振り向き、ここから去って行こうとする。
「我々も戻るとしよう。」
「はい。」
俺とエルザさんも、皆の所へ戻る事とした。
「遅くなってしまった。」
「もう宴会は終わっているでしょね・・・宿屋へ戻りましょう。」
「ああ。」
俺とエルザさんは宿屋へ戻るとしていた。その時だった。
「やーっと見つけたっ!!」
「!?」
「誰だ!」
俺達に声をかけてきた人がいた。女の人みたいだが・・・。
ローブを被っていて、顔は見えなかった。
「ウフフ、元気最強?」
「は?」
「!お・・・お前は・・・!」
さっきの言葉にエルザさんは驚いていたが、すぐに笑う。
「エルちゃん、久しぶり~♡」
その人は露出の高い恰好をして、猫のような顔立ちだった。
髪の毛も猫耳っぽい特徴だった。
「ミリアーナ!」
「知り合いですか?」
「ああ。」
「会いたかった~~っ!!!」
そのミリアーナさんはエルザさんに抱き付く。
「あはは。」
「・・・先に言っておきますよ?」
「ああ。」
昔の知り合いに会えたんですから、
俺はいない方がいいと思い、先に宿屋に戻る事にした。
「おっ!ウェンディ!!」
「お兄ちゃん!」
途中で、ウェンディ、シャルル、ミント、
ナツさん、ルーシィさん、ハッピーを見つけた。
どうやらまだ宿屋に戻っていなかったようだ。
「エルザは?」
「昔の知り合いと会っています。」
「そっか。」
「これから宿屋へ?」
「ああ。」
「・・・あれ?グレイさんは?」
「えっと・・・」
「気の毒な事に、乱入してきたリオンに捕まったみたい。」
『今日こそハッキリさせようじゃないか!』
『ジュビアもハッキリさせましょう!』
「あはは・・・。」
哀れですね、グレイさん・・・。
「ん?宿屋の前に誰かいるぞ?」
「本当だ。」
「確かに。」
「目ぇいいわね、アンタら・・・・・・!」
俺達は宿屋の前にいる人物に驚いた。
「お前は。」
「剣咬の虎の」
「星霊魔導士。」
「確か、ユキノ、さんでしたね?」
剣咬の虎の星霊魔導士のユキノさんだった。
今日の最後のバトルで出た人だ。
ルーシィさんが持っていない黄道十二門の残り2つと、
それを上回る蛇遣座の星霊を持つ人だ。
水色のショートボブヘアに薔薇の髪飾りが特徴で、
格好がバトルの時のは白く、魔術師のような格好だったが、
今はタンクトップとズボンだけのシンプルな格好だった。髪飾りもない。
「用事?あたしに?」
「はい。ルーシィ様に大切な用事があり、伺いました。」
ユキノさんはどうやらルーシィさんに用があるみたいだ。
「セイバーが何の用だよ。」
「ちょっとナツさん・・・。」
「話しぐらいは聞いてあげましょ?」
ナツさんの言葉に俺とウェンディがそう言う。
「あつかましい申し出ではありますが、これを。」
ユキノさんはあるものを出した。
「双魚宮の鍵と天秤宮の鍵。この2つをルーシィ様に受け取っていただきたいのです。」
「え?」
俺達は驚いた。
まさかの黄道十二門のルーシィさんが持っていない残り2つを
ルーシィさんに渡そうとしたのだからだ。
「そんな・・・無理よ、もらえない。」
「1日目にあなたを見た時から決めてました。
大会が終わったらこの鍵をお渡ししようと。」
「大会終わってねーじゃん。」
「私の大会は終わりました。私の替わりにはおそらくミネルバ様が加わるでしょう。
これで剣咬の虎を変えた最強の5人がそろいました。」
「それって・・・」
『ギルドのマスターが変わったのと、
もの凄い魔導士が5人加入したのが強くなったキッカケだね。』
「アンタは入ってなかったのね。」
ハッピー達はマックスさんが言ったあの言葉を思い出し、そう言う。
「私などまだ新米の1人です。仕事中だったミネルバ様の代わりを任せたにすぎません。」
「でもどうしてですか?それはあなたの大切な星霊ですよね?」
ウェンディがユキノさんにそう尋ねる。
「だからこそ私より優れた星霊魔導士である
ルーシィ様の許においていただいた方が星霊達も幸せなのです。」
「嬉しい申し出だけど・・・やっぱりあたしには・・」
「あなたはすでに黄道十二門の鍵を10個も揃えています
この2つと合わせて12の鍵全てが揃うのです 世界を変える扉が開く。」
「世界を変える扉?」
「ただの古い言い伝えです。私にもその意味はわかりません。
もうお気づきかもしれませんがこの数年で星霊魔導士の数は激減しました。
先日の『ゼントピア』の件もあり、もはや星霊魔導士は私達のみかもしれません。」
「ゼントピア・・・・・・。」
ユキノさんのあの言葉に、俺は・・・いや俺達全員が思い出す。
あの無限時計の事を・・・・・・そして俺は・・・忘れていたあの事を・・・・・・。
「あなたは星霊に愛され星霊を愛する方です
12の鍵を持って星霊と共に歩むべきなのです。」
「・・・・・・。」
しばらく、沈黙が続いた。
「やっぱり受け取れない。」
「!?」
ルーシィさんの言葉に驚くユキノさん。
「星霊魔法は絆と信頼の魔法・・・ そんな簡単にオーナーを代わる訳にはいかない。」
ルーシィさんらしい答えだった。
「簡単・・・な決意ではないのですが」
「え?」
「・・・?」
ユキノさんは小さな声でつぶやいた。
「いいえ・・・あなたならそう言うと思っておりました。
いずれ時が来ればおのずと12の鍵は再び揃うでしょう。」
ユキノさんの言葉に、ルーシィさんは笑顔で頷く。
「またお会いにできるといいですね」
ユキノさんはそう言い、宿屋から去るのだった。
「じゃあ、私達お風呂に入るね?」
「ああ。」
ウェンディ、シャルルとミントは風呂場に行った。
「・・・・・・。」
「どうしたのナツ?」
「・・・・・・俺、言い忘れてたことがあるから、行ってくるぜ!
行くぞハッピー!!」
「あい!!!」
ナツさんとハッピーはユキノさんを追いかけていくのだった。
「言い忘れてた事・・・?」
「何だろうね・・・まあ、いいわ。あたしもお風呂に入るわ。」
「はい。」
ルーシィさんも風呂場に行くのだった。
少しして・・・
ドォォォン・・・!
「?何だ?」
遠くの方から大きな音が聞こえた。
がちゃ
「グレイさん、エルザさん。」
「帰ったぜ。」
「うむ。」
「さっきの人と、話でもしましたか?」
「ああ・・・・・・まぁ、な・・・。」
「・・・ん?」
グレイさんとエルザさんが帰ってきた。しかしエルザさんの様子がおかしい。
「何かあったんですか?」
「・・・いや・・・。」
「・・・・・・・・・。」
あまり答えたくない事かもしれないので、深く追及はしなかった。
「エルザ、グレイ!帰って来たんだ。」
「おかえり~。」
風呂場から出てきたルーシィさんとミントがそう言う。
「まだ帰ってきてないのね、ナツとハッピーは?」
「ああ。」
シャルルの言葉に俺は頷く。
がちゃ
「ナツさん。」
次はナツさんが帰ってきた。
「・・・?」
ナツさんも様子がおかしい・・・今日はみんなの様子がおかしい夜だった・・・。
王宮のある部屋にて・・・
「10の鍵を持つ少女と2の鍵を持つ少女・・・12の鍵がそろう!!!!
エクリプスは完全に起動する!!!!
ゼレフ・・・ゼレフ・・・ゼレフ、ゼレフ!!
ふふふ、ははは、ははははははははっ!!!」
部屋にいたのはアルカディオス。
部屋は本などが散らかっており、
目の前のボードにはたくさんの紙が貼ってあった。
アルカディオスは黄道十二門を持つルーシィとユキノの鍵の
発見に笑うのだった。
ルーシィだけでなく、ユキノの方にも危機が迫っているかもしれない・・・・・・。
後書き
どうも、白鋼です。
仕事が忙しいだけでなく、かなり寒くなってきました。
また投稿が遅れるかもしれませんが、できる限り、早く出します。
今回の話で、ユキノの言葉の1つにある重要な事があります。
わかった人はわかりましたか?
次回の大魔闘演武3日目は少しルールが変わります。
お楽しみにしててください。
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