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レインボークラウン

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第二百八十三話

               第二百八十三話  風は一つか
 美樹は自分の部屋で机に座って考えながらだ、両肩に止まっているビルガーとファルケンに対して問うた。
「ねえ、風ってね」
「風、ですか」
「ご主人様の魔法の」
「ええ、風は一つかしら」
 こう尋ねるのだった。
「果たして」
「いえ、暖かい風もあれば」
「冷たい風もありますし」
 二羽の使い魔達はすぐに主に答えた。
「そよ風もあり」
「突風もあります」
「竜巻もそうですし」
「鎌ィ足もあります」
「そこはそれぞれですね」
「まさに」
「そうよね、本当にね」
 あらためて言うのだった。
「風っていっても色々ね」
「ではご主人、これからは」
「その風をですか」
「色々とね」
 それこそとだ、美樹はさらに言った。
「やってみようかしら」
「風をですか」
「使ってみてですか」
「そして色々と出してみる」
「そうされますか」
「実際にね」
 また言ったのだった。
「色々試してみようかしら」
「はい、いいかと」
「ご主人様の魔法が成長するいい機会です」
「では本格的な魔法の修行をですね」
「これまで以上にされますね」
「やるわ」
 美樹は顔を上げた、その表情は意を決したものだった。そしてその表情でビルガーとファルケンにまた言った。
「これからね」
「はい、では」
「お励み下さい」
 使い魔達も応えてだ、主にこうも言った。
「無論我等もです」
「及ばずながら」
「共にです」
「常にお傍にいます」
「ええ、じゃあね」
「明日からですか」
「はじめますか」
「いえ、今日からよ」
 美樹は席を立った、意を決した顔のままで。そして二羽の使い魔達も主と共に行くのだった。忠実なる使い魔達として。


第二百八十三話   完


                       2015・10・28 
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