ドリトル先生の水族館
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第十二幕その六
「学問の才能がね」
「そうなのかな」
「僕達の言葉だってすぐに覚えたじゃない」
老馬はこのことを指摘しました。
「だったらね」
「僕には才能があるのかな」
学問について、とです。先生は老馬の言葉にその首を少し傾げさせてそのうえで応えたのでした。どうにもといった感じで。
「学問の」
「才能あるでしょ、普通に」
「だって博士号一杯持ってるじゃない」
チープサイドの家族はこの現実を指摘しました。
「論文もそこまで書けて」
「いつも難しい本を読んで」
「そうなるかな」
チープサイドの家族に言われても首を傾げさせている先生でした。
「僕は」
「僕もそう思うよ」
チーチーも言います。
「それはね」
「僕にはそっちの才能があるんだ」
「そして好きだから余計にだね」
ジップはこのことにも理由を求めました、どうして先生が論文を書くことも調べることも得意でそしてあらゆる学問を出来るかを。
「興味があるから」
「元々才能があって」
「そして好きだからのめり込む」
「だからだよ」
「先生はあらゆる学問が出来るのよ」
そうだとです、動物の皆で先生に言うのでした。
「文系も理系も」
「あらゆる学問がね」
「それこそ」
「運動神経は全然だけれどね」
「あと家事のことも世事のこともね」
「そういうのは全然だけれど」
「先生は学問の才能があるのよ」
このことは確かだというのです。
「本当にね」
「その才能はあるわよ」
「しっかりとね」
「だといいけれどね、とにかくね」
先生は皆のご自身への分析を聞きながら言いました。
「研究室に戻ったら早速論文書くよ」
「今日はまだ時間があるし」
「それでだね」
「論文を書くんだね」
「帰る時間まで」
「そうするよ、それじゃあね」
こうお話してでした、先生は実際に研究室に帰ってでした。
ダイオウグソクムシさんについての論文を書くのでした、論文はすぐに書き終わって学会に提出しましった。
その論文を提出した日にです、日笠さんが研究室に来て先生に言ってきました。
「本当に今回も」
「今回もですか」
「お疲れ様でした」
深々と頭を下げての言葉でした。
「何かと」
「診察のことですか」
「それにダイオウグソクムシのことも」
「彼はまだ食べていませんね」
「はい、しかし色々調べてくれましたね」
日笠さんが言うのはこのことでした。
「これは大きなことです」
「グソクムシ君への研究について」
「論文を読ませて頂きましたが」
「それが、ですね」
「非常に素晴らしかったです」
そうだったというのです。
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