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ダッチェスのお話

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第二章

「あの人のお家に行って」
「そのうえで」
「そうしてみるよ、そしてあの人をぎゃふんと言わせてやるんだ」
 今から楽しそうに言うダッチェスでした。
「今夜にでもね」
「よし、じゃあね」
「僕達も一緒に行くよ」
「君がどういう悪戯するのか見るよ」
「何なら協力しようかい?」
「それには及ばないよ」
 自信たっぷりにです、ダッチェスは協力を申し出た皆にこう返してそれを断りました。
「僕だけでやってみせるよ」
「自信があるんだね」
「じゃあその自信を見せてもらうよ」
「是非共ね」
「そうしてくれると嬉しいよ、ただね」
 ここで、です。ふととした感じで、でした。
 ダッチェスは周りを見回しながら皆にこう返しました。
「今日は寒いね」
「うん、冬になったからね」
「随分と寒いね」
「そうなってきたね」
「もう完全に冬だよ」
「雪降るかな」 
 ダッチェスはその寒さを身体で感じながら言いました。
「ひょっとして」
「うん、そうかもね」
「この寒さだとね」
「お空もどんよりとしてるし」
「やっぱりね」
「降るかもね」
 こうお話しながらです、皆で雪のこともお話してでした。その夜に。
 皆でマクレガーさんのお家に来ました、ただ。
 一面もう銀世界です、夜ですが周りはもう真っ白です。
 その真っ白な世界の上を歩きつつです、ダッチェスは一緒にいる皆に言いました。
「じゃあね」
「うん、これからね」
「悪戯を仕掛けるんだね」
「そうするんだね」
「そうするよ、具体的にはね」
 どういった悪戯をするかもです、ダッチェスは言いました。
「マクレガーさんのお家に向かって吠えるよ」
「そしてマクレガーさんが出て来てもだね」
「夜の中だからダッチェスは見えない」
「それでマクレガーさんは吠える相手を探しても見付からないのでね」
「困るっていうんだね」
「そう、そうした悪戯をするよ」
 これがダッチェスの考えでした。
「マクレガーさんびっくりするだろうね」
「よし、それじゃあ頑張るんだよ」
「僕達は物陰から見守っているよ」
「健闘を祈る」
「作戦開始」
 皆で陽気に言ってでした、ダッチェスを送りました。そしてダッチェスは実際にです。
 マクレガーさんのお家の近くまで行って吠えます、暫く吠えていると。
 マクレガーさんがお家から飛んで行ってです、怒って言いました。
「どの犬だ」
「あっ、出て来たよ」
「マクレガーさんが早速ね」
 物陰から見守っている皆は様子を見つつお話します。
「けれどダッチェスは見付からないよ」
「絶対にね」
「夜だからね」
「真っ黒のダッチェスは見付からないよ」
「何があってもね」
 皆はこう確信していました、そしてダッチェスもそう思っていてです。 
 隠れもせず吠え続けます、そうしてマクレガさんを困らせようとしていましたが。
 そのマクレガーさんはダッチェスのいる方にでした、石を投げてきました。
「そこか!」
「あれっ、見えている!」
「この黒犬、何のつもりだ!」
「完全に見えているよ」
 ダッチェスもマクレガーさんが自分の姿が見えていることを察しました。 
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