転生とらぶる
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Fate/stay night
1166話
衛宮の家から出て来たタイガー……もとい、藤村大河。
衛宮の姉のような存在であり、扶養家族のような存在でもあり、教師のような存在でもある。
そんな藤村だけに、恐らく衛宮の家でいつものように朝食を食べていたのだろう。
普段であればとっくに学校へと向かっている時間だが、今はワカメのせいで学校が休校中だからな。学生程じゃないにしろ、時間はある程度あるらしい。
「おはようございます、藤村先生。実はちょっと衛宮君に相談があって来たのですが」
凛がいつものように猫を被り、藤村と言葉を交わす。
何気に藤村と一番関係が深いのは綾子だったりするんだが……どうやら、今は凛に任せる事にしたらしく、何を言うでもない。
「ふーん、士郎にねぇ。ちょっと待ってて、呼んできてあげるから! 士郎、しーろーうー! お客さんだよー!」
告げるや否や、速攻で玄関に戻っていく。
この辺の突っ走り具合は俺が原作で知っている通りだ。
……そう言えば、まだ記憶が戻ってなかった時に電話をしてきたのに出た事があったか。
この世界は原作と大きく違っており、凛のサーヴァントが俺になった影響で衛宮と凛がバーサーカー対策として手を組んでいない。
ライダーの結界についても結局手を組む事がないままに事態が進んだせいか、衛宮と関わるのが自然と少なくなり、結果的に俺が藤村と遭遇する機会は減ったんだよな。
もし俺がセイバーの代わりに衛宮に召喚されていれば……一瞬そんな事を考えたが、どうあっても衛宮と性格が合わないのは考えるまでもない。
マスターを殺したキャスター程じゃないが、それでも決定的な仲違いをしていた可能性は高い。
それに……凛に召喚されたからこそ、俺は凛と綾子という2人の女と出会った。
全く、レモンが以前言っていたように、俺が新しい世界に行けばその度に新しい女を連れ帰ってくるってのを笑い飛ばせなくなったな。
……門世界からは誰も女を連れてこなかったけど。
いや、正確にはハイエルフのテュカを始めとして何人も連れ帰ってるけど、この場合はレモンの言っている意味の女じゃないから問題ないだろう。
凛や綾子に対してどうするか……ってのも、きちんと考えておかないといけないんだよな。
既に聖杯戦争も終盤だ。
それを思えば、将来の事を考える必要が出てくるのはおかしな話じゃない。
「遠坂、アークに……美綴も……一体どうしたんだ?」
そう告げながら姿を現したのは、当然の如く衛宮。
綾子の姿を見てどこか気まずそうな表情を浮かべていたのは、やっぱりライダーと手を組んでいるというのが後ろめたいからなのだろう。
実際にはワカメの指示だったんだろうが、結局ライダーのせいで綾子が人間を辞める事になったのは事実だし。
そんな、どこか気まずい雰囲気となった中、再び藤村が玄関へと戻ってくる。
「何、暗い雰囲気になってどうしたのよ? あ、もしかして士郎が遠坂さんや美綴さんに何か妙な真似をしちゃったとか? 駄目よ、士郎。まだ学生なんだから、いかがわしい事をしちゃ」
そうして、横を通り抜け様にニンマリと笑ってそんな事を告げていく。
「藤ねえっ! 一体何を言ってるんだよ!?」
「にゃははは。じゃあねー!」
そう告げ、素早くスクーターに乗って去って行く。
「ったく、何だってんだよ……で、えっと、何の用件で?」
「決まってるでしょう? 桜の件よ。綾子が来てるのも同じ理由」
「……え? もしかして、桜をどうにかしてくれるのかっ!?」
「ええ。……まぁ、対価に関しては後で話をするとして、どうにかなる目処は付いたわ。ただ、今も家には桜がいるのよね? 間桐臓硯が桜の心臓に巣くっているのなら、桜の前では話が出来ないわ。どこか桜に聞かれそうにない場所で話したいんだけど……どう?」
凛の言葉に、衛宮は少し考え……やがて小さく頷く。
「分かった。桜にはちょっと外して貰って、道場で話そう。あそこなら周囲に蟲とかがいればすぐ分かるだろうし」
「そ? じゃあ、それでお願い。集めるメンバーは分かってるわよね?」
「セイバーとイリヤ、それと……」
一旦言葉を止め、綾子へと視線を向ける衛宮。
まぁ、何を考えているのかは大体予想出来る。
綾子が半サーヴァントになった件だろう。
その原因がライダーだが、桜の件を話すとなるとライダーがいないと、色々不味いのは事実だ。
それを言いにくそうにしている衛宮に、綾子も気が付いたのだろう。特に問題がないと首を横に振る。
「確かにあたしはあのライダーってののおかげで、半サーヴァントなんて存在になった。けど、逆に言えばあの行為があったからこそ、あたしは魔術に関して詳しく関わる事に……何より、アークと強い絆を得る事が出来たんだ」
一応衛宮の前だからという事で、真名のアクセルではなくアークという名前で呼ぶ綾子。
気を使って貰ってありがたいが、そもそもこの世界で俺の名前が知られたとしても全く困らないんだけどな。
この世界に俺は存在しないし。
ただまぁ……真名を使った魔術や呪術とかってのはあるかもしれないから、それを思えばいいかもしれない。
「強い絆って……だって、遠坂と……いや、まぁ、いい。とにかく美綴がそれでいいなら、俺としても文句はない。ちょっと待っててくれ。道場に案内するから」
そう告げ、どこか不審そうに俺の方へと視線を向けると、庭を通って道場の方へと案内する。
そうして到着した道場は、俺の知ってる……正確には原作知識で知っているとの同じであり、普通の家で持つにしては随分と立派な道場だった。
いや、本当に何でこんなに立派な道場を持ってるんだろうな。
確か、ここはZEROの時に衛宮切嗣が買った場所だったけど、そもそも、何だってこんな大きい武家屋敷を……
「おーい、セイバー。ちょっといいか?」
道場の中では、セイバーが正座をして目を瞑っているところだった。
精神集中をしていたんだろう。
「シロウ? ……アークエネミー……」
セイバーの視線が俺の方に向けられ、少しだけ肩に力が入るのが分かる。
……まぁ、昨日俺に脇腹を抉られたばかりだし、そういう感情を抱いてもしょうがないか。
「……何故ここに?」
「残念ながら、お前と戦う為……とかじゃない。桜とかいう相手をどうにかする手筈が整ったからな。それを知らせに来ただけだ」
「っ!? こんなに早く、ですか?」
「ああ。まぁ、こっちも昨日お前達と別れてから色々あったんでな」
正直、本当に昨日は密度の濃い1日だった
あれ程に色々な出来事が起こって忙しかった1日は、シャドウミラー時代を含めてもそう多くないんじゃないだろうか。
「それは……では、桜は助かるのですか?」
「どうだろうな。俺の取る方法が上手くいけばかなりの確率で助ける事が出来ると思う。ただ、それがどんな方法かをお前達に教える必要もあるから、それを説明しにな」
何も知らない状況で桜にルールブレイカーを刺したりすれば、その時点でセイバー達と敵対する事になりかねない。
その為、前もって知らせておく必要はある。
「……なるほど。士郎、ここに連れて来たという事は?」
「ああ。ここなら桜に聞かれるような事はないだろうからな。今からイリヤやライダー達を呼んでくるから、少し待っててくれ」
そう告げ、衛宮は道場から去って行く。
それを見送り、俺達は道場の中で無言の時を過ごす。
『……』
凛と綾子が道場を見て回り、俺はセイバーにじっと見られているという状態。
うーん、記憶を取り戻してからセイバーと会うのはこれが初めてだけど……いや、そもそも昨日の昼間に会ってるのか。
何だか、正直色々と微妙な感じがする。
まぁ、具体的に何がどうこうって訳じゃないんだけど。
「アークエネミー、貴方、何か変わりましたか?」
「……何がだ?」
「いえ、こうして見ていると、何か少し、こう……そう、違和感。違和感のようなものが……」
随分と鋭いな。もしかして、これも直感が関係しているのか?
まぁ、直感に関しては念動力を持っている以上、俺もどうこう言えないが。
「そうか? 俺としては特に何が変わったって事はないんだがな。それより、お前はどう思っているんだ? サーヴァントとして聖杯戦争に参加している以上、当然お前も願いがあるんだろ?」
「当然です」
「その割りには、ライダーと組んでたりするんだな」
「それは……この件に関しては、一時的なものですから」
セイバーの願いってのは、セイバー自身が王になったのを、別の人物にする――正確には王の選定をやり直す――って願いだった筈だ。
……まぁ、それをどうこうは言わない。
俺自身も、シャドウミラーの王のような立場だが、その辺は人それぞれだしな。
ただ、今の汚染された聖杯では、願いを叶えようとしても……さて、どうなる事やら。
恐らく死人が大量に出るのは間違いないだろう。
まぁ、キャスターがいれば話は別だったかもしれないが、既に俺が殺してしまったからな。
つくづく惜しい真似をした。
「ま、それはそっちの事だし、俺からは何を言うつもりもないが」
「……そうですか。ですが、私は決して貴方にも負けはしません。必ず聖杯を手に入れてみせます」
そう告げるセイバーだが、衛宮の魔力では発揮する力には限界があるんだろう。
原作でも、凛と契約した時には一回り……下手をすれば二回りはステータスが上がっていたし。
今のセイバーが魔力を回復する手段は、衛宮からの細いパスを通しての魔力供給に、食事と睡眠。
まぁ、俺と凛がやっているようにパスを強化すればもう少しはマシになるんだろうが、衛宮とセイバーのどちらもが朴念仁である以上、それを実行するのは無理だろう。
そんな風に考えていると、やがて道場の入り口の方から衛宮、ライダー、イリヤ、そのお付きのホムンクルスの侍女2人が姿を現す。
その中でも、イリヤが俺の方を睨んだのを見ると……やっぱりまだ嫌われているらしい。
いや、イリヤにとっては大事な存在であるバーサーカーを消滅させたんだから、その辺は無理もないか。
イリヤのお付きの2人も、セラの方はキツイ視線を向けているし、リズの方は特に表情を動かさずにこっちへと視線を向けていた。
これもまぁ、分からないではない。
そしてライダーは……眼帯をしてるから、どんな表情をしているかは分からないな。
凛や綾子も衛宮達に気が付き、全員が道場の一ヶ所へと集まる。
「遠坂、ライダー達を連れて来たから、説明をしてくれ」
「ええ。……と言っても、私じゃなくてアークエネミーがするんだけどね。お願い」
「ああ」
凛の言葉に頷き、1歩前に出る。
そうすると、当然のように全員の視線が俺に集まり……
「桜という女を助ける為に使うのは……これだ」
空間倉庫からルールブレイカーと鵬法璽の2つを取り出す。
それを見た瞬間イリヤが後ろに飛び退き、セラとリズがそんなイリヤを庇うように前に出る。
「何よ、それ! そんな物をどこから出したの!」
そう叫ぶと同時に、イリヤの髪の毛が使い魔のような形になって空を舞う。
……イリヤってこんな事を出来たのか?
俺の炎獣みたいな感じの能力だな。
「落ち着け。別に敵対する訳じゃない」
イリヤの視線が向いているのは鵬法璽の方だが、ルールブレイカーの方にも警戒の視線を向けている。
さすがに一流の魔術師だけあって、これがどれ程異常な物かを理解出来るんだな。
魔術や魔法が一切存在しない世界では、こっそりとこれを出しても全く気が付かれる様子はなかったんだが。
「幾つか条件はあるが、その条件をクリア出来れば、全く問題なく桜とかいう女を助ける事が出来ると思う」
「……やり方は?」
衛宮の言葉に、少し驚く。
これまでの俺とのやり取りから、絶対に怪しんでくると思っていたからだ。
そんな俺の様子が、余程意外だったのだろう。衛宮が不思議そうな顔で先を促してくる。
普段ならこれまでの経験から色々と俺に突っかかってきてるんだろうが、それをしないってのは……多分それだけ余裕がないからか。
となると、俺の予想通りにサーヴァントの魂は全てがイリヤに収まっているって訳じゃなさそうだな。
「こっちの短剣はキャスターの宝具で、鵬法璽の方は……まぁ、俺の宝具だと思ってくれ」
正確には宝具でも何でもないんだけどな。
空間倉庫の方が宝具で、その中に入っているマジックアイテムという形だし。
その点では、金ぴかの王の財宝と似たようなものか。
「この鵬法璽というのは、一度した約束を絶対に破る事が出来ないという能力を持っている。それと、この短剣で桜を刺せば、臓硯をどうにかする事は出来る筈だ」
ルールブレイカーの説明に凛と綾子が少し眉を動かす。
それは当然だろう。ルールブレイカーの能力は魔術的な契約の類を消し去るといものだ。
決して、心臓に巣くっている奴を殺すような能力ではないのだから。
ただ、聖杯の汚染とか、アンリマユとの契約とか、そっちは今のところなるべく黙っておきたいんだよな。
ともあれ、俺の説明を聞いて衛宮達はルールブレイカーと鵬法璽へと一縷の希望を抱いた視線を向けるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1187
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