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三十五歳独身が

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第六章

「しかもいきなりはじまったし」
「いいじゃない、年下でも」
「姉さん女房なんてよくあるわよ」
「むしろそれ位の差があってこそ面白くない?」
「色々と教えてあげるって感じで」
「そうかしら、しかもいきなりはじまったし」
 その交際がとだ、祐加奈は今度はこのことを話した。
「戸惑ってるわよ」
「そういうこともあるじゃない」
「むしろ相手が出来てよかったじゃない」
「まさに千載一遇でしょ」
「そんな感じじゃない」
「じゃあ」
 祐加奈は友人達に確認を取った。
「このことは」
「ええ、そうよ」
「逃さないことよ」
「絶対にね」
「その子と結婚しなさい」
「次はないかも知れないから」
「ううん、結婚ね」
 結婚という言葉も聞いてだ、祐加奈は皆にこのことも話した。
「この前プロポーズも受けたわ」
「あら、積極的な相手ね」
「そこまで一気に仕掛けてきたの」
「もう押しの一手」
「今時珍しい肉食系ね」
 肉食系男子だというのだ、確かに最近は減っているかも知れない。
「それじゃあ乗りなさいよ」
「相手がそこまで攻めてきたら」
「乗らないとね」
「女が廃るわよ」
「ラストチャンスかも知れないし」
「ううん、じゃあ受けるわね」
 そのプロポーズをとだ、祐加奈は友人達に答えた。
「彼のプロポーズ」
「ええ、そうしなさい」
「絶対悪いことじゃないから」
「もうここでプロポーズも受けて」
「結婚よ」
「その彼と結婚すべきよ」
「そうするわね、けれどね」 
 友人達に頷いてからだ、祐加奈はこうも言った。
「本当にいきなりね」
「交際がはじまって」
「プロポーズされたのも」
「いきなりっていうのね」
「どっちも」
「そうよ、正直戸惑ってるわ」
 驚いてというのだ。
「今ね」
「まあそれが世の中よ」
「世の中いきなりはじまることも多いでしょ」
「それはあんたについてもそうで」
「いきなりはじまってことよ、今回はね」
「それだけのことなのね、じゃあそのいきなりに乗って」
 祐加奈はここで腕を組んで考える顔になった、そのうえでまた言った。
「結婚するわね」
「ええ、そうしなさい」
「その場で即答したらもっとよかったけれど」
「じゃあね」
「幸せになりなさいよ」
「そうするわね、じゃあ」
 ここでだ、祐加奈は。 
 コーヒーを手に取ろうとした、だが友人の一人にこう言われた。
「ひょっとしたらね」
「どうしたの?」
「もうすぐ暫くコーヒー飲めなくなるかもね」
「私が?」
「ええ、刺激物だから」
「まさか」
「彼とはもうでしょ」
「交際してるから」
 祐加奈は今度はバツの悪い顔になって答えた。
「それはね」
「だったらね」
「そっちもなのね」
「いきなりかも知れないわよ」
「まさかと思うけれど」
「こうしたことは続くから」
 いきなり、はというのだ。 
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