花祭り
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第一章
花祭り
ペルーのクスコに程近い小さな村は今は祭りの日を迎えようとしていた、村人達は誰もが一張羅を出して賑やかに歌い踊る用意をしていた。
その中でだ、アルゼンチンからマチュピチュを観に来た観光客ファナ=サンバドルはその村人達を見てきょとんとしてガイド役でもある友人のルチアーナ=シドに尋ねた。二人は同じ職場の同僚でもある。
「あの、何かね」
「村の人達がっていうのね」
「賑やかだけれど」
「見ればわかるでしょ、もうすぐね」
「お祭りなのね」
「そうよ、明日らしいわよ」
「そうなのね」
ファナはその黒い大きな目を瞬かせて言った。
「だから賑やかなのね」
「というかね」
ルチアーナはその短いがかなり癖のある黒髪に手をあててやれやれといった顔でファナに対して言った。
「同じ中南米でもね」
「アルゼンチンのお祭りは、というのね」
「何か違う感じだから」
それでというのだ。
「何かって思ったのよ」
「それでなのね」
「ええ、キリスト教っていうか」
「そうよね、また違うわよね」
ルチアーナもこう返す。見れば二人共黒髪で黒い目であるが肌は白く背もそこそこあり胸もある。アルゼンチン人の人種的主流である純粋なラテン系だ。ただ顔立ちはそれぞれ違いルチアーナの髪は短いがファアの髪は長くストレートだ。
「別の宗教の感じがあるわね」
「ペルーだからなのね」
「そうよね、やっぱりね」
ルチアーナは参加しているツアーの人達も見た、尚彼女はファナと一緒に来ていてペルーははじめての彼女のガイド役でもあるのだ。
「インカ帝国でね」
「そっちの神様の感じよね」
「そうね、インカとかアステカとか」
「マヤとか」
「まあマヤとかはメキシコだけれど」
「同じ中南米だしね」
「そっちの感じがするのは確かね」
実際にというのだ。
「ここでもね」
「そうよね」
「まあそれでもね」
「マチュピチュと一緒でね」
「この国もやっぱりペルーで」
「ペルーの感じね」
「当然って言えば当然だけれど」
そうした感じだというのだ。
「この国もね」
「そうよね、じゃあ今日は」
「ツアーの予定はこの村で一泊してね」
そしてというのだ。
「明日のお祭り見るそうよ」
「そういえば予定で書いてあったわね」
「そうでしょ、何でのこの村のお祭りはね」
ルチアーナはファナに真面目な調子で話した。
「独特らしいから」
「この辺りのお祭りの中で」
「それでツアーの観光の予定に入れたらしいのよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「明日は私達もお祭りに参加してね」
「楽しむのね」
「そうよ、それとこの村の宿屋に入るから」
「これからね」
「私達一緒のお部屋だから」
「あっ、そうだったわね」
「お部屋でここのお酒飲みましょう」
にこりと笑ってだ、ファナに酒を勧めるのだった。
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