ロックマンX~5つの希望~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
Another30 裏切り
前書き
リディプス裏切り
エックス達とレジスタンスが無事に帰還した後、イプシロンを倒し、リベリオンを壊滅させたという報せは総督府からすぐにギガンティス全土に行き渡った。
アリア「本部に戻るのは3日後だよ」
エックス「え?」
アリア「エックス君達のダメージを調べた結果、アーマー、内部機関が酷い有り様でね。精密検査その他諸々で、本部に戻るのは3日後だとシグナス君達に伝えておいたから、リディプス大佐の飛行艇も3日後の早朝辺りに迎えに来るから、メンテナンスが終わったらギガンティスのみんなに挨拶でもしてきなよ。」
ルイン「アリア博士…」
アリアの気遣いにエックス達は笑みを浮かべる。
アリア「それじゃあみんな、メンテナンスをするからスリープモードに切り替えて」
全員【了解】
全員がスリープモードに切り替え、眠りについた。
ガウディル「ふうむ、ルインとルナは人間素体型レプリロイドじゃと聞いてはいたがこれは凄いのお。人間の肉体の性質を持っておるためか、体内のナノマシンによる自己修復能力を飛躍的に高めておるんじゃな」
アリア「そういうこと。アクセル君やエックス君やゼロ君みたいな自己治癒能力を持たない2人にとっては必須なのかもね……」
今まで酷いダメージを受けても助かったのは戦闘型レプリロイドの頑強なボディもそうだが、レプリロイドと人間の回復力が合わさったからだとも言える。
ガウディル「ルインとルナもそうじゃが、エックスもゼロもアクセルも、遥か昔の未知の技術で人間に造られたレプリロイドなんじゃな。わしもまだまだ人間から学ばねばならないことが沢山あるグワ」
アリア「そりゃあ、エックス君はライト博士の最高傑作でレプリロイドの始祖だし、ゼロ君やアクセル君もワイリー博士の最高傑作だしね…アクセル君はワイリーナンバーズかどうかは微妙だけどね。まあ、人間で言う従兄弟みたいなもんかな?」
ガウディル「グワッ!!?ゼロとアクセルがあの200年前に存在したマッドサイエンティスト、アルバート・W・ワイリーの最高傑作!!!?」
アリア「声がでかい」
モデルXに変身して拳骨を喰らわせるアリアを見て、ゼロの様子を見ていたアイリスは吹き出した。
ガウディル「グワワ…ッ…す、すまん…そ、それにしても不思議な物じゃな。本来ならエックスとは敵同士であるゼロとアクセルがエックスの親友、後輩として互いに支え合っておるとは……」
アイリス「3人は宿命を乗り越えたんですよ。今の3人はルインとルナと一緒に世界を守り続ける存在なんですから」
アリア「そだね」
ガウディル「そうじゃな……生まれはともかく、ゼロとアクセルはこの世界に必要な存在なんじゃ…ともかく、何とかカタがついたグワな…。初めてエックス達と会った時、わしは争いごとに巻き込まれるのが何よりも嫌じゃった。じゃが、逃げ回るだけでは解決しないことがあるのを、知ったグワ…。わしの技術がエックス達の戦いに役立ったことを、今は素直に喜べるよ」
いつも頑固なガウディル博士が恥ずかしそうに言うのを見て、アリアとアイリスは互いに見遣ると笑みを浮かべた。
3日後、精密検査を終え、レジスタンス達に別れを告げるとゼロ達はいつものそれぞれの場所に向かう。
エックスとルインもモニタールームに向かうとアル長官とナナがいた。
アル「改めて礼を言わせてくれエックス…リベリオンのやり方に疑問を持ち、レジスタンスとして戦ってきたが…正直言って、君の力が無ければここまで来ることは出来なかった…ありがとうエックス!!君は最高のイレギュラーハンターだ。エール、スパイダー、そして数多くの仲間達…。彼らが信じて、ついてきてくれたことが無駄にならないよう、私はこの地に平和を築かねばな…エックス、君にはきっとまた別の任務があるのだろう。君がこの地を去っても、ギガンティスに平和をもたらした英雄が、誰なのか…。皆、忘れることはないだろう。本当にありがとう、エックス」
アル長官の礼が終わったのを見計らい、ナナがエックスとルインに歩み寄る。
ナナ「終わりましたね、エックス、ルインさん…。もう転送は必要ないです。戦いに行くエックスの背中を見送ることが出来なくなるのは、嬉しいことなんだけど…。何だか、ちょっぴり寂しい気もします」
エックス「ナナ?」
ナナの様子が少しおかしいことに気付いたエックスだが、次のナナの発言に吹っ飛んでしまう。
ナナ「ルインさん。エックスと絶対に幸せになってください。私、お2人の結婚式には絶対に出席しますから」
ルイン「え!!?あ、いや…その…」
赤面するルインだが、ナナの真剣な表情に、恥ずかしそうに頷いた。
アル「そろそろヘリポートに向かった方がいい。迎えが来る頃だ」
エックス「あ、はい」
アル長官に促され、ヘリポートに向かうエックスとルイン。
ナナ「(エックス…ルインさんと幸せになってください)」
想い人と想い人の恋人の背中を見つめるナナ。
彼女の心はとても穏やかだった。
ヘリポートに向かう途中、エックスとルインはアクセルとルナの姿を発見した。
ルナ「よう、エックス、ルイン。任務完了だな。俺が受けた任務じゃねえけど、少しくらいは俺の手柄にさせてくれよな?」
エックス「ああ、シグナス達にもそう言っておくよ」
ルイン「アクセルとルナも今回は本当にありがとうね。せっかくの休暇だったのに」
アクセル「気にしないでよ。さて…僕達はどうするかな…まだ休暇は残っているけど、一度本部に報告に帰る方がいいかな……」
ルイン「休暇が終わるまでギガンティスでゆっくりしたら?シナモンともお友達になれたのに」
アクセル「うーん…どうするかな…」
ギガンティスに休暇期間が終わるまで滞在するか、一度本部に戻るか頭を悩ませるアクセルにエックス達も笑みを浮かべた。
そして近くでアクセルとルナを微笑ましく見つめていたマッシモとエックス達の目が合う。
マッシモは笑みを浮かべると口を開いた。
マッシモ「今、このアーマーを託されたことを心の底から誇りに思うよ。俺はやり遂げたんだ。“鋼鉄のマッシモ”として!!エックス、ルイン。ありがとう…。君達が一緒に戦ってくれたから、ここまで来られたんだ。…さあ、お別れだ!!勝利を胸に、笑顔でサヨナラだ!!」
マッシモが言い切るとシナモンも此方に駆け寄ってきた。
シナモン「エックスさん…どうやらこれでお別れですね。私、変われましたか?みんなと一緒に戦って…うん、きっと変われた…私、強くなれました。エックスさん達のおかげで…これからも、私なりに頑張ってみます!!」
ルイン「うん、私も頑張るからね。」
マリノ「おーい、あんたら。迎えの飛行艇が来たよ」
エックス「ああ、ありがとう」
迎えの飛行艇が来たことを報せに来てくれたマリノにエックスが礼を言う。
マリノ「お別れだなエックス、ルイン。それなりに面白かったよ。次に会う時は、泥棒とイレギュラーハンターかな…?おっと、そんな怖い顔すんなよ。冗談だよ!!盗みはもうしないよ…ちょっとしか」
ルイン「もう、マリノ~」
エックスとルインは諦めたように笑いながら、ヘリポートに向かう。
ヘリポート前の扉では一足先にゼロとアイリスが来ていた。
アイリス「終わったわねゼロ」
ゼロ「ああ、エックス達とは何度もチームを組んでやってきたが…今度の戦いは特別だった…仲間…か…」
普段より穏やかな声にアイリスも笑みを浮かべた。
エックス「ゼロ」
ルイン「アイリス、先に来てたんだ」
ゼロ「ああ、そろそろ引き上げだぞ。みんなに別れは済ませたか?」
エックス「ああ」
ゼロの問いに答え、そしてエックス達は扉を潜った。
エックス達がヘリポートに出て、しばらくすると、飛行艇がやってきた。
アリア「おお~、盛大なお迎えで」
エックス「ええ、そうですね…」
ゼロ「どうしたエックス?まだ何かやり残したことでもあるのか?」
エックスの様子が少しおかしいことに気付いたゼロはエックスに尋ねる。
エックス「あ、いや…そういうわけじゃないんだ。ただ、ミサイルの弾頭に使われていた超フォースメタルはどこに行ったんだろうって…」
ゼロ「確かに、イプシロンやスカーフェイスの口ぶりでは、リベリオンの奴らは弾頭に使う超フォースメタルを取り戻していないようだったな」
ゼロもそのことは気になっている様子だった。
2人の会話に気がついて、アクセルも話に加わった。
アクセル「まぁ、リベリオンが壊滅して政府軍が活動できるようになったから、リディプス大佐が探してくれるよ」
ルナ「後はお偉いさん達の仕事さ」
結局、本部に戻ることにしたアクセルとルナ。
ルナはそう言うと、上空に浮かぶ飛行艇を見つめた。
だからかもしれない、飛行艇の異変に気付けたのは。
飛行艇に手を振るアル長官に向かって機関砲が向けられたのだ。
ルナ「…危ねえっ!!」
加速器をフル加速させ、アル長官を押し倒すと、機関砲の弾丸がアル長官のいた場所に風穴を空けた。
アル「な…?」
マリノ「な、何だよこれは!?」
アリア「みんな、あれを見て!!」
アクセル「あれは…連邦軍主力メカニロイド、レッドホイール!?」
ゼロ「いかん、来るぞ!!」
レッドホイールが機銃を乱射する。
ゼロは咄嗟にアイリスとシナモン達を庇う。
アイリス「ゼロ!!」
ルイン「アイリス!!アリア博士!!アル長官やシナモン達を連れて、どこか遠くに!!早く!!」
ルナ「こいつらは俺らが片付けるからよ!!アル!!ギガンティス全域に避難勧告を出して、ギガンティスの近くにある違法研究所のある島に避難しろ!!マッシモ達、そいつらを頼んだ!!」
ナナ「わ、分かりました!!」
マッシモ「あ、ああ!!」
マッシモとマリノがナナ達を守るようにヘリポートを後にする。
それを見届けたエックス達は少しでもギガンティスの住民を避難させようと、メカニロイドを迎撃する。
アクセル「変身、ナインテイルズ!!滅殺波動拳!!」
ルナ「ハイパーモード・グラキエス!!フリージングドラゴン!!」
ゼロ「零式波動斬!!」
ルイン「チャージショット!!」
エックス「ハイパーモード・グライドアーマー!!ギガクラッシュ!!」
一斉攻撃でレッドホイールを殲滅するが、こちらを銃撃する飛行艇をどうにかしない限りいくらでも増援を出されるだろう。
ルイン「アクセル、何とか飛行艇を墜とせない?」
アクセル「無理だよ!!ホーンドもナインテイルズも飛べないし…」
ゼロ「ルナはどうだ?」
ルナ「無理だな。唯一出来そうなイグニスも空飛べねえし」
エックス「俺が行く!!サードアーマー!!全リミッター解除!!」
ルイン「ハイパーサードアーマー?そうか、ハイパーサードアーマーのダブルヴァリアブルエアダッシュなら!!」
エックス「クロスチャージショット!!」
ヴァリアブルエアダッシュを使い、飛行艇に接近するエックスを迎撃するようにミサイルが放たれたが、チャージショットの中でも広範囲を攻撃出来るクロスチャージショットで防がれる。
エックス「あそこだ!!スピアチャージショット!!」
フィールドレーダーで、飛行艇の動力炉の位置を見つけるとファルコンアーマーに換装して、スピアチャージショットを放った。
スピアチャージショットは飛行艇の装甲を容易く貫いて、動力炉を破壊した。
エックス「スピアショットウェーブ!!」
駄目押しとばかりに広範囲に貫通弾を発生させるファルコンアーマーのギカアタックを喰らわせる。
飛行艇から徐々に爆発が起き、少しずつ落下していく。
ルナ「やべえ!!」
ルナが叫んだ瞬間、飛行艇が爆散した。
一方、違法研究所のある島にギリギリで避難したマッシモ達はセントラルタワーの真上が吹き飛んだことに膝をついた。
マッシモ「そ、そんな…エックス達が…」
アル「何ということだ…」
シナモン「エックスさん…ルナさん達も…うう…っ」
マリノ「シナモン…」
泣き崩れるシナモンにマリノが優しく肩に触れる。
ナナ「………」
ナナもシナモンを慰めながらも、涙を流れそうになるのを必死に堪えていた。
その時である、この場にいるメンバーの通信機が鳴ったのは。
ガウディル「こ、これは…衛星放送かグワ…?」
このタイミングで鳴ったことに嫌な予感を感じながらも繋げ、衛星放送の声を聞く。
リディプス『…こうして、リベリオンと結びつき、超フォースメタルを手にしようと企んだ裏切り者のエックス達、そして悪の科学者、アリア・グランスも掃討することが出来た!!諸君!!平和は守られたのだ!!我々、レプリロイドの平和は…』
衛星放送のリディプスの音声は全世界に告げていた。
マリノ「エックス達が裏切り者…!!?」
マッシモ「ふざけるなあっ!!」
アイリス「リディプス大佐…あなたという人は…っ!!」
アリア「あ、あの野郎…エックス君達に濡れ衣着せやがった…!!」
普段は滅多に怒ることがないアリアですら身体全体を震わせ、怒りに震えていた。
シナモン「そんな…酷いですよ!!エックスさんやアリア博士が裏切り者だなんて!!エックスさん達は今までギガンティスのために頑張ってきたのに…」
マリノ「お偉いさんにはそういうのは関係ないんだよ。自分の都合が悪くなったら例えそれが英雄だろうと、世界の問題解決に貢献した科学者でも簡単に切り捨てちまうんだ。」
アイリス「許せない…!!」
「全くだぜ、リディプスの野郎!!絶対に許さねえ!!」
「まさかリディプス大佐が僕達を裏切るなんてね」
「リディプスが、超フォースメタルを使って何かを企んでいるのは間違いない」
「こんな状況では、リディプスの元まで行って、簡単に話を聞けそうにないが…」
「でも、リディプス大佐を放っておけないよ!!行こうみんな!!」
マッシモ「ああ、分かってるさ!!エックス達の無念は…ん?」
「なあ、シナモン。何で泣いてんだ?」
シナモン「だってルナさん達が…あれ!?」
全員が振り返ると、少々のダメージは受けてはいるが、五体満足なエックス達の姿があった。
マッシモ「生きていたのか!?どうやってここまで来たんだ!?セントラルタワーの転送システムも吹っ飛んでしまったはず…」
エックス「ああ、飛んできたんだよ。俺にはサードアーマーのヴァリアブルエアダッシュとフォースアーマーのホバリングとファルコンアーマーのフリームーブ、アルティメットアーマーのジェットブースターとかの飛行手段があるから」
アクセル「僕にもホバーがあるし、万が一の時にはジェントラーとかマッドノーチラスやホーンドに変身すればいいし」
ルナ「俺はウェントスに変身すれば飛べるし、水中でもグラキエスなら速く移動出来るし」
ルイン「私はダブルジャンプとエアダッシュ、ダッシュダブルジャンプで来たよ」
ゼロ「羅刹旋か竜巻旋風脚を使えばどうとでもなる…あれくらいの距離、飛べるのは普通だろう」
ルイン「あれ?でもいつもより飛行距離長かったよゼロ」
アリア「ゼロ君、それ普通じゃないから」
余程のことでは動じないアリアですらツッコミを入れざるを得ない。
マリノ「あんたら全員とんでもない奴らだね。呆れて物が言えないよ」
ルイン「心配かけてごめんね。それじゃあ行こうよ」
アクセル「確か、この研究所の設備はまだ生きていたはず。ここの転送システムで極東司令部まで行こう。どこまでエネルギーがあるかは分からないけどね」
ルナ「おう、リディプスをぶん殴るぞ!!」
エックス「みんな、行くぞ」
生き延びたエックス達は研究所の転送システムを使って極東司令部に向かうことにしたのだった。
ページ上へ戻る