ドリトル先生の水族館
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第十一幕その六
「別にな」
「そうなんだ」
「話が出来るならそれに越したことはないしな」
「そう思って教えてもらったんだ」
「そういうことだな、ではだ」
「診察をはじめるよ」
こうしてでした、先生はグソクムシさんの診察をはじめました。その目でじっくりと診てお身体の調子も聞きました。
そのうえで、です。こうグソクムシさんに答えました。
「何処も悪くないよ」
「俺は健康か」
「健康そのものだよ」
まさにというのです。
「安心していいよ」
「ならこのままでいられるな」
「うん、ただね」
ここで、でした。先生はグソクムシさんに尋ねました。
「君のことで聞きたいことがあるけれど」
「食わないことか」
「わかっているんだね、自分で」
「周りが言うからな」
何かと、というのです。
「水槽の外からの声はいつも聞いている」
「それで君も知っているんだね」
「俺のついての話はな」
その何年も食べていないことが話題になっていることをというのです。
「知っている」
「そうなんだね、君も」
「何かとな」
「それじゃあそのことも聞いていいかな」
あらためて尋ねた先生でした。
「君はどうして何年も食べないのかな」
「食いたくないからだ」
これがグソクムシさんの返答でした。
「だからだ」
「食欲がないんだ」
「そうだ」
こう先生に答えるのでした。
「それでだ」
「食べないんだね」
「食わなくても大丈夫だ」
「何年も?」
「俺は餓える体質じゃない」
「それで何年も食べなくても」
「俺は平気だ」
本当に餓えることはないというのです。
「腹は空いていないし体力もある」
「何年も食べなくても」
「全く以てな」
「そうなんだね、君はそうなんだ」
「これでわかったか」
「君の言葉はね。ただね」
先生はグソクムシさんにです、今度はこう言いました。
「君の身体の構造はね」
「何故何年も食わないでも大丈夫がか」
「わからないんだ」
「診てもか」
「普通の生きものは何年も食べないと死ぬかっらね」
「そうらしいな」
「プランクトンも食べていないね」
先生はグソクムシさんにこのことも尋ねました。
「そうだよね」
「俺はそうしたものはな」
「そうだよね」
「それでもだ」
「ううん、じっとしてるからかな」
見ればグソクムシさんは動きません、本当に。
「君はエネルギーを使わないし」
「食わないでもな」
「何年も大丈夫なんだね」
「エネルギーは身体の中にある」
食べなくても、というのです。
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