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悠久のインダス

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9部分:第九章


第九章

「けれどな。実際に見るとな」
「そうですね。全くですね」
「ああ。凄い国だよ」
 言葉が自然に口から出ていた。
「インドってのはな」
「そう言って頂けて何よりです」
「褒め言葉か?今の俺の言葉って」
「私はそう受け取りました」
 ガイドは微笑んでそうだと返すのだった。
「いや、そう言って頂けてガイド冥利に尽きます」
「そうか。それならいいけれどな」
「はい、それでなのですが」
「それで?」
「これからどうされますか?」
 これからのことをだ。隼士に尋ねるのだった。
「今のところこれといって予定はありませんが」
「そうだな。それじゃあな」
 隼士は少しだけ考えてからだ。こうガイドに話した。
「この市場をな」
「行かれますか」
「ああ、牛に人な」
 牛が第一であった。
「見たくなったよ。もっとな」
「はい、それでは」
「それにな」
 見たくなったものはだ。まだあった。
「市場だからな。何が売られてるかもな」
「御覧になられたいのですね」
「ああ、インドじゃどんなのが売ってるんだ?」
「それこそ色々なものが」
 売られているというのである。
「ありますよ」
「色々な、か」
「香辛料もあれば」
 インドといえばこれである。かつて大航海時代にはポルトガルやスペインの者達が命懸けでこの国まで来てだ。香辛料を手に入れていたのである。特に胡椒をだ。
「その他のものもです」
「だよな、やっぱりな」
「そうしたものも御覧になられますか」
「ああ、是非な。できれば」
 さらにだ。彼は話した。
「そうしたものも買いたいな」
「わかりました。それでは」
「インドか」
 隼士はだ。自然に微笑みになっていた。
「それを見てみたくなったよ」
「でしたらこの旅行でもっと色々な場所を巡られますね」
「ああ、そうしたいな」
 実際にそうするというのだった。
「それじゃあな」
「はい、それでは」
 こうして隼士はガイドと共に市場に入りだ。様々な人々、そして牛達を見て市場の中にあるものを覗き込みそこにあるものを買った。
 マンゴーも買った。それを食べてみて満足して言った。
「美味いな」
「そうでしょう、果物も」
「カレーばかりじゃないんだな」
「お菓子もありますよ」
 それもあるとだ。ガイドは話してきた。
「どうですか、それも」
「どんなお菓子だよ、それで」
「はい、ミルクを使ったお菓子でして」
 そうしたものだというのだ。
「それはどうですか?」
「ああ、それじゃあ」
「それもですね」
「食べさせてもらうよ。カレーばかりでも」
 それでもだとだ。隼士はさらに話す。
「そうした菓子だってあるんだな」
「そうですよ。インドのお菓子は」
 それはどうかとだ。ガイドはこのことについても話した。
 
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