ロックマンX~5つの希望~
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Another27 玉座
前書き
イプシロンの元に向かったエックスとルインは…。
仲間達に背中を押された2人は、休むことなく通路を駆けていく。
ダックビルモールはマッシモが、ラフレシアンはアクセルとルナが、ナインテイルズはゼロとシナモンとマリノが押さえてくれた。
仲間達の想いに応えるためにも、自分達は負けられない。
玉座の間に着いた瞬間、2人は武器を構えていた。
ルイン「イプシロン!!」
エックス「貴様の企ては…リベリオンはもう終わりだ!!」
ルインがセイバーを、エックスがバスターを構えながらイプシロンを睨み据えた。
バスターとセイバーを突きつけられてもぴくりともしないイプシロンの表情は、バイザーの奥の瞳から、固い意思と決意を持ってエックスとルインを見据えていた。
あの時と同じように、最強のイレギュラーハンター達を前にしても恐れることなく、しかも他を圧倒するその威圧感は、まさに反乱軍を統べる覇者に相応しかった。
イプシロン「イレギュラーハンターか…」
エックスとルインを見据えながら、立ち上がるイプシロン。
イプシロン「…ミサイルの超フォースメタルを回収し、我らが“牙”を奪ったと考えているなら、それは間違いだぞ?」
ルイン「…どういうこと?」
イプシロンの言動にエックスとルインは疑問を抱いた。
イプシロンは、エックス達が超フォースメタルを回収したことに何の疑いも抱いていない。
エックス「(スカーフェイスも言っていたが、リベリオンが超フォースメタルを回収した訳ではないのなら、一体誰が…?)」
エックスが思考を巡らせようとした瞬間、イプシロンは身に纏ったマントで隠された動力炉部分に触れた。
イプシロン「超フォースメタルはまだここにある!!邪魔なお前達を排除し、次にこの我が身をミサイルの弾頭としよう!!」
エックス「な…っ!!?」
エックスとルインはイプシロンの発言に目を見開いた。
自らの身を滅ぼしてまで理想を実現しようとするのは正気の沙汰とも思えないが、理想に燃えるイプシロンの瞳は冷静であり真剣そのものだ。
止めなければと、エックスは無意識にハイパーモード・ファーストアーマーを発動していた。
エックス「そんなことはさせるものか!!スパイラルクラッシュバスター!!!!」
衝撃波と共に放たれたチャージショットは凄まじい勢いでイプシロンに向かっていく。
スパイラルクラッシュバスターがイプシロンに直撃するかと思われた瞬間、何者かが乱入した。
突然の乱入者に流石のイプシロンも目を見開いた。
イプシロン「スカーフェイス!?」
イプシロンの前に、スカーフェイスが両手と両足を広げて立ちはだかっている。
スパイラルクラッシュバスターをまともに喰らったにも関わらず、大してダメージを受けていない。
スカーフェイス「総統。この場はお任せください!!あ奴は…、エックスは、戦いの中で異常な速度で成長する力を持ちます。ここで戦っては、いかな総統といえ必ず勝てる保証はございません!!」
イプシロン「そこを退け、スカーフェイス!!この私が負けるというか!!」
スカーフェイス「総統さえご無事なら、リベリオンは滅びません!!」
スカーフェイスはイプシロンの憤りを前にしても引かなかった。
訴えるスカーフェイスの姿は、エックスやルインの目にもイプシロンを守ろうと必死に見えた。
スカーフェイス「イプシロン総統は我らリベリオンの理想そのものです!!どうか、ここは生き延びる道を…!!」
ルイン「逃がさないよイプシロン!!」
スカーフェイスの言葉を聞いた瞬間、ルインはセイバーにエネルギーをチャージしていた。
僅かでもイプシロンかスカーフェイスが動く素振りを見せたら斬り掛かりそうな勢いだ。
ルイン「あなた達の理想のために死んでいったレジスタンス達の仲間、そして私達の命を繋いでくれたスパイダーの想いに応えるためにも!!イプシロン!!スカーフェイス!!あなた達を倒す!!」
スカーフェイスはこちらにゆっくりと振り返った。
彼の左手にツインビームランスの柄が握られていた。
闘志と決意を漲らせ、スカーフェイスは再びエックスとルインの前に立ち塞がった。
スカーフェイス「総統をお護りするが我が信念…とくと見ろ!!」
迎え撃とうと身構えたルインの前に、咄嗟にエックスが前に出た。
エックス「俺にやらせてくれないか?ルイン」
ルイン「エックス?」
エックス「スカーフェイスとは前に一度戦った。奴の手もある程度把握出来た。」
ルインはエックスの瞳を見る。
決意に満ちた瞳を見て、長年エックスの傍にいたルインはこうなったエックスは止められないことを知っている。
ルインはセイバーを下ろすとエックスを見上げる。
ルイン「エックス」
エックス「ん?」
ルイン「…死んじゃ嫌だよ?」
エックス「…大丈夫、ありがとう」
エックスはファーストアーマーから唯一スカーフェイスの速度に対抗出来るブレードアーマーに切り換えた。
両者がバスターとツインビームランスを構えた。
スカーフェイス「エックス、最早我々に言葉など必要あるまい」
エックス「ああ」
互いに全身から凄まじいエネルギーを身に纏いながら、同時に武器を向けた。
スカーフェイス「受けよ!!プラズマボール!!」
エックス「ディバートチャージショット!!」
チャージショットとプラズマ弾がぶつかり合い、相殺された。
スカーフェイス「はあああああっ!!!!」
エックス「でやあああああっ!!!!」
バスターブレードとツインビームランスが何度もぶつかり合う。
しかし、剣技や純粋なパワーでスカーフェイスに劣るために、スカーフェイスの猛攻に徐々に追い詰められていくエックス。
エックス「ディバートチャージショット!!」
スカーフェイスのツインビームランスの刺突を屈んでかわし、至近距離からディバートチャージショットを放つ。
スカーフェイス「むっ!?」
ディバートチャージショットはプラズマチャージショット同様に着弾点にプラズマを生じ追加ダメージを敵に与える特性がある。
咄嗟にツインビームランスで受け止めたスカーフェイスは流石と言うべきだろうが、例え初撃を凌いだとてプラズマの追加効果でダメージは免れない。
エックス「喰らえ!!ディバートブレード!!」
ブレードアーマーのチャージブレードを繰り出すが、スカーフェイスはダメージに構わず、ツインビームランスでバスターブレードを受け止めた。
スカーフェイス「小賢しい真似を!!英雄の名が泣くぞ!!」
一瞬で姿を消したスカーフェイス。
エックスもマッハダッシュで離脱しようとするが僅かに遅かった。
スカーフェイス「せいっ!!」
エックスの背後に回ったスカーフェイスがツインビームランスを振るい、肩口から脇腹を斬り裂く。
エックス「ぐっ!!」
ルイン「強い…以前とはまるで違う超フォースメタルで能力を底上げしたの?」
イプシロン「…そうだ。スカーフェイス、フェラム、ボロックは三幹部として選ばれた際に超フォースメタルによる改造と少量の超フォースメタルを与えたのだ。」
ルイン「…逃げないの?スカーフェイスが時間を稼いでいるのに…」
イプシロン「逃げる気はない。我が理想を成し遂げるには貴様らは避けては通れぬ壁。それに…」
イプシロンはエックスとスカーフェイスの戦いを黙って見守る。
何があろうと絶対に手出しをしようとしない。
何故なら、イプシロンは腹心に絶対の信頼を置いているからだ。
ルイン「エックス…負けないで…」
祈るようにスカーフェイスの攻撃を捌いていくエックスを見つめるルイン。
スカーフェイス「プラズマランサー!!」
ツインビームランスに凄まじい雷を纏わせながら突っ込んで来るスカーフェイス。
エックスは咄嗟に屈み、マッハダッシュを繰り出す。
エックス「ドリルファング!!!!」
マッハダッシュをしながらドリル状になったブレードを突き出す。
炎のエレメントチップにより、炎属性を持ったこの技はスカーフェイスに有効なダメージを与える。
スカーフェイス「ぐおおおおお!!?」
エックス「ライジングスラッシュ!!!!」
跳躍しながらスカーフェイスの胴体を斬り裂く。
スカーフェイス「(強くなっている…私との戦いの中で恐るべき速度で…これが100年前、かつての最強のイレギュラーハンター・シグマが言っていたレプリロイドの始祖たるエックスの無限の可能性というわけか……)」
エックスの成長速度は最早異常だ。
今のエックスは超フォースメタルで強化したスカーフェイスの力を上回りつつある。
エックス「マッハダッシュ!!」
一気に距離を詰め、ディバートブレードを繰り出すエックス。
スカーフェイスもツインビームランスで受け止め、バスターブレードを弾く。
勢いよく弾かれたエックスは体勢を崩した。
スカーフェイス「終わりだ!!」
エックスの首を跳ねようと、ツインビームランスがエックスの首に迫るが…。
エックス「ガイアアーマー!!!!」
ブレードアーマーからガイアアーマーに切り換え、ツインビームランスを腕で受け止めるとスカーフェイスの腕を掴む。
スカーフェイス「ぐっ!!?」
逃れようとするスカーフェイスだが、ガイアアーマーのパワーには流石のスカーフェイスも逃れられない。
エックス「ガイアチャージショット!!!!」
スカーフェイス「ぐあああああああっ!!」
至近距離でガイアチャージショットを喰らい、吹き飛ぶスカーフェイスだが、体勢を立て直し、プラズマ弾を連射するが、ガイアアーマーの防御力を前では無力だ。
しかし鈍重なガイアアーマーではスカーフェイスを捉えることは難しいために再びブレードアーマーに換装する。
スカーフェイス「(このままでは…これだけは使いたくはなかった…やむを得ん!!)はあああああっ!!!!」
エックス「!!?」
スカーフェイス「受けてみよ!!超電磁ブレイカー!!!!」
ツインビームランスを高速回転させ、スカーフェイスの放った電磁波がマッハダッシュを使う暇すら与えずエックスを包み込むと、エックスのエネルギーがスカーフェイスに吸収されていく。
エックス「ぐっ!?こ、これは…俺のエネルギーを…!?」
身体を襲う虚脱感に、エックスは膝をつく。
早く離脱しなければともがくのだが、スカーフェイスの電磁波はそれを許さない。
スカーフェイス「いくら貴様でも超電磁ブレイカーの電磁波からは逃れられん。終わりだ、エックス」
エックス「ぐっ…!!」
迫り来るスカーフェイスに膝をつきながらも睨み据えるエックスだが、エネルギーを吸収され、バスターブレードの光刃も消失していく。
エックス「(ここまでなのか……)」
身体から力が抜けていき、最早立つこともままならない。
スカーフェイスとエックスの距離は徐々に縮まっていく。
諦めかけたその時である。
ルイン「エックスーーーーッッッ!!!!」
エックス「っ!!!!」
ハッとなり、視線を彼女に遣ると、今にも駆け寄りそうになるのを必死に耐えている彼女の姿があった。
ルイン「負けないで!!最後まで諦めたりしないで!!」
エックス「っ…そうだな…諦める訳には…いかない!!レイジングエクスチャージ!!!!」
エックスの全身から凄まじいエネルギーが迸る。
レイジングエクスチャージのエネルギーに超フォースメタルで強化したXハートが共鳴をお越し、更にレイジングエクスチャージの力を高めていく。
スカーフェイス「な、何!?」
イプシロン「スカーフェイスの超フォースメタルを超えるエネルギー値だと…?」
イプシロンが僅かに目を見開いた。
スカーフェイスに与えた超フォースメタルはボロックやフェラムよりも大きい物だ。
それを上回るエネルギーを発しているエックスに流石のイプシロンも驚きを隠せない。
エックスはバスターブレードを天に掲げると、レイジングエクスチャージで強化されたエネルギーがバスターブレードに収束されていく。
エックス「はあああああっ!!!!」
スカーフェイス「何という計り知れないエネルギー…」
超電磁ブレイカーの電磁波の影響を今でも受けているにも関わらず、エネルギーが減少するどころか増している。
これから繰り出すエックスの一撃は凄まじい威力を誇るものだろう。
このような場面で出す技だ。
生半可な威力ではない。
しかし避ければ確実にイプシロンも受ける。
スカーフェイスも超電磁ブレイカーを中断し、吸収したエネルギーも全てツインビームランスに収束させていく。
エックス「ギガブレード!!!!」
スカーフェイス「プラズマボール!!!!」
刀身から放たれる2発の衝撃波と全てのエネルギーが込められたプラズマ弾がぶつかり合い、大爆発を起こす。
そして…。
ルイン「あ…っ!!」
ルインは見た。
エックスの炎の属性を持った橙色に輝くバスターブレードの光刃がスカーフェイスの動力炉を貫いていた。
ギガブレードとプラズマボールが激突し、大爆発した瞬間にエックスはマッハダッシュでスカーフェイスに肉薄したのだ。
レイジングエクスチャージで極限まで強化されたマッハダッシュはスカーフェイスにすら反応出来なかったのだ。
スカーフェイス「我が力…及ばず…」
バスターブレードの光刃に貫かれたスカーフェイスは途切れ途切れに言った。
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