ドリトル先生の水族館
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第十幕その二
「そうしたことはいいよ」
「ただ学問をする」
「それだけなんだよね、先生は」
「贅沢も名声も興味なし」
「地位や権力もね」
「そうだよ、そうしたことは全く興味がないから」
だからだというのです。
「いいんだ」
「そういうことだね」
「じゃあそういうことは考えないで」
「ただ診察をしていこうね」
「このままね」
こうお話してでした、そのうえで。
先生は朝御飯を食べ終えてでした、歯を磨いてお顔も洗ってです。そうして動物の皆と一緒に登校しました。
学校に来るとまずは研究室に入ってでした、そこに荷物を置いてです。
水族館に向かいました、水族館の何処に向かうのかはもう決まっていました。
深海生物のコーナーです、そこに向かう中で皆は先生に言いました。
「もうどんな生きものいるかはわかってるよね」
「先生ここに何度も来てるし」
「だからね」
「どんな深海生物がいるかはわかってるよね」
「わかってるよ」
先生はにこやかに答えました。
「どの子がいるかね」
「じゃあ話が早いね」
「それならね」
「それじゃあ今から行って」
「それで診察だね」
「最初はアンコウさんかな」
「そうだよ」
その通りという返事でした。
「まずは彼女から聞くよ」
「ああ、彼女なんだ」
「そうなるんだ」
「そうだよ」
先生はここでアンコウのお話もしました。
「僕達がよく見るあのお口の大きなアンコウは雌だからね」
「そうだよね、あのアンコウは雌でね」
「雄は凄く小さくて」
「雌にくっついてるんだよね」
「だからあのアンコウはね」
「彼女になるんだよね」
「そうだよ、けれどご主人もいるから」
雄のアンコウもというのです。
「水槽の中には一緒にね」
「夫婦は揃ってるんだね」
「ちゃんとね」
「仲良く」
「一緒の水槽の中で暮らしてるのね」
「そうだよ。じゃあ行こうね」
こうお話してでした、そのうえで。
先生達はまずはアンコウさん達のところに行きました、そのうえで先生は水槽のガラス越しにです。アンコウの奥さんに挨拶をしました。
「こんにちは」
「あら先生こんにちは」
「こんにちは」
奥さんだけでなくです、奥さんにくっついている小さなご主人も先生に挨拶をしました。
「今日はどうしたの?」
「何か用かな」
「まずは君達への診察をしたいんだ」
そこからと言う先生でした。
「いいかな」
「ええ、どうぞ」
「よく見てね」
ご夫婦はにこりと笑って先生に答えました。
「先生ならね」
「好きなだけ診察していいよ」
深海生物、アンコウさんのご夫婦にも慕われている先生でした。
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