9人の勇者のはぶれ者
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序章 王都離脱編
知力チートとかいらねぇ…と思ってた時期が私にもありました
「知力………チートすぎんだろ…」
知力百億!?なんだよそれ!そしてなんだよ完全記憶って!サヴァン症候群っすか!?もしくはどこぞのイン○○○○さんだよ!
なにか?俺が異常だって言いたいのか?神、もしいるんなら俺はお前を恨む
「ど、どうしたんだ?キクト君」
「なんかおかしいものでもあったか?雲仙」
達也とマールドが俺に問いかけてくる。
いや、言えねえよな?小説では能力が高い奴は殺されるか利用されるだけだもんな…えーっと…レベル1でこのステータスも高いような気がしてきた。じゃあ…RPGでおなじみのレベル1のステータスの一桁台って偽るか
「い、いや…体力以外全ステータス…一桁台…」
「い、一桁!?嘘だろおい!俺最低でも50はあるぞ!?」
「あ、赤ん坊より低いぞお主…」
「うそぉん!!?」
え、そうなの!?これは低く出すぎた。まあいいや、気にすることはない。完全記憶っていう多分チート?があるからここ一週間は本を読みふけるか。
「…まあ、1人を置いて8人、其方達が魔王を倒してくれることを心から願っておる。それで、だ。お主達には二週間我が国の騎士団の団長と共に訓練をしてもらおうと思うがどうかな?」
「俺はいい、お前らは?」
「「「「「「「「異議なし(や)」」」」」」」
「お、俺は本を読みふけるよ…赤ん坊以下なら訓練でも死ぬかもしれないし…」
「あいわかった、キクト君には後で図書館を案内してあげよう。他の8名はこのアーシャ・デミュージの言うことをよく聞いて訓練をするように」
「「「「「「「「「わかった(で)」」」」」」」」」
俺らが息ぴったりに答えるとマールドは
「よし…シャル!このキクト君を図書館へと案内してあげなさい、無礼の無いようにな」
「了解です主様!」
背の高い執事服の男、シャルに俺を図書館に案内しろと命令する。
シャルは気持ちいいくらいの返事を返すと俺に体をむけ
「ではついてきてください、キクト様」
と言い、部屋を出る。
俺は急いでシャルの後を追い部屋を出た。
「ここがシュベラル国立図書館です。キクト様にはこの中にあるレベル4の書庫まで読む権利を得られるこのシルバーカードを差し上げます。御十分にお読みくださいまし」
「お、ありがと、シャルさん。」
シャルはポケットから銀色のカードを取り出すと俺に渡してくれた。
実質読める本が増えるのは嬉しい。
銀、っていうことは金があるのか?ということは国家機密的ななにかがあるのかな?
そう思いながら図書館に入るとその光景に俺は目を奪われた。
高い天井まで埋め尽くす本棚。
それに隙間がないほど収納されている本。そして奥にある一つのⅡと書かれた扉。
その全てが幻想的で本好きの俺は興奮させられた。
Ⅱ、ということは奥にも同じようなものがあるのだろう。
そしてこの量を覚え切るのは普通なら不可能なのだが、俺には完全記憶がある。
先ほどまでサヴァン症候群とか言ってすいませんでしたまじ有能です。
一番下にある分厚い本を取ってみて題名を見てみると意味不明な言葉が書かれていた。
なんだこれ?と思った瞬間題名が読めるようになった。
なんでや?と思いステータスを確認してみると前見た時に見逃していたものがあった。
完全理解
一度見て、聞いた言語を理解することが可能。また複雑な魔法式を理解することが可能。
orz…なんだよ俺…最強じゃねえのか?(迷信)
っとまあ…読めるようになったのは嬉しいからいいか。
どれどれ?
【ふるきゆうしゃのまおうとうばつたん】
うへ、これ平仮名じゃんめっちゃ読みにくい…と思った瞬間感じに直された。
読みやすくしてくれてるのかありがたいなこの《|完全理解》。
『ある所にシュベラルという王国がありました。そこにはお金に目がない王様がいました。ある日、王様は言いました
「魔王の宝をもってこい」
と。この命令に兵士達はうろたえました。残虐非道と言われている魔王の宝を奪ってこい、と言うのですから当たり前。そこで思いついたのが異世界からの勇者の召喚。
兵士達は魔術師達を呼び寄せ勇者を召喚しました。
その勇者は魔王を倒すために旅に出ました。
その道中エルフやワービーストなどの亜人や獣人を仲間にしました。
そして勇者は六人の仲間とともに魔王の城へとたどり着き、魔王を倒すことができたのでした。
おしまいおしまい』
…なんというかあれだよな…金に目がない王様とか書くか?普通…
あ、エルフとかいるのか、会ってみたいな。
と思い本棚に戻すとその隣の題名をチラリと見る。
【まおうのわるさ】
…まさかここって全部童話や昔話なんじゃないのか?
そう思い近くにいた図書員に聞いてみると
「は?何当たり前のこと言ってるんですか?レベル1の本は全て童話ですよ?」
と返ってきた。
まじかよ!?うわぁ!時間無駄にした!
心の中で叫びレベル2の扉まで走ろうとすると後ろにいた図書員に
「走らないでください!」
注意されました。泣きたい…
「あんまり数は多くないな…」
レベル2の本棚は天井より何メートルか低く一番上は何本か入っている程度だった。
「これから読んでいこうかな…」
そう呟き俺は【基本武器全書】と書かれた本を手に取った。
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