転生とらぶる
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Fate/stay night
1151話
「そんな……嘘、バーサーカー? 嘘よね、バーサーカー……」
数秒前までバーサーカーのいた場所を見ながら、イリヤが力なく呟く。
バーサーカーのいた場所は、文字通りの意味で何もなくなっていた。
プラズマとなるまで圧縮した俺の炎により、周囲は真夏並み……いや、それを遙かに超えるだけの暑さとなっている。
まぁ、俺の魔力によって遮断していなければ、この程度の温度では済まなかったんだろうが。
「……さて、とにかくバーサーカーはこれで消滅した。お前の聖杯戦争での敗退が決まった訳だが……覚悟はいいな?」
正直な話、見るからに子供でもあるイリヤを殺すのはあまり気が進まないが、まさかアインツベルンのマスターを生かしておく訳にはいかないしな。
これが、葛木のように元々が聖杯戦争とは全く関係のない人物であれば話は別だったんだが。
元々、この聖杯戦争はサーヴァントが最後の1人になるまで勝ち抜くのが目的だ。
だがアインツベルンというのは御三家とか言われている魔術師の家系であり、あのワカメが魔術師でもないのにライダーと契約をしていたように、何らかの裏技を持っている可能性は否定出来ない。
ここで情けを掛けて生かしておくと、後でその結果としてこちらに不利益が起こる可能性が高いのだから。
そう思って1歩を踏み出そうとした、その時。
「待て、待ってくれ、アークエネミー!」
後ろから聞こえてきた声に、自分でも不愉快そうに眉が顰められたのが分かる。
何故なら、その言葉を聞くのはこれで何度目かってくらいに聞いている言葉だったからだ。
恐らくは、殺すな。そう言いたいんだろう。あのワカメの時と同じように。
まぁ、イリヤはあのワカメと違い、悪戯に一般人へと被害を出すような性格をしているようには思えない。
だがそれでも、アインツベルンの魔術師である以上はここで見逃す訳にはいかないのも事実だ。
後ろから聞こえてくる衛宮の声を無視し、未だに呆然とバーサーカーのいた場所を眺めているイリヤへと近づいて行く。
背後では未だに衛宮が騒いでいる声が、そしてセイバーとライダーがグリフィンドラゴンと戦っている音が聞こえてくる。
そのまま手を振り上げ……
「頼む、アークエネミー! 桜を……桜を助ける為にはイリヤの力が必要かもしれないんだ!」
「アークエネミー、待って!」
手を振り上げ、せめて苦痛がないまま一気に命を絶とうとしていた俺の耳に、切羽詰まった凛の声が聞こえてくる。
……何だ? 普段の凛とは違って全く余裕のない声だったが。
手を止め、視線を凛の方へと向ける。
その凛はと言えば、厳しい表情で衛宮の方へと視線を向けていた。
衛宮の言葉の何かが引っ掛かったのか?
いや、そう言えば以前にも桜という名前に対して反応していた覚えがあるな。
「凛?」
「イリヤを殺すのは待って頂戴。衛宮君からちょっと詳しい話を聞く必要があるわ」
「……そうか。どうやらその話は俺も聞いた方が良さそうだな」
「ええ」
短く言葉を纏めると、セイバーとライダーを相手に睨み合いになっているグリフィンドラゴンへと声を掛ける。
「戦いはもういいぞ、こっちに来い!」
「GYAAAAAAAAAAAA!」
俺の言葉を聞くと、すぐに鳴き声を上げながらこちらへとやって来る。
圧倒的な重量と迫力を発しながら、俺の隣へと着地するグリフィンドラゴン。
そのまま、顔を俺へと擦りつけてくるのを、撫でてやる。
「それで、詳しい話を聞かせて貰えるんだろうな?」
「ええ。でもその前に……衛宮君、桜を助けるとか言ってたけど、どういう事なのか説明して貰える?」
「あ、そうか。遠坂は弓道部に顔を出しているって話だったからな。桜の事を知っててもおかしくないか。慎二の妹だったし」
「……そうね。それに今の私達には綾子も一緒にいるから」
うん? 今反応がちょっと遅かったな。
やっぱり桜ってのが何か関係あるのは間違いないか。
「それで、桜がどうしたの? 詳しく話を聞かせて貰える?」
「……士郎。ここは私から説明させて貰います」
そう言って前に出て来たのは……ライダー?
そうなんだよな、結局なんでライダーが衛宮達と行動を共にしていたのかの理由は不明だったんだけど、その桜とかいうのが理由だったのか。
特にその桜ってのがワカメの妹だって話を考えると、ライダーが向こうに協力しているのにも納得出来る……か?
「……貴方が桜に協力しているの?」
「はい。正確には私を召喚したのが桜なので」
「じゃあ、慎二は?」
「彼は偽りのマスターです。 彼の話によると、間桐というのは聖杯戦争で令呪を作り出した家系。それ故に、桜が私を呼び出して、慎二をマスターとする方法もあったとか」
そう告げるライダーの口調は、普段が冷静な分、憎々しげな色が宿っているのが強烈に印象に残る。
今の話を聞く限りだと、その桜って奴とワカメ以外の第三者がいたらしいな。
「それで、話を進めてくれる? 結局何があって桜を助けるって事になってるの?」
「……間桐の家には間桐臓硯という魔術師がいます」
「待って! 間桐の家の魔術回路は既に枯れてる筈でしょう!?」
魔術師だけに、ライダーの口から出た言葉は無視出来なかったのだろう。
凛が叫ぶ。
だが、ライダーは特に表情も変えずに周囲を見回し……一旦言葉を止めてから再び口を開く。
「とにかくここで話をしていては、使い魔の類に見られるかもしれません。それに、今はアークエネミーのおかげでこの周囲はそれなりに暖かいですが、いずれ時間が経てば冷えてくるでしょう。出来れば話の続きはどこか屋内でしたいのですが?」
「あ、うん。それもそうだよな。……ここからだと、遠坂の家か? それとも俺の家?」
「士郎の家は止めておいた方がいいかと。桜に聞かれるのはともかく、奴に気が付かれると厄介な事にしかなりませんから」
ライダーの口調に、微かに険が混じる。
その、奴ってのに色々とあるんだろう。
話の流れから考えて、多分臓硯って奴だと思うんだけど。
「……じゃあ、私の城に来る?」
ポツリ、と。周囲に響いたのは、イリヤの声だった。
先程まではバーサーカーの消えた場所を呆然と眺めていたイリヤだったが、今は既にその表情には呆然とした色はない。
バーサーカーに対する悲しみはあるんだろうが、それでも正気に戻っている。
……いや、バーサーカーを殺した俺が言えた義理じゃないんだけどな。
イリヤがバーサーカーに対して抱いていた思いは、色々と特別なものがあったんだろう。
その辺は全てのマスターが多かれ少なかれ思っている事ではあるが。
「いいのですか、イリヤスフィール」
セイバーが尋ねると、イリヤは小さく頷く。
「ええ。それに、セイバーも城に来るのは久しぶりでしょう?」
「……はい」
城に来るのが久しぶり?
イリヤのその言葉に首を傾げる。
もしかして衛宮が独自に動いていた間、既にイリヤと接触してたのか?
まぁ、イリヤは初対面の時から衛宮に強い関心を持っていたのを考えれば、以前に城へ……自分の本拠地へ招いた事があったとしてもおかしくはない、のか?
いや、どう考えてもおかしいと思うが……
「じゃ、行きましょう。……本当は招待したくない人もいるけど、私はレディだから貴方達も招待してあげる」
そう告げ、イリヤは俺達を率いて森の中へと入っていく。
招待したくない人云々の辺りで、俺達の……より正確には俺の方を一瞥してから。
「うわぁ……凄いわね」
イリヤに案内されて森の中を歩き続けると、やがて視界に城が入って来た。
それを見て、驚愕の表情で呟く凛。
先程の桜が云々というのを忘れた訳ではないんだろうけど、目に入ってきた城の異様に思わず声に出たんだろう。
……いや、うん。城が云々って言ってたけど、本当に文字通りの意味で城だとは思いもしなかった。
てっきり凛の家よりも大きいだろう豪華な屋敷とかだと思ってたんだけど……普通に洋風の城なんだよな。
これ、どうやって建てたんだ?
まさか日本の職人を集めて? それとも外国から移築? ああ、でもアインツベルンが魔術師の家系だと考えれば、そんなに不思議じゃないのか? どんな魔術を使ったのかは分からないけど。
「ふふん」
凛の台詞に自尊心を刺激されたのだろう。得意気に鼻で笑ってみせるイリヤ。
……それでいながら俺の方に一切の視線を向けてこないのは、やはりまだバーサーカーの事が引っ掛かっているからだろう。
それでもイリヤの敵意が凛ではなく俺に向かっているのは、ある意味助かったと言えるだろうな。
そんな風に考えながらも、俺達は城の中へと入っていく。
その際にセイバーがどこか懐かしげな表情を浮かべていたのがちょっと気になったが……まぁ、その辺は多分後で説明されるんだと思う。
ちなみにグリフィンドラゴンは何だか名残惜しげにしていたけど、まさかあんな巨大生物を連れて歩ける訳もないので、既に消えて貰っている。
何だかセイバーやライダーがグリフィンドラゴンを見て物言いたげな様子だったけど、結局何を言われるでもなく消えてしまった。
尚、そんな2人とは別に、凛も目を輝かせてグリフィンドラゴンを見ていて、後日鱗や羽毛を寄越すようにと言われたのは……多分魔術師としてその辺の素材が欲しかったのだろう。
ともあれ城の中に入っていくと、2人の人影が姿を現す。
「セラ、リズ、お茶の用意をお願い」
「畏まりました」
「うん、分かった」
「リズ」
「セラはうるさい」
そんなやり取りをしているところを見ると、多分メイド……というか、世話役なのか?
疑問を抱きつつ、応接室らしき場所に案内される。
さすがに城と言うべきか、かなり豪華な部屋で何やら高そうな絵画とかが壁に飾られていたり、椅子やテーブルなんかの家具も高級そうなものに見える。
もっとも、別に俺は高級な家具とかを見極める目利きって訳じゃないから、多分高級なんだろうなと思う程度だが。
けど、アインツベルンっていうのは由緒ある家柄らしいし、まさか贋作とかを使ったりはしないだろう。
「お茶をお持ちしました」
「ありがとう、セラ。リズも」
「うん。……バーサーカーは?」
リズと呼ばれたメイドの台詞に、イリヤは少し悲しげな表情を浮かべて、無言で首を横に振る。
それだけでバーサーカーがどうなったのかを理解したのだろう。リズと呼ばれたメイドは小さく俯く。
そのまま出て行くのかと思いきや、メイドの2人は黙ってイリヤの後ろに控える。
考えてみれば、まさか自分達の主人を敵だらけの場所に置いていく訳がないか。
イリヤに嫌われている俺にも、紅茶はきちんと出されている。
客を差別するのはこの家主として許せないのか、どうなのか。
ともあれ、紅茶を口に含むと……美味い。
凛の淹れた紅茶も美味いけど、こっちは本職の分だけより美味いな。
「さて、それじゃあ落ち着いた事だし、話を聞かせて貰いましょうか。衛宮君、桜を助けるとか言ってたけど、どういう事なの?」
皆が紅茶を飲んで一息吐いた後で、凛の言葉が部屋の中に響く。
「それは……」
「士郎、その辺は私から話したいのですが」
……眼帯を付けたまま紅茶を飲むってのも、ある意味凄いよな。
そんな風に思っている中で、ライダーが衛宮に告げる。
「……そうだな、これはライダーが言うべき事だ。分かった」
「ありがとうございます。……さて、バーサーカーのマスターにはこれが初めて会いますし、まずは自己紹介から始めましょうか。私はライダー。知っての通り、サーヴァントです」
「でしょうね。そのくらいは貴方のステータスを見れば分かるわ。それで、私に何を協力して欲しいの?」
イリヤの言葉に、ライダーはチラリと俺と凛の方へと視線を向けてくる。
まぁ、眼帯をしているので正確には違うのかもしれないけど。
「もう少し待って下さい。……さて、アークエネミー、それにそちらの遠坂凛と言いましたか。貴方達は不思議に思いませんでしたか? 何故魔術回路を持っていない慎二が私のマスターをしていたのかを」
「何ですって!?」
再び声を上げたのは、イリヤ。
まぁ、聖杯戦争に参加している魔術師としては当然だろう。
もっとも、その辺は俺にしても凛にしても、既に違和感はない。
何故なら、魔術回路がないにも関わらずキャスターと契約をしていた葛木という存在を知っているのだから。
「不思議に思わないではないけど、前例を知ってるからな」
そう呟く俺の言葉に、今度こそイリヤが俺の方へと視線を向けてくる。
それでもすぐに視線を逸らす辺り、根深いな。
「……そうですか。ともあれ、私を召喚した人物は慎二に偽臣の書という物を渡して、私のマスターという扱いにしました」
「ちょっと待って」
次に口を挟んだのは凛。
驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
「その偽臣の書ってのがあれば、誰でもマスターになれるの?」
「ええ。……幸い偽臣の書は貴方達に慎二が殺された後で回収しましたが。とにかく、偽臣の書を慎二に与えて……より正確には与えさせられてしまった人物。私は彼女を助けたいのです。……私の本当のマスターである、間桐桜を」
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:385
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1186
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