宴のゲスト
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5部分:第五章
第五章
「それとビールでも」
「ああ、いいな」
「それでいくか」
他の面々もそれに頷くのだった。
「じゃあ近くのレストランで唐揚げとか春巻きでも買ってな」
「餃子もいいわね」
気軽な話をしてそのうえで部屋を出る。そうしてそのうえでジャックの部屋を出る。その時彼等は泥酔していたうえ麻薬もやっていた。だから自分達には気付かなかったのだ。
鮮血であちこちが染まったその格好で外に出てそのうえで街を歩く。これには誰もがぎょっとなり目を瞠ってしまった。誰もがそうなるものだった。
「何だあれは!?」
「あいつ等何をやったんだ!?」
ウエストエンドの者達はそれを見て驚きの声をあげた。
「まさかと思うが」
「いや、間違いないな」
「やったな、あいつ等」
すぐにこう察したのであった。
「おい、警察に連絡しとくか?」
「そうした方がいいよな、やっぱり」
「そうだよな」
こんな話をしたうえで彼等は動いた。四人はそんなことは知るよしもなくへらへらと笑いながらその血糊を見て唖然としている店員から料理を買いそのうえで道を歩いていた男に因縁をつけ喧嘩をした。
ジャックはこの相手の顔に何と三十針も縫う程の大怪我をさせている。そうしてこの相手を口汚く罵倒してから部屋に帰りその鮮血で染まった部屋のテーブルに座りそれから飲み食いをはじめたのだった。
テーブルの上にはまだヘンリーの生首がある。彼は白目を剥き口から舌を出して事切れた顔をしていた。顔は熱湯に入れられたせいで肌はズル剥けで肉も壊死を起こし実に惨たらしいものであった。皮膚が壊れているので当然髪の毛もあちこちが抜けて無残さを余計に見せていた。その髪の毛は浴槽に残っていた。まだ流されてはいないものも多くあったのだ。
だがジャック達はその生首を逆に食べ物を置く台にしてその周りにも料理やビールを置きそのうえでまずは乾杯した。周りには、いや天井までが鮮血に染まったその部屋の中で。
「ヒャハハハハハ、美味いなおい」
「そうだな、全くな」
エドガーはその部屋の中でジャックの言葉を受けて笑いながらビールを飲んでいた。
「身体を動かした後のビールは美味いぜ」
「あんたもそう思う?」
エリスは視点の定まらない目でヘンリーの生首に話し掛けてきた。
「あんたは。どうなの?」
「ああ、そう思うさ」
チャーリーがここでこう言った。
「エキサイトしたよ、おかげでさ」
腹話術のつもりだった。それで話したのである。
「こんな楽しいことってないよ」
「当たり前さ。俺が演出したパーティーだぜ」
ジャックは手掴みで唐揚げを食べながら述べた。途中一個落としてしまいテーブルの上に転がった。血糊で汚れるが彼はそれを戸惑うことなく口の中に入れた。
「悪い筈がないだろ?」
その唐揚げを食うと血で口の中はおろか唇まで汚れる。しかし彼はそんなことは意に介さず平然として食べ続けるのであった。
「違うか?」
「いやいや、その通り」
「満足させてもらったわ」
彼等はそのジャックの言葉に応えて述べた。
「おかげでな。またしようぜ」
「そうね。またすぐにね」
こんな話をしながら暴飲暴食に入りそのまま潰れてしまった。彼等が潰れて暫くしてからジャックの部屋の前に私服の男に連れられた制服の男達がやって来た。
「ここだな」
「はい、そうです」
「ここです」
制服の男達が私服の男の問いに答えていた。
「ここがリッパーの部屋です」
「間違いありません」
「そうか。ここか」
私服の男は彼等の言葉を聞いてまずは頷いた。
「あいつの部屋か」
「前から色々と嫌な噂のある奴でした」
「実際に罪も犯してきていますし」
制服の警官達は顰めさせた顔でその鉄のドアを見ながら述べた。
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