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ポケットモンスター 急がば回れ

作者:おうーん
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4 トキワの森 2

グリーン「どこ行くんだよ」

鬱蒼とした森を抜けると開けた原っぱに出た。
中心には木が1本ぽつんと立っている。
葉も枝もなく穴ボコだらけの木のてっぺんに1匹のさなぎポケモンがいた。

グリーン「トランセルか」

何重もの糸で縛りつけられている。
それは自分でやったにしてはどこか不自然な様だった。
鈍い羽音と共にスピアーの群れが現れた。
トランセルのギリギリにダブルニードルを繰り出しながらたかっている。
それらの攻撃はときおり木をかすめたり突き刺したりしている。

グリーン「なるほど、俺たちにあいつを助けてほしいってわけか。
くだらねー。行くぞフシギダネ」

しかしフシギダネは動かない。
キャタピーの群れは不安そうにフシギダネをうかがう。

グリーン「あんな大群に勝てるわけねーだろ」

フシギダネ「…………」

グリーン「俺はお前のことを心配してだなーー」

フシギダネ「…………」

グリーン「しょうがねーな。やるのはお前だしな」

フシギダネ「フッシー!」

グリーン「よし、片っ端からつるのムチで叩き落としてやれ!」

フシギダネはつるを勢い良くしならせながら目標を狙っていった。
鋭い音をたてながらスピアーたちはふらふらと空中から落ちていく。
群れが薄くなっていくと動きがひときわ活発な奴らがフシギダネめがけて飛んでくる。
つるを操るのに忙しいフシギダネは反応が遅れて隙をつかれてダブルニードルをくらってしまった。
鋭さに加えて重さもある一撃はフシギダネの体を空中にふっ飛ばす。
2匹目が狙いを定める。
しかしそれは別の方向から飛んできたものに阻まれた。
キャタピーたちが糸を吐く攻撃でフシギダネを援護している。
体に糸が絡まったスピアーに向かってつるを振り下ろす。
そしてスピアーの群れは空中から姿を消した。

グリーン「よくやったぞフシギダネ! あとは任せろ!」

グリーンはフシギダネをモンスターボールに戻した。
木をよじ登ってトランセルを縛りつけていた糸の束を引きちぎる。
そして解放されたトランセルは体を震わせてからさなぎを破って空に舞った。

グリーン「バタフリー……進化したんだ!」

這いつくばっていたスピアーの1匹は残りの力を振り絞ってグリーンに突っ込んでいく。
それをバタフリーは念力で地面にめり込ませた。

グリーン「すげえ……これがエスパー技か。
バタフリー、ゲットしてやるぜ」

ひらひらと手の届かないところを舞うバタフリーを追いかけていく。
するといつの間にかトキワの森の出口に着いていた。

グリーン「俺と一緒に来ないか?」

バタフリー「…………」

グリーン「……そうだな。
あいつらを守ってやれるのはお前しかいないか」

グリーンはフシギダネを回復させるためポケモンセンターへ急いだ。 
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