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戦国異伝

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第二百三十話 本能寺へその二

「よいな」
「それが耶蘇教であろうとも」
「守るのじゃ、そのことを告げておくぞ」
「肝に銘じておきます」
「そういうことでな、では帰ったらな」
 堺からだ、家康は一転して明るい顔になって我が子に述べた。
「堺の土産話をする故にな」
「楽しみにしております」
「さて、まずは安土に上がり」
 そしてというのだ。
「吉法師殿にお会いしてな」
「都に入られて」
「そこから大坂、そして堺じゃ」
 そうした道になるというのだ。
「色々と見ていく、名古屋もな」
「清洲城を付城として名古屋城が築かれましたが」
「その名古屋の町が凄いという」
 城下町のそこがというのだ。
「随分賑わっているとか」
「その名古屋の町もですな」
「観に行く」
 見物するというのだ。
「そうしてくる」
「さすればその町も楽しまれて下さい」
「そうしてこよう。そういえば」 
 ここでまた気付いた家康だった、そして。
 服部に顔を向けてだ、彼に問うた。
「半蔵、御主道を知っておるな」
「伊賀の道をですか」
「そうじゃ、知っておるな」
「幾つかは」
 服部は主にこう答えた。
「承知しておりますが」
「ではいざという時はな」
「その道を使われますか」
「そうしたいがよいか」
「はい」
 服部は家康にすぐに答えた。
「その道は我等のみが知っております」
「伊賀者だけがか」
「はい、特に」
「特に?」
「我等服部家の者達だけが知っている道があります」
 伊賀にはというのだ。
「それも堺からです」
「大和を通ってじゃな」
「伊賀に、そして三河までです」
「進める道があるのか」
「我等だけが知っている道か」
「それは心強いのう」
 家康はそれを聞いて安心した、しかし。
 信康は己の父に答えた服部にだ、怪訝な顔で問うた。
「御主先程伊賀者でもといったな」
「はい、服部家の者達だけが」
「あれか。伊賀には二つの流れがあったな」
「服部家と百地家の」
「百地家の者は知らぬ道か」
 こう服部に問うた。
「そうじゃな」
「そうした道もあります」
「左様か。しかし伊賀といってもな」
「はい、服部と百地二つの棟梁家がありまして」
「その下にそれぞれじゃな」
「忍の者達がおります」
 そうなっているというのだ。
「我等は」
「そうなのじゃな、ただ」
「ただ、とは」
「はい、しかし」
「しかしか」
「百地家の者達については」
 服部といえどもというのだ、同じ伊賀の彼でもだ。 
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