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WATCH DOGS 〜in RIDER WORLD〜

作者:カツゲン
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PHASE 21 悪霊の影を追って

正面玄関から入り、真っ直ぐフロントへと向かう
どうやら翔はすでに見つかっているらしく
チラチラと館内を駆け回る男たちの姿が見える
…が、今はこちらが優先だ
時間があれば助けてやる

「失礼、こういうものだ」

フロントの女性に
軍から支給されている証明書を見せる

「…どのようなご用件でしょうか」

新人なのかあっさりと信じてくれたらしい
まあ、それだけ楽だからありがたいが

「ある人物を探していてな
こいつ何だが…見覚えあるか?
ここに宿泊してると聞いた
アレン・カーターって奴なんだが」
「その方なら…少々お待ちください」

そう言って女性は側にあったパソコンを操作し始めた

「ところで…さっきから少し騒がしいが、
何かあったのか?」

あいつがどれだけ暴れているのか探りを入れてみる
しかし…

「すいません、私達も何も聞かされていなく
さっきから不安で…
恐らく警備員の方たちなら何か知っていると思いますが…」
「そうか…なるほどね」

どうやら対象を見つけたらしく、
女性が顔をこちらに向けた

「確かにこの方は宿泊していますね」
「部屋を教えてもらえないか?」
「そこに関しては…」
「こいつはとある事件の容疑者なんだ…
捜査の一環として俺は来たんだ
何としても捕らえなくてはいけない…」

捜査というのは嘘だ
俺は個人的な恨みを晴らすために来た
それでか思わず声に力がこもる
だがこれが効果的だったのか
またもやこの女は俺の言葉を信用してくれたようだ

「…かしこまりました
ですが念の為、部屋までは私が案内します」
「それでいいんだ、ありがとう、感謝する」

上手くいった
それにしてもセキュリティ甘々だな
まあ証明書を見せたってのもあるだろうが…
こんな簡単に人を信じる人をフロントに置いていいのか?
…もしかしたら優秀な奴らは
みんな翔の対処に向かってるのかもしれない
だとしたら丁度良かった
よくやった、と褒めてやろうか?

「こちらです」

彼女に導かれ、エレベーターの方へと向かう







「この部屋です」

彼女が鍵を開けようとする

「待った、俺が開けよう
奴が襲ってくるかもしれない」
「でも…」
「いいから、下がってな」

半ば強引に取った鍵で扉を開ける
中は真っ暗だった

「いないのか…?」

ドアの前に立つ彼女に問う

「いいえ、まだいらっしゃるはずですが…」

中を確認するため、電気をつける
瞬間、ベッドの陰から銃を持った何者かが立ち上がる

「!?、伏せろ!」

彼女を掴んで無理やり床に伏せる
ダァンッ!と、音が響く……


だが、幸い相手も目が慣れてなかったのか
弾はドアへとめり込んでいた

「逃げろ!」

彼女を逃し、相手と向き合う

「オラァッ!」

素早く相手の懐に駆け込み
片手で銃を払ってから
もう片方で腹にパンチを喰らわせる

が、それだけでは倒れず
相手も殴り返してきた

「ぐッ…めんどくせえな…」

顔はフードで隠れているが、
口元が笑っているのが見えている

「怖いかクソッタレ、当然だぜ…
この俺に勝てるもんか」
「試してみるか?ご存知の通り
俺だって元特殊部隊隊長だ」

二人が同時に拳を突き出す
両者顔面に当たった瞬間に
今度は脚をあげる
脚と脚がぶつかり、鈍い音がする

「とっととくたばりやがれ!」

どちらもパンチとキックを連打するが
決定打にはならない
やがてお互いの拳を避けようとした瞬間
クロスした腕がぶつかり、バランスを崩す

「ふざけやがってぇ!」

側に立っていた電気スタンドを持ち上げて振り下ろす
当然腕よりもリーチが長い攻撃に相手は避けきれず
ガァンッと顔面に直撃、ベッドに倒れこむ

「顔を見せろこのドグサレがァーーーッ!」

相手の上に乗って動けない状態にし、
さらに銃を突きつけてから
フードを剥ぎ取る

「てめえよく…も……………誰だお前は!?」

フードの下の顔はアレンではなく
見知らぬ男だった

「待ってくれ!待った!降参する!殺さないでくれ!
金で雇われたんだ!あんたを殺せばもっと貰えたんだ!」

「誰にだ!?アレン・カーターか!」

写真を顔の前に突きつける

「そうだ!そいつだ!2日ほど前に
報酬の金としばらくこの部屋で宿泊させてやるから
あんたを殺せと…」
「今はどこにいる…?」
「知らない!それ以来会ってないんだ!」
「クソッ!」

部屋の中を見渡す
が、ヒントになりそうなものはなかった

「わかった、もういい……」

銃をしまい、男から降りる

「ありがとう…ありがとう…」

男はだらしなく泣きながら
言い続ける

ちょうどその時、
ピロロロロロロ…と部屋の電話が鳴り響いた

男を監視しながら電話を取る

「…もしもし?」
「やあ…お久しぶりだね…蓮司君」
「貴様…!」

声の主は、アレン・カーターであった

「どうやら私が雇った男は倒してしまったようだね…
まあいい、元々期待してはいなかった」
「てめえ…今どこにいる?」
「安心しろ、それを教えるために電話したんだ
私が蘇ったのは…復讐のためだからね
既にあの時の副隊長を殺し…後は君だけだ」
「てめえはそのために…そのためだけに…「あいつ」の事を…!」
「……ああ、「彼女」のことか?
悪いねぇ、君はただ殺すだけじゃ足りないと思ったからね…
彼女がいつ死ぬかもわからないそのスリルはどうだい?」
「貴様ァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

怒りで受話器を握りつぶしそうになる

「言え!お前は今どこにいる!
今すぐぶっ殺してやる!」
「フフ…、そう怒るな
私は沢芽市郊外のグラーフ教会で待っているさ…」

そう言い残し、電話が切れる

「……俺が思う確かなことは…………アレン
次に貴様のツラを見たとき………プッツンするということだけだ…」
 
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