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魔界転生(幕末編)

作者:焼肉定食
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第26話 龍馬、暗殺

その日は、雪でも降りそうな位寒い夜だった。
時はすでに11月、降ってもおかしくはないが、京都の寒さは身に染みる。
坂本龍馬と中岡慎太郎は近江屋に潜伏していた。
龍馬は再三の逃亡劇と目まぐるしく動く時代の中で活躍していったせいか体調を崩していた。
「うぅ、寒い」
鼻をすすりながら火鉢に手をかざし龍馬は身震い一つした。
「大丈夫か?龍馬」
 中岡慎太郎は心配そうに聞いた。
元々、龍馬は体が弱い子であった。が、日々の鍛練そして、姉・乙女の教育により今の屈強なる体と意志を備えた。
「大丈夫じゃ、慎太郎。心配すんな。それに今、峰吉に軍鶏を買いにいかせたぜよ」
龍馬はニコリと微笑んだ。
「おぉ、軍鶏かぁー。軍鶏鍋で一杯いけば風邪も吹っ飛ぶというもんじゃ」
慎太郎もまた嬉しそうに微笑んだ。
「それに薬ものんだしのぉ」
(え?)
龍馬の言葉に慎太郎は府に落ちなかった。
「なぁ、龍馬。おまん、いつ医者にいったがよ」
慎太郎の顔から笑顔が消えた。
「あぁ、以蔵にもらった薬ぜよ」
龍馬はさらりと言ってのけた。
(やはり)
「龍馬、おまん、あれを飲んだのか。なんな得体のしれない薬を」
慎太郎の剣幕に龍馬はきょとんとした表情でみつめた。
「おまんはまだ、死んではいかんぜよ。その自覚がたりん」
今にも胸倉をつかみかからんばかりの慎太郎を龍馬は手で制した。
「待て待て、慎太。そんなに怒らんでもいいぜよ。それにあれが毒ならわしゃ、もう死んでるがろ?」
「し、しかしだな」
慎太郎は納得いかげにもまた座りなおした。
「わかっちょるよ。化け物と化した以蔵の姿をみれば不安にもなる。がじゃ、薬は薬じゃ」
 龍馬は大声で笑った。が、慎太郎の心の中には不安がいっぱいに広がっていた。

 ようやく、天草四朗は坂本龍馬の居場所を突き止めていた。龍馬の行動範囲の広さに振り回されぱなしであった。
(坂本龍馬、あなどれじ。が、転生させれば、我の目的に利用できる)
四朗は闇に潜み、龍馬の死期を待った。が、以外にも早く訪れようとは思ってもみなかった。
 近江屋の前に数人の侍が雪も降ってはいないのに。傘をかぶりたむろしていた。
(ほぉ、これはこれは)
 四朗はにやりとほほえんだ。

「御免。こちらに坂本龍馬殿が滞在してるとのこと」
 近江屋の戸が破られんばかりに叩かれた。
「はいはい、どちら様で?」
 龍馬の用心棒して雇われていた元力士の木下藤吉が返答をした。
「われら、十津川藩士、坂本殿にお話があり参上致した。なにとぞ、坂本殿に面会を取り繕ってはいただけないか」
(十津川藩?)
 不思議に思いながらも藤吉は扉をあけた。
藤吉は男たちがなにやら殺気立っているかのように感じた。やはり、元力士ではあった。
「では、案内します」
警戒しながらも男たちを家に招きいれた。その刹那、背中に激しい痛みをかんじた。

下からの大きな物音が龍馬と慎太郎がいる部屋まで聞こえてきた。
「龍馬!!」
ただ事ではないと感じた慎太郎は身構えた。
「ほえな!!」
龍馬が大声で慎太郎を制した。が、男たちがなだれ込んでくるのが、速かった。
刀を抜くことも抵抗することもできずに、龍馬が慎太郎を斬り倒され、血の海に沈んだ。
「慎太、わしは脳をやられた。もういかん」
意識のまだある慎太郎に龍馬は言った。
まさに一瞬とかこのことだった。自分たちを斬った男たちは一瞬にして立ち去っていった。

意識が薄れていた慎太郎はある光景をみていた。
男たちが去った後、もう一人の人物が龍馬に近づいていく。
その人物は慎太郎ははじめは女かと思った。が、ぼそぼそと話す声を聴いたとき、男だと分かった。
(なんとも、美しい男よ。まさか、天使か?)
その男は宣教師のような服装だった。
 
 

 
後書き
昨日、更新するつもりでしたが、具合が悪く寝込んでいました。
 
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