DQ5~友と絆と男と女 (リュカ伝その1)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
5.失敗は成功の元。でも、成功は慢心の元。常に気を引き締めて行こ!て事。
<サンタローズ~アルカパ街道>
ビアンカSIDE
「バギ」
リュカは6歳とは思えないほど強い。
一人で洞窟を探検するのも頷ける!
出発前、パパスおじさまがリュカに、銅の剣を買ってあげていた。
「一端の戦士がひのきの棒では、まずいだろ!」と、言って銅の剣を渡していた。
事実リュカは剣を使いこなしモンスターを駆逐する。
剣技だけじゃ無い!魔法の実力も桁違いだ!
私も『メラ』を使う事が出来るが、モンスターに火傷を負わせる程度…とても一撃で倒す事など出来ない。
今みたいに2.3匹のグリーンワームをまとめて細切れにする事など、私には無理だ!
思わず私がリュカに見とれていると、背後から1匹の一角ウサギが襲いかかって来た!
「きゃー!!」
ビアンカSIDE END
<サンタローズ~アルカパ街道>
「きゃー!!」
ビアンカの悲鳴が聞こえる!
振り返ると1匹の一角ウサギがビアンカに向けて突進している。
ビアンカ達は少し離れた所に避難していた為、俺も父さんも間に合わない!
それでも助けなきゃ!そう思った瞬間俺は『バギ』の詠唱に入っていた!
いいのか?このまま唱えたらビアンカも巻き込むぞ!
ビアンカを傷つける訳にはいかない!
どるする!どうすればいい?………よし!試してみるか!
「バギ」
俺は頭の中でバギのイメージを少し変えて唱えた。
一角ウサギに向けて風の固まりがぶつかる!
10メートルほど弾き飛び一角ウサギは慌てて逃げた。
そう、俺は『バギ』を一点集中に切り替えて、真空の刃を発生させない様に改造した
。
「ビアンカー!大丈夫!!」
俺はビアンカに近づき、怪我がないかを確認するフリをしてビアンカの体中を触りまくった。
うん。やっぱりまだ胸は小さい。でも色々柔らかくてイイ!
「ホイミ」
不埒な事を考えつつ、俺は取って付けた様にホイミを唱えた。
「ありがとう、リュカ!私は大丈夫よ!それに私だって、戦えるのよ!もう少し近づいたら私のメラをお見舞してやったんだから!」
どうあっても、お姉さんぶりたいらしい。
まぁ、いいけどね。
父さんとアマンダさんに褒められながら、俺たちは先を急ぐ事にした。
<サンタローズ~アルカパ街道>
ビアンカSIDE
格好いい…どうしよう、リュカの事が格好良く見える。
可愛いじゃ無くて、格好いい…いや、可愛くて格好いい。
私リュカの事が好きになっちゃった。
以前はパパスおじさまの事が格好良くて好きだったけど、リュカの事の方が全然好き!
だって、私を助ける為に魔法を改造しちゃうなんてすごい!
「でも、さっきの魔法はすごかったね!どうやったら、あんな魔法使えるの?」
「うん。バギを唱えようとしたんだけどビアンカに近すぎて、ビアンカに怪我させない様に、傷つけない様に思って放ったら、風だけのバギが出来た!」
「じゃぁ、偶然出来ただけでもう出来そうにないの?」
「ううん!もう覚えたから、出来ると思うよ」
「じゃぁ、もう一回見せて。お願い」
私は、リュカに抱きつきながら甘えた風にお願いをする。
別にそれほど魔法を見たい訳ではなく、リュカとイチャイチャしたいだけなのだ。
私ってばエッチな娘(こ)なのかしら?
「うん!じゃぁちょっと離れてて!」
そう言うと側にある綿帽子のタンポポに向けて手を翳す。
「バギ」
綿帽子のタンポポは茎や葉を切り刻まれる事無く、種子だけを舞い上がらせた。
そして私のスカートも一緒に舞い上がった!
「きゃー!」
「あ!ごめん」
「もう!ちょっと、何してんの!リュカのエッチ!」
私は慌ててスカートを押さえその場にへたり込む。
「えへ。ごめんねビアンカ。でもウサちゃんのパンツ可愛いよ」
「し、しっかり見てんじゃないわよ!もう、馬鹿!」
私は慌ててお母さんの元に駆け寄りアルカパへの道を急いだ。
どうしよう!リュカに見られちゃった!
もう、責任取って貰うしか無いわよね?そうよね?ね!ね!?
ビアンカSIDE END
<アルカパ-ダンカンの宿屋>
やっべー、調子にのりすぎて失敗したぁー。
スカートめくってしまった事は仕方がない!不可抗力だ!
でも、わざわざパンツ見えた事を報告する必要は無かったなぁ…
いや、だってさぁ!
急にベタベタしてきたしさぁ!
なんかすごく甘えた声出してたしさぁ!
なんかもぉ、ベタ惚れ感あったしさぁ!
ここで魔法成功させたら、『ちょっと向こうの物陰で男と女のラブゲームぅ』的に思っちゃってさぁ!
でも、嫌われた訳ではなさそうだ。
話しかけても答えてくれる。
ただ、視線は合わせず顔を赤くしたまま。
きっと、恥ずかしいだけなんだよ。
だから、どうしていいのか判らないんだ!
これはある意味チャンスだね!
「リュカ。私はもう少しダンカンを見舞っているから、アルカパの町でも散歩して来なさい」
俺が脳内でこのチャンスの活用法を模索していると、父さんから外出の許可を貰えた。
渡りに船とはこの事だ!おれは、町へ出かけようとしたがその前に…
「ダンカンおじさん」
「おぉ、リュカか。うつるといけないから離れていなさい」
「うん…この飴あげる。喉の痛みが少しでも良くなると思うから…」
と、優しい笑顔で近付いて、出立前にフレアさんから貰った飴玉をプレゼントする。
「ありがとう。優しいなぁリュカは」
「早く良くなってビアンカを喜ばしてあげてね!じゃぁお父さん!行ってきます!」
そう言ってその場を後にする。背後から俺を褒めちぎる大人達の声が聞こえる。
『将を射んと欲すれば先ず馬を』ってやつ!
将来ダンカンさんに『お前の様な男に娘はやらん』なんつわれない様に今の内に、気の利く良い子を演じておく。
まぁ、ぶっちゃけ『娘はいらんから、娘の身体だけくれ』てのが本音なんだけどね。
この本音を口に出しちゃ絶対ダメ!
地雷どころか核ミサイルのスイッチだからね。
「リュカ、お出かけするの?私が町を案内してあげるね!」
そう言うと俺の手を取り町へ出て行った。
あれ?チャンスタイム終了?
なんもしてないけど、パンツ見た事許してくれたみたい。
<アルカパ>
ビアンカSIDE
パンツを見られた事は恥ずかしかったけど、やっぱり私はリュカの事が大好きだ。
いつも歩いている町並みなのに、リュカと手を繋いで歩いていると、すごく楽しい気分になる。
大好きな人と手を繋いでいるだけなのに!
酒場の前を通りすぎると、準備をしているバニーガールのおねーさんを見てリュカの足が止まった。
リュカはバニーガールのおねーさんをジッと見ている。
特に胸を…
確かに大きい!
そんなリュカに気付いたおねーさんが、リュカの前で屈み「デート中に他の女の子を見てちゃダメよ。」と言われているが、リュカの視線は胸から離れない。
私はリュカの手を引き、強引にその場を立ち去った。
やっぱりリュカは胸が大きい方が好きなのかしら?
どうやったら大きくなるのかしら?
私も頑張らないと…
私は密かに志を立て、闘志を燃やした!
道具屋の前に差し掛かりショーウィンドウを見ると、そこに可愛いヘアバンドが飾ってある。
いいなぁ…あのヘアバンド…150Gかぁ…私のお小遣いじゃ足りないなぁ…
「可愛いヘアバンドだね。ビアンカ欲しいの?」
「うん…でも、お小遣いが…」
「おねーさーん!ヘアバンドください!」
私がお金が無い事を言い終わる前に、リュカは店員さんに購入を告げていた。
「ちょ、「あら、坊や。彼女へのプレゼントかな?」」
あ、ちょ…まって!お金…
「うん!すごく可愛いヘアバンドだから、可愛いビアンカに似合うと思って!」
キャ♡ヤダ!か、可愛いなんて…!
「じゃぁ、おまけしちゃおうかな。可愛い彼女の為に140Gでいいわよ」
いやん♡彼女だなんて…
「ありがとう。じゃぁこれ、140G」
リュカは私よりお金を持っていた!
きっとモンスターを沢山倒しているからだと思う。
男の子と手を繋いで町を散歩し、ヘアバンドを買って貰う。
これって完璧、恋人同士のデートよね!
やだ!どうしよう!
もう、嬉しいやら、恥ずかしいやらで軽いパニック状態だ。
リュカと手を繋ぎニタニタ笑いながら歩いていくと、大きな池に出た。
リュカは池の中央の小島を見ると、いきなりそこに向けて走り出した。
私は置いて行かれない様に慌てて付いていく。
それにしてもリュカの足は、あまりにも速い。
正直もっと長い距離だったら見失っていただろう。
「ハァちょっと、リュカ!ハァ急に、ハァどうしたの?」
リュカは私の問い掛けには答えなかった。
「その猫さんに何してるの?猫さん嫌がってるよ!放してあげて!」
いつも優しい口調のリュカが、少しきつめの口調で話す。
よく見るとそこには、この町の悪ガキ二人組ジャイーとスネイが1匹のちょっと変わった猫を苛めている。
「何だよ!お前には関係ないだろ!チビ!」
「そうだ、チビ!あ、ビアンカ♥ど、どう、ビアンカも一緒にこの猫で遊ばないか?」
「この猫、すっげー変な鳴き方するから面白いんだぜ!」
冗談ではない!私は何時も悪さをするコイツ等が嫌いなのだ!
私のスカートを捲ってきたり…友達面しているが、大嫌いなのだ!
「そんなひどい事しないわよ!弱い者いじめじゃない!格好悪い!」
「な、なんだよ!そのチビは、格好いいってゆうのかよ!」
「そうだ!そうだ!じゃぁ、格好いいおチビちゃんは、レヌール城のお化けを退治してこいよ!そうしたら猫を放してやるよ!」
レ、レヌール城のお化け…
私はそれを聞いて、引きつってしまった…前にお父さんからレヌール城のお化けの話を聞いて、怖くて夜眠れなくなってしまった事がある。
今尚、誰も居なくなったレヌール城からすすり泣く声が聞こえるそうだ。
そんな城がアルカパより少し北に行った所にある。
「いいよ!今夜レヌール城に行ってお化けを退治してくる!」
「「「え!?」」」
私も悪ガキ二人も驚いている。
この中で一番年下のリュカが、お化け退治と聞いて承諾するとは思っていなかった。
きっと二人は無理難題をふっかけたつもりなのだ。
「そのかわり…その間、猫さんを苛めないって約束してよ!」
「おぅ、いいよ!一晩だけ苛めないでいてやる!」
ジャイーがムカつくニヤけ面で了承する。
コイツ…約束守る気無いんじゃ…
「約束だよ。もし、破ったら…バギ!」
3メートルほど離れた所にある、大きな木にリュカは風だけのバギを唱えた。
木は大きく揺れて葉を大量に散らす。
「…破ったら、ひどいよ」
そう、冷たい口調で言い捨てて踵を返した。
悪ガキ二人は、顔から血の気が失せて固まっている。
どうやら、怒らす相手を間違えた様だ。
リュカってば、怒ると結構怖い。
でも、やっぱり優しい。
猫さんの為にレヌール城へお化け退治に行くなんて…リュカは、お化け怖くないのかなぁ?
私は…怖いなぁ…お化け…
ビアンカSIDE END
ページ上へ戻る