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ドリトル先生の水族館

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第八幕その六

「あの人はね」
「何か違うよね」
「水族館っていうかレストラン?」
「料亭かしら」
「そうした場所にいるみたいな」
「そんなお顔よね」
「うん、日本人は鯉も食べるからね」
 だからというのです。
「あの人は多分鯉が好きだよ」
「食べものとしてなんだ」
「鯉が好きなんだ」
「だからああしてだね」
「物凄く美味しそうなものを見る目なんだ」
「その目で見てるのね」
「そうだろうね、それとね」
 ここでさらにお話した先生でした。
「日本では鯉君達は錦鯉っていってね」
「あの奇麗な鯉さん達ね」
「色々な模様がある」
「あの鯉さん達もだよね」
「人気あるのね」
「高いけれどね」
 それでもというのです。
「そういう鯉君達を飼うことが好きな人もいるんだ」
「ふうん、日本人の趣味って多彩だけれど」
「鯉を飼うことも趣味のうちなんだ」
「熱帯魚を飼うみたいに」
「鯉も飼うんだ」
「そうなんだ、熱帯魚を飼うことと確かにね」
 実際にとお話した先生でした。
「同じだね」
「お魚を飼うことだから」
「だからだね」
「そうだよ、それだけ鯉君達が日本で親しまれてるってことだよ」
「けれどね」
 その鯉さん達が言ってきました。
「大丈夫ってわかってても」
「それでもね」
「ああした美味しそうって見られるのは」
「ちょっとね」
「嫌よね」
「どうしても」
「うん、そうだよね」 
 先生も鯉さん達の言葉に頷きます。
「君達自身が一番思うことだね」
「そんなに美味しそう?僕達」
「鯉って」
「まあね、それはノーコメントってことでね」
 先生はそこは誤魔化しました。
「そういうことでね」
「うん、じゃあ」
「それでなんだ」
「そうしたことはよくあるから?」
「それで?」
「気にしないでね」
 例えです、美味しそうという目で見られてもというのです。
「襲われることはないからね」
「それじゃあね」
「これからは気にしないでいるわ」
「そうした目で見られても」
「別にね」
「そうしてくれるといいよ」
 鯉さん達にこう言ってでした、そのうえで。  
 先生は鯉さん達から離れました、そしてです。
 あらためてです、先生は皆にお話しました。
「実際僕も鯉を食べたことがあるけれど」
「美味しいよね」
「特に和食だと」
「お刺身に鯉こくに」
「揚げてもね」
「何をしても美味しいのよね」
「そう、美味しいんだよ」
 先生はまた言いました。 
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