SAO~脇役(?)の異世界日誌~
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第八話 勇気とは(後編)
前書き
はい、どうもゆっくり雪です。
前回に引き続き今回もシリアスです。
僕が恥ずかしさで死にそうですがお楽しみください!
「うわあああ!」
「こっちきたぞ!」
「もうだめだ!」
「お、俺は逃げるぞ!転移!始まりの町!」
「俺もだ!」
一言で言うとパニック。最初の二人、そして俺のせいで八人が死んでからはひどかった。
¾が戦意を喪失し、逃げ惑うだけ。更には転移結晶で逃げ出す者も少なくないもうほぼ壊滅だ。
ボスのHPはヒースクリフ、キリト、メリーなどが削り、今は一本と½ほどだ。
「はぁ·····」
だが俺にはもう立ち向かう気力も勇気も無い。それもそうだ。俺には覚悟が無い。
キリトやヒースクリフ、「勇者」にはある覚悟が。
まぁどうせあの八人を死なせた俺に戦う資格なんて------------
パァン!
「いっ··てぇ。」
「あんた···。いつまでそうやって突っ立ってる気?」
俺の頬をぶっ叩いたのはメリー。あんな痛いのにダメージないのか。器用だな。
「さぁな····」
「ッ!あんたねぇ···」
「····」
「あんた···。まさかあの人達が死んだの自分のせいだとか思ってんじゃないでしょうね?」
「そうだよ···俺のせいだ。」
「······バカじゃないの?」
「バッ···?」
「そうよ。大バカよあんたは。」
「俺の何がバカなんだよ?」
「はぁ···。分かんないの?あんたのその考えがバカらしいっていってんの。バカのあんたらしい考えよね。」
「何がだよ?俺のせいで死んだのは本当なんだ···」
「だから「その程度」で不貞腐れてるのがバカらしいのよ。」
「「その程度」だって?」
「そう。「その程度」。」
人が死んだのを「その程度」?コイツなにいってるんだ?
「あの人達は赤の他人。そんな人が死んだって」
「お前···。死んだ人を侮辱するのか?」
「それはこっちのセリフよ!」
「ッ!?」
「あたしから言わせればあんたのしていることが一番死者への侮辱だわ!」
「どういう意味だ?」
「ああもう焦れったい!」
メリーはめんどくさいとでも言いたげに刀を床に突き刺すと言った。
「あんたみたいに、そうやってへこたれて、不貞腐れて、立ち止まってて、殺された人の無念はどうなるのよ?」
「お前に···」
「大体死んだのがあんたのせいってのもただの勘違いよ!」
「·····勘違い?」
「そう。そもそもこういうボス戦に来てる人達は自分が死ぬことも覚悟してきてるのよ?あんたと違って。少なくとも私はそう。」
「····」
「こういう命のやり取りの場では自分の命は自分で守るのが当たり前。あんたはそんなことも分かんないの?」
「だけど···」
「最後にこれは言っとく···不貞腐れてないで今、自分に何ができるか、何をするべきか、良く考えなさい。」
「·····」
喋るだけ喋って行っちまった····。
···アイツの言ったことは····正しい、だろうな。俺も心の奥ではそう分かっていた。
いつか誰かが言っていた····。勇気とは誰でも最初から持っているものだ。
そしてその勇気を実行に移すのが覚悟だと···。
何か動作を起こすとき、そこには大小あれど勇気が伴う。どんな小さいことでも、日常的なことでも
そこには必ず勇気がある。できるか、できないかはその人の覚悟の大小に掛かっている。
実際にはできるか、できないかではなく「やるのか、やらないのか」の問題なのだ。
先程のメリーの言葉を思い出す。
『-------死んだ人の無念はどうなるのよ?』
『-----------自分に何ができるか、何をするべきか、良く考えなさい。』
「今、俺にできること····」
そしてすべきことは···
あの野郎を倒すことッ!
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俺が戦線復帰してから五分がたつ。
「ちっ!」
俺たちはHP残り一本の敵相手に攻めあぐねていた。なんと奴は残り一本になってから防御力が上がり更に
旋棍を装備したのだ。旋棍を装備している俺やいつも近くで見ているメリーはともかく、スキル
自体始めてみるキリトやヒースクリフにはキツイかも、とおもったが------
「うおおおおおおお!」
「ふんっ!」
----どうやら杞憂だったようだ。
キリトは持ち前の反応速度で、ヒースクリフは驚くべき防御力でその連撃を凌いでいた。
····いやちょっとまてあの武器破壊効果どこいった?先刻と同じならもうとっくに壊れてもおかしくないのだが-----
······今は後だ後。攻撃に集中だ。
「ハッ!」
ドシュッ!
「オラッ!」
メキッ!
ヒースクリフが攻撃をガードしたのと同時に彼の肩を踏み台に俺とメリーがジャンプ。
軽業スキルの補正もあり、楽々ヤツの弱点、首まで到達。
俺は右ストレートこと単発ソードスキル"閃"。メリーは居合いソードスキル"辻風"を命中させた。
『グアアアアアアア!』
ヤツがこの戦い初めての悲鳴を上げる。
「よっしゃあと少し!」
「一気にきめるわよ!」
だが-------
ヒュンッ!
「はっ!?速い!?」
ダークネスの動きが突然急激に加速した。
「おいおい!ここまで来て、冗談じゃねぇぞ!?」
ヒュッ!
「くそっ!」
突然俺の前に移動してきたダークネス。だが俺にキリトの様な反応速度は無いので咄嗟の防御体制
しか取れなかった。
バキィッ!
「ぐあっ!」
俺は蹴りで吹き飛ばされ愛武器、"裂雷"も破壊された。既に予備の方も破壊されたのでもう俺は丸腰だ。
だが--------
「今、俺にできること····だよな!」
俺は用意したアイテム-----鋼鉄ワイヤー付きナイフを取り出した。このアイテムはナイフに鋼鉄ワイヤーを
結び着けただけだが、このワイヤーは耐久値が無限。つまり一度何かに突き刺されば、だれにも切断できない最強のワイヤートラップとなる!
今回のボスが人型だということを受けて用意したが、今まで完全にわすれていた。
「さぁ····来いよ!」
俺はワイヤーの両側に付いたナイフを自分の左右の壁に投げると後ろに全力疾走した。
そしてヤツがワイヤーに足をかけた瞬間-------
ズシィィィィィィン
見事にスッ転んだ。
メリーは「計画通り」って顔をしてるがキリトとヒースクリフは呆然としてる。
「いまだ!決めろ!」
「はいはい!」
「りょ、了解!」
俺の声に応じキリトは四連撃、"バーチカル·スクエア"、ヒースクリフは見たことない突進ソードスキル。
メリーは刀上位五連撃ソードスキル"落撃"。
そして俺は"エンプレイサー"を放った。
「行っけええええええええええッ!」
ザシュッ!
ボス、『ザ·ダークネス』のHPは完全に削り取られクリアの文字が表示された。
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「あ"あ~疲れた疲れた。もう動けねぇ。」
「今回はいい動きだったわよ。これからもあの調子で。」
「メリーが誉めてくれた····(泣)」
「調子にのるなバカ」
「ちょww」
「ハハハハ···」
キリトも苦笑している。
ヒースクリフはというと····
「それでは私は第二十六層をアクティベートしてこよう。」
「あぁ。たのむよ。俺らはもう動けんから。」
HPをグリーンゾーンに保ったまま確かな足取りで次の層への階段を上っていった。
流石だな····。
「あーそうだメリー。」
「ん?」
「さっきは俺を叱ってくれてありがとな。」
「あー。あれぐらいいつでもやってあげるわよ。」
メリーはそう言って微笑んだ。
···良い笑顔だね!
「じゃあまたあんな感じになっちまったら頼むよ。ま、ならないよう努めるが」
「次なったら問答無用で斬るから覚悟しなさい。」
「おいさっきのいい雰囲気どこいった!?」
「あぁ、あれはもうロケットにつめこんで発射したところよ。」
「既に宇宙の藻屑になってた!?」
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あのあとギルドホームに帰ると皆が盛大に迎えてくれた。皆レイドが壊滅したと聞いてソワソワしてたらしい。ボスを俺、メリー、キリト、ヒースクリフのたった四人で倒したことを伝えた時の反応は面白かった。
まぁほとんど俺以外の活躍だったから次の日の朝刊に俺のことは書かれていなかった。
「そういえばメリー、アイツのLAボーナスは何だったんだ?お前のとこにきてない?」
「あー。きてるわよ。武器カテゴリは旋棍。名称は"新月"。····要らないしどうせ使えないからあんた
にあげるわ。」
「ふーん·····。·····WHAT?」
「発音良すぎ····。だからあんたにあげるって。」
「まじで?」
「いやいいから。」
「マジか!ありがとう!メリー!」
「どういたしまして。んじゃこれで貸し10ね···って聞いてない。」
「やったー!新しい武器だー!」
メリーが俺に武器をくれるなんて珍しい!しかも丁度裂雷が壊されちゃったから新しいの探そう
とおもってたんだよな!今回はメリーに感謝だ!今度なんかおごってやろう。
とまぁこんな形で多大な損失を出した第二十五層は攻略された。
これで残りは¾。まだ先は長いが俺は俺にできることをやっていくだけだ!
さて残り七十五層。がんばるぞっ!
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後書き
終わった···。
最初の方だけシリアスでしたねww
たった四人で倒すとか····流石公式チート達ですね!そして地味に活躍するジョー君····
これぞ脇役!
まぁそんなことより今回のみどころはメリーさんの初でr····ちょ急に部屋が暗く···え!?誰だお前やめろ!はなして!HA☆NA☆SE ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。
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