とある愚者の転生記
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リリカルなのは編
第八話 オレ、『八神はやて』と一緒に暮らしているんだ………
とりあえず、俺の家に放課後連れ帰り、らいとと詳しい話しをすることにする。
まず、第一に聞いたのは、どう原作介入するかだった。
すると返ってきたのは、
「オレ、『八神はやて』と一緒に暮らしているんだ………」
と言う答えだった。
「な、なんだってー」
思わずネタに走った俺は絶対に悪くない。
「いや、真面目な話しなんだが」
ゴメン、ワケわかんないよ………。
で、真面目に聞いてると、「やがみらいと」君は、「らいと」を漢字で書くと「頼られる人」で「頼人」、「夜神月」君ではなく、「八神頼人」君だったのだー。
うん、想像の斜め上の展開だ。デ○・ノートのイメージが強すぎてまったく思いもしなかった。
もう笑うしかないね。
それからわかったこと。
頼人の父とはやての父が兄弟だったということ。
はやての父母が事故で亡くなったとき、認識阻害の魔法のせいか、あるいは『ギル・グレアム』が手を回したのか、その死亡連絡すら来ず、亡くなったことすら知り得なかったこと。
その後、頼人の父母が亡くなり、連絡しようにも連絡が取れなかったこと。
埒が開かず困惑していると、その住所が「海鳴市」、従姉妹の名前が「八神はやて」と初めて知り、まさかと思いつつも直接訪問したら、まさに『リリカルなのは』の『八神はやて』の従兄弟が自分だと知ったこと。
最初の頃は両親の死亡から何の連絡もしてこなかった親戚としてはやてから憎まれていたこと。
なんとか、和解して二人で暮らしていること。
頼人自身は、はやての両親の事故死すら管理局の関与を疑っていること。
故に、頼人の目的は「はやての足を治し、魔法はともかく管理局とは関係せずに地球で暮らしていくこと」
………………………。
………………。
………。
……。
…
無理じゃね?
『八神はやて』っていうと、原作2作目から登場する3人目のヒロイン兼魔法少女。
無害だった夜天の書から改悪された闇の書というアイテムに呪われ、両足が動かない生活を送らされ、両親を亡くし、過去に闇の書に不幸を巻き起こされた管理局という組織の権力者の一人『ギル・グレアム』に封印の人柱にされそうな少女。
アニメのご都合主義的な偶然と奇跡によって救われたが、闇の書改め夜天の書の持ち主という理由から、その後管理局に従事させられる不幸少女である。
若干?頼人目線の影響を受けているが、まぁ、おおむね間違っていないと思う。
ちなみに原作3作目に起きる事件は彼女がいないと解決できないと思うんだがその辺を聞くと、
「そんなのは知らん。オレが生きているのはアニメの世界じゃないんだ。未来に予定されてる事件が起きるかどうかはわからないし、起きたのならそれ相応の人間が解決すればいい」
と言い切りやがった。
「身内の贔屓と言われようが、はやてが不幸になることがわかってて、他人から選ばされる道を歩ませることはできん」
まあ、身内からすれば、彼女がその孤独感と持ち前の責任感から、原作のような人生を歩むのを納得できんのはわかる。
リニスの家族というだけで『テスタロッサ一家』を救おうとしている俺に反論はできんわな。
「わかった。俺の目的に協力してもらえるならお互い協力しよう」
「目的?」
「あぁ。俺の目的は頼人と同じように『テスタロッサ一家』の救済だ」
「はぁ? なにそれ?」
いや、あきれたような目で見んで欲しいわ。まぁ、リニスのことを話してないんだし、そう思われるのもしょうがないか。
「まぁいい。詳しいことは今から話す」
途中、リニスを念話で呼び、紹介して3人で話す。
リニスには転生について話していないので、あらかじめ頼人にはそのことを言い含め、頼人のことは、友人兼闇の書の関係者として説明した。
いきなりリニスという原作死亡キャラの登場に頼人が驚く一コマはあったが、お互い挨拶も済んで打ち合わせ。
前に話したことも含め、まず確認することはお互いの目標。現状の能力・戦力。そして目標達成のための作戦。
目標・能力・戦力については、お互いに確認。リニスを拾った経緯なんかも話しておいた。頼人については、これから地球製デバイスを渡すことも含め、魔法について俺たちとともにリニスに教わることになった。「念」については時間がないので保留としておく。まずは魔法を使えるようになることを優先した。
はやてを救う作戦については、頼人が言うには簡単だった。
「ジュエル・シードを集めて次元震を起こし、虚数空間に闇の書をポイする」
「「は?」」
きっとリニスと二人、かなりアホ面だっただろう。あまりにも思考の斜め上の作戦だ。
虚数空間というのは、あらゆる魔法が消去される無限の空間であり、一度落ちれば重力の続く限り墜落を続け、二度と出ることのできない空間らしい。原作でも説明されてたが、確認のためにもリニス先生に教えてもらった。リニス先生は何でも知ってる使い魔なのである。
ちなみに、その先にはアルハザードがあるらしい。
と、とりあえず、その作戦を検討してみるぜ。
古代ベルカのデバイスである闇の書は、やっかいな転移機能・再生機能を含め、魔法で運用している。で、魔法が消去される虚数空間にポイして、空間が閉じれば出てくることはない。のか?
て、ヴォルケンリッターは! リインフォースは! マテリアルズは! システムU-Dは!
「知らん。はやての今まで奪われてきた人生とこのままだと奪われる人生。会ったこともなく、会う可能性があるというだけの奴らと、はやてを比べることなんかできん。前も言ったがここはアニメやゲームの世界じゃないんだ。オレの現実の世界なんだ。だからオレはオレの考える最善を成すだけだ」
なに、この覚悟を決めたかのようなドヤ顔。う、ウゼェ。
とりあえず、お互い話したいことは話し、その日は別れた。
その後、日を改めてだが八神家を訪問し、はやてちゃんとは会っている。ちなみにすずかとアリサも連れてった。
頼人の友達と紹介され、はやてちゃん(こう呼ぶように強制された)とも友達になった。みんなでテレビゲームなんかをして遊んだ。うわさの料理もいただいた。
子供2人で住んでいる頼人とはやてちゃんへの同情なのかもしれない。
実際の頼人の怒りの千分の一、万分の一も本当はわかっていないんだろう。
それでもはやてちゃんの本来こうではなかったはずの人生を、闇の書と管理局に狂わされた人生をどうにかしたいとは思う。
前世でも今世でも親の庇護の中で当たり前に暮らしてきた俺は、足を麻痺され、たった2人での生活を強制されている友達を見てそう思う。
実際のところ、原作の闇の書事件をトレースしてまったく同じように解決できるかというとはっきり言って不可能だ。俺たち転生者が少なからず影響を与えているし、俺自身これから無印の事件に介入すれば、その影響は計り知れない。それで起こるのは、闇の書の暴走と地球の崩壊か。なら、俺も覚悟をするべきなのかも知れない。
俺たちは勝手なんだろう。原作知識と言うあるかも知れないというだけの未来だが、それを知っているにも関わらず動くのだから。それでもできるだけの最善の未来を選ぼう。
「わかった。次元震を起こす場所とかは考えるが、おおむね闇の書に関してはその作戦で良い。ただ1つ約束してくれ。」
「約束?」
「そう約束。絶対に闇の書の真実をはやてちゃんに気付かれないこと。俺達が本来得たかも知れない家族を奪う、これは俺達が2人が墓の中まで持って行かないといけない。気付かれてしまえば、何を言ってもはやてちゃんはきっと自分のせいにするだろうから」
「そうか………。そうだな。わかった、約束する」
こうして、俺達は共犯者となった。
「んで、ジュエル・シードの件だけど。どこまで覚えてる?」
「どこまで?」
「あー。つまり。どんなモノで、いくつあって、どこにあるというかどうやって入手するかだな」
「それは………」
ということで、3人で相談。リニスはわけわかんなさそうだが。ただ、技術的なこととかは、原作知識とこの世界の知識すりあわせないといけないので、彼女にいてもらわないと困るのだ。
ジュエル・シードは、全部で21個存在する宝石型のロストロギア。
願望を叶える特性を持つ魔力の塊で、必ずしも正しく願望を叶えるとは限らない。
ユーノ・スクライアが発掘、輸送中の事故で海鳴市周辺に漂流する。
最初の1個は、ユーノが封印。
2個目は、ユーノが封印に失敗し、助けを求める。で、ここから原作が始まり、なのはが封印。
3個目は、神社で。
4個目は、月村邸で。ここで、フェイト登場。猫が巨大化したはず。
5個目は、温泉で。時期的にここが4月から5月にかけてのゴールデン・ウィークっぽい。
6個目は、サッカー少年が拾って、なんか木が巨大化して町に被害が。
7個目は、フェイトが街で強制発動。デバイスが壊れ、小さな次元震が起きた。
8個目は、木が防御とかしてなのはとフェイトの2人で封印。勝負しようとしたら管理局登場。
9個目は、鳥をバインドして封印。
10~15個目は、フェイトが海から魔力流して6個封印。プレシアの攻撃やら色々あって、半分こしたはず。
残り6個の内1個は恭也さんがバイトするどっかのプールで封印したらしい。俺は知らなかったが頼人の知識ではそうなっている。
プレシア・テスタロッサの目的は、アリシア・テスタロッサの蘇生復活のためアルハザードに行くこと。
そのために、ジュエル・シードをフェイトに集めさせる。
ちなみに、プレシア・テスタロッサは病に冒され余命幾何もない。これも頼人の知識でリニスに確認した。
ジュエル・シードを使って行く先にアルハザードが本当にあるかどうかという質問には、「わかりません。でもあのプレシアが探して見つけた結論なら………」というのがリニスの返事。
そうすると、管理局から隠れてジュエル・シードをできるだけ多く集める。
リニス・フェイト経由で、プレシア・テスタロッサと接触し、ジュエル・シードを渡す。時の庭園というプレシア・テスタロッサがいる場所は次元移動するので、今の転移座標がわからず連絡が取りようがない。なので地球に来るフェイトを経由するしか連絡が取れないらしい。
ジュエル・シードを渡す際、フェイトについてプレシア・テスタロッサに問いただし、「娘」と認めさせる。プレシア・テスタロッサがフェイトを「娘」と認めない場合は、リニスが引き取り地球で育てる。この場合、俺が両親に全て話し、リニス、フェイトを家族として迎え入れる。
ここまで関わったら、そうするしかないよねー。
ちなみにジュエル・シードを渡す条件には、先の件に加え、使うジュエル・シードの数により次元震が起きるかどうかはわからないが、万が一のため地球を含む有人世界に影響を与えない場所で行うことを条件とし、渡す対価及び養育費あるいは手切れ金として、時の庭園及び研究の特許等は譲り受ける。プレシアにとってアルハザードに行ってしまえばその後のことはどうでもいいことだろうから、この辺はリニスに任せればいいだろう。
ジュエル・シードを使ってプレシア・テスタロッサをアルハザードに送り出す。
闇の書はこのタイミングで虚数空間にポイする。または、プレシア・テスタロッサにアルハザードに持って行ってもらってもいい。
原作開始のタイミングは、小学3年生の4月になのは達の授業で「将来の夢は~?」とか話すところから始まる。
だから、ジュエル・シードは原作知識で先回りできるところは先回りして封印する。
3月くらいから月村邸でジュエル・シードを探査すれば、ユーノよりも早く探せるはず。
次点は、なのはが歩いて行ける範囲の市内の神社か。
で、わかれば恭也さんがその頃バイトするプールか。それとなく聞けると良いな。
後は海底に沈んでいるはずの6個をどうやって安全に封印するかを考えないとな。これができるかどうかで個数がかなり変わる。
フェイトに関しては、リニスが話せば協力体制はとれると思う。で、フェイト達にリニスが加われば、管理局が来る前に封印できる数は増えるはず。
なのは達から早い段階から勝負をして、ジュエル・シードは正々堂々奪おう。
まぁ、その結果ユーノがどこまでなのはを巻き込むかだな。
フェイトには極力なのはに怪我をさせないようにしてもらおう。
ちなみに1つ疑問なのは、原作でなのはがフェイトに「理由を聞かせて」って聞いてるけど、「姉の病気を治すため(正確には蘇生するため)どうしても必要」って答えたらなのははどうするだろう?
協力してくれるかな? かな?
3人で話した作戦はこれくらいか。
原作開始まであと半年もない。
より良き未来をたぐり寄せるためにがんばろう。
後書き
さて、この作戦はうまくいくのでしょうか?
次はちょっと閑話を入れたいと思います。
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