転生とらぶる
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Fate/stay night
1137話
「……さて、これから柳洞寺に向かう訳だが」
遠坂邸の玄関でそう呟き、チラリと凛の方を見る。
「……」
だが返ってきたのは、無言。
どう考えてもまだ怒ってるよな。
見送りに来ている綾子の方は、と視線を向けるも……
「……」
こっちも同様に怒っている。
勿論怒っている理由は昼間の件だろう。
何だかんだと、経験済みにはなってもまだ2回だ。
どうしてもそっち方面ではまだ照れがあるって事か。
で、そっち方面でからかわれたのが余計に気にくわなかったのだろう。
ガンドマシンガンは全部回避したし、綾子の半サーヴァントの身体能力を活かした攻撃も全て回避しまくったけど……それが、更に2人の怒りに火を注いだらしい。
おかげで、今日の夕食も凛や綾子は普通に中華だったのに、俺は何故かお粥……まぁ、海鮮物がたっぷりと具として入っている中華粥だった辺りは、一応気を使ってくれたんだと思う。
それでも凛が作る他の中華料理に比べると、どうしてもそっちを食いたくなるのは男としてしょうがないだろう。
後ついでに、俺の身体が10代半ばくらいになっているのも影響していると思う。
「ほら、凛。これから戦う相手はアサシンとキャスター、更にマスターが2人だってのに、ここで仲間割れしてどうするんだよ? それだと向こうの思う壺だぞ?」
「……あのね、何で私が怒っているのか分かってるのかしら? 誰かさんが怒らせるような事をしたからでしょ?」
「そうだな、確かにあの台詞は思い切りデリカシーがなかった」
凛の言葉に、うんうんと頷きを返す綾子。
この2人、元々親友と言ってもいいような間柄だったけど、以前よりも仲良くなってないか?
もしかして、文字通りの意味で裸の付き合いをした結果か?
自分の身体の隅々まで……それこそ見られてない場所はないってくらいの付き合いをしたんだと思えば、不思議でもないのか?
そのまま数秒。やがて凛が溜息を吐いてから口を開く。
「そうね、じゃあ今夜キャスターとアサシンを倒す事が出来たら許してあげる。いえ、寧ろお礼すら考えてあげるわ」
「お礼?」
「そ。まぁ、どんなお礼かは……キャスターとアサシンを倒してからのお楽しみだけどね。いいわよね、綾子」
「えぇっ!? あ、あたしもか!?」
「当然でしょ。そもそも、綾子だってもうこれ以上ないくらいに聖杯戦争に巻き込まれてるんだから。そのくらいはいいでしょ?」
じっと視線を向けられた綾子は、やがて小さく頷く。
「分かったわよ。まぁ、確かに今のあたしは遠坂とアークにおんぶに抱っこって状態だしな。その辺は……うん、まぁ。そんなに嫌いじゃないし」
「そう? じゃあ、決まりね」
……何だか分からないが、ともあれ何かが決まったらしい。
それが何かは分からないが、2人の機嫌が直ったようで何よりだ。
綾子と軽く視線を交えた凛は、やがてこっちに視線を向けてくる。
「さ、アークエネミー。とっとと行くわよ。ここで無駄に時間を潰している間に、誰か他のサーヴァントとマスターが柳洞寺に攻め入ったりするかもしれないない」
その一言で、綾子に見送られながら俺と凛は外へと出て行く。
「……まさか何の妨害もないとは思わなかったな」
柳洞寺のある山の麓、上へと続く階段の下で思わず呟く。
てっきりキャスター辺りが学校で使っていた骸骨辺りで妨害してくるのかとばかり思ってたけど、まさか一切の邪魔が入らないとは思わなかった。
「もしかして、本当に誰かが先に忍び込んでたりするのかしら?」
冗談で言っていた内容が実現したのかもしれないと思ったんだろう。凛が自分の言葉を信じられないかのように呟く。
だが、俺はそれに対して首を横に振る。
「少なくてもこのキャスターが待ち受けている場所では戦いが起こってる気配はない。可能性としては幾つかあるな。例えば、俺達がここにいるのに全く気が付いていないとか」
その言葉に、即座に首を横に振る凛。
「有り得ないわ。相手はキャスターなのよ? 恐らく使い魔なりなんなりの手段を使って、街中の動きは観察している筈。特に私達の場合は色々と派手に動いているから、間違いなく相手に悟られている筈よ」
「……となると、実は綾子を連れてきた方が良かったか?」
現状での俺達の弱点と言えば、明らかに綾子だ。
能力的には半サーヴァントである以上は相当に強力だが、幾ら本人が武道を習っていても、聖杯戦争のような殺し合いに出られるだけの覚悟は存在しない。
少し前まで正真正銘の一般人だったのを思えば、当然なんだろうが。
だが、そんな俺の言葉に、凛は再び首を横に振る。
「大丈夫よ。家に張られている結界は強力だもの。幾らキャスターでもそう簡単にどうにか出来はしないわ。もし結界をどうにかするとすれば、キャスターやそのマスターも相当の被害を受ける筈よ」
そんな凛の言葉に、取りあえず安堵する。
少なくとも綾子がどうこうという事にはならないだろうと判断して。
「となると……山門の辺りで俺達を待ち受けているという可能性が高い、か?」
「でしょうね。あの踊り場だとアサシンが戦うだけの場所が精々でしょうから、キャスターは上空から、マスター2人は山門付近の山の中に隠れて援護攻撃……というところかしら」
「そうなるだろうな。あの狭い場所だと、学校の骸骨を作り出しても無駄に狭いだけだし。……寧ろああいう有象無象は今の俺にとっては一番楽な相手だ」
スライムを使えるようになった以上、ああいう数だけを重視してくるような相手は絶好のカモでしかない。
それは間桐家の蟲倉で纏めて蟲を吸収した事でも明らかだろう。
「なら……行くわよ。今日がこの聖杯戦争で初めてサーヴァントの脱落する日にするのよ。それも2人分ね」
「ああ、任せろ。この戦いが終わったら、何かいいことがあるらしいしな。それを楽しみにして戦いに挑ませてもらうさ」
「もうっ、……馬鹿。ほら、行くわよ!」
どこか拗ねたように凛が呟き、そのまま階段を上って柳洞寺へと向かう。
そのまま暫く、一応ということでキャスターの作り出す骸骨やそれ以外の何かに襲撃されるかもしれないと警戒しながら進んでいたんだが……結局は何かに襲われるようなこともないまま、山門へと到着する。
「まさか、本当に一切の邪魔がないとは思わなかったな。……さぁ、出てこいよアサシン。今日という日をお前の命日とさせて貰おうか」
「ふむ、誰が来たのかと思えば……折角冬の月を愛でていたというのに、無粋なものよ。いや、お主程の相手と戦えるのだ。ここは、寧ろよく来てくれたと歓迎すべきかな?」
シャラリ、と背負っている長い鞘から刀を……長大な刀を抜き、楽しげに呟く。
「そうだな。そう言ってくれるのなら俺も来た甲斐があるってものだ」
俺もまた、刀を構える小次郎を相手にして拳を構える。
凛は踊り場から少し離れた場所で宝石を手にし、キャスターや、それぞれのマスターが姿を現しても対処出来るように準備をしていた。
「……けど、お前のマスターやキャスターはどうしたんだ? 全く出てくる様子がないが」
「うん? ……さて、どうしたのやら。あの者は色々と気紛れだからな。女というのもそのようなものらしいぞ?」
この言葉から考えると、アサシンのマスターも女なのか?
いや、ここで迂闊な事を考えるとこっちの命取りになる。
その辺は油断せずに戦いを進めるとしよう。
「さて、ご託はもういい。どのみち俺とお前がサーヴァントである以上は戦うという選択肢しか残っていないのだから。……まさか、大人しく降伏したりはしないだろ?」
「ふふっ、冬の月明かりの下で命を懸けて戦うか。それもまた、風流というものかもしれぬな。……では、今宵の宴を始めよう」
山門前の踊り場で、お互いに相手との距離を取る。
そうやって向かい合って隙を窺いつつ、凛へと念話を送る。
『凛、前もって決めておいた通り、キャスターや敵のマスターが来たらすぐに教えてくれ』
『ええ。じゃあ私はそっちに専念するわ。アークエネミーの戦いには参加出来ないわよ?』
『分かっている』
短く言葉を交わし……同時に、冬の山に冷えた空気の風が吹く。
それを合図にしたかのように、地面を蹴ってアサシンとの距離を縮めて行く。
当然向こうもそうはさせじと、俺の進行を防ぐかのようにして振るわれる長大な刃。
一直線に俺の首を狙って突き進むその刃を、小さくしゃがんで回避。同時にそれを利用して地面を這うかのように前へと進む。
「っと、それはやりにくいな」
軽く告げ、後方へと……踊り場の中央から後方へと跳躍し……
ちぃっ!
跳躍しつつ振るった刃が、頭部目掛けて降り注ぐ。
迫り来る危機感に従い、強引に地面を蹴って跳躍。
こっちに向かって振るわれた長刀の刀身を真横から叩きつけようとした瞬間……ひょいっと刀身が場所をずらし、こっちの攻撃を回避する。
そのまま一旦距離を取って着地しながら口を開く。
「相変わらず厄介な奴だな。ステータスの意味ってのを少しは考えたらどうだ?」
その声が不服そうになってしまうのは、ある意味で当然だろう。
そもそも、俺のステータスはアサシンとは比べものにならない程に高い。
その上で対英雄の効果も発揮されている筈であり、ステータスな面で考えればこれ以上ない程に俺の方が有利なのだ。
だというのに、こっちの攻撃は回避され、それどころかカウンター気味に攻撃を放ってすらくる。
非常に厄介極まりない相手なのは事実だ。
けど……前回と違ってここで時間を費やす訳にはいかない。
幾らキャスターやマスター達が出てくるのを予想しているにしろ、出来れば戦うべき人数は少ない方がいい。
つまり、可能であればアサシンを倒してしまえば、俺達は圧倒的に有利になる。
「もう少し戦いを楽しみたいような気もするけど、残念ながらそうも言ってられなくてな。悪いが、そろそろ勝負を付けさせて貰うぞ」
呟き、拳を硬く握り締める。
当たれば間違いなくアサシンの皮膚を破り、肉を裂き、骨を砕く。そんな威力を持った拳。
「ほう、確かにお主からは強者の気配がこれでもかとばかりに伝わってくる。いいだろう。ならば、こちらもそれに相応しい手を出そう」
そんな俺の様子を見て、アサシンの気配も一変する。
今までは戦いを楽しむといった様子だったのが、その長刀を手に一切の意思を感じさせない……もしくは、周辺へとその意思が広がっているかのような、そんな感じ。
その構えを見た瞬間、俺の中にある念動力が危険だというのをこれ以上なく知らせてくる。
この念動力を取り戻してからはそれなりに経ってはいるが、今まで感じた事もないような程の危険。
どうやら、ブラフの類ではないらしい。
「行くぞ」
「来い」
お互いに交わす言葉はそれだけであり、他には何もいらないとばかりに地面を蹴る。
俺がアサシンの間合いの内側に入るのが先か、それとも奴の長刀が振られるのが先か。
「秘剣、燕返し」
静かに囁かれたその言葉と共に、危険を察知した俺は殆ど反射的に叫んでいた。
「スライムッ!」
空間の穴から姿を現した銀色の液体金属は、触手を作り瞬時に振るわれる。
ギギギギギンッ! と連続して発する金属音。
今、何が起きた?
いや、何が起きたのかというのを、俺はしっかりと見ていた。
最初に振るわれた長刀の一撃……否、それは1つではない。
どんな理屈でそうなったのかは分からないが、その長刀が振られた瞬間、間違いなくそこに3本の刀が存在していた。
1つは頭上から真下へと振り下ろされる幹竹割りの一撃。
1つは俺を逃がさないとする為に円で覆うかのような一撃。
1つは横薙ぎの一撃。
丸の中に、十字架を刻むかのような、そんな一撃。
瞬間的な3連撃という訳ではない。間違いなく同時に3つの斬撃が存在したのだ。
相手の逃げ道を完全に塞いでの、絶対的な必殺の一撃。
もしも俺がセイバーであれば……いや、ランサーであっても、ライダーであっても、それこそバーサーカーであってもその攻撃を回避する事は出来なかっただろう。
だが……生憎と俺はイレギュラーサーヴァントである、アークエネミー。
確かに3つ同時の斬撃は普通なら回避出来ないだろう。
英霊であっても、元は人間。手が2本であるのは変わらないのだから。
しかし、俺は違う。
今の俺はスライムを召喚していた。
それこそ、とんでもない量の質量を持ち、自由自在に斬撃の鞭を振るう事が出来、更には自動的に防御すらしてくれる、俺の宝具のスライムが。
ギギギギィン、という甲高い金属音が幾つも鳴り響き……それが終わった後で、そこにいたのは無傷の俺と、俺を守るかのように周辺に存在しているスライムであり……
右手首から先を切断されて握っていた長刀ごと地面に落ちている、アサシンの姿。
「ぐっ……何とも面妖な……」
「悪いけど、俺はセイバーのような剣士でもなければ、お前のような侍って訳でもないんでな。使える武器は幾らでも使わせて貰う」
一応念の為という事でスライムを操作し、アサシンの右手首ごと長刀を階段の下へと放り投げる。
万が一にも拾われて逆襲されたら洒落にならないしな。
「さて……唯一の武器を失った以上、既にお前に勝ち目はない。……消えて貰おうか」
「あら、それは駄目よ」
スライムへと命じようとした、その瞬間に周囲へと響く声。
聞き覚えのあるその声は、以前と同じく空中に浮かんでいたキャスターからのもの。
……ただ1つ違うのは、その腕の中に意識のない綾子が抱かれているという事だった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:375
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1184
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