戦国異伝
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第二百二十八話 二つの策その十一
「その時に動かす、織田信長を消せるその時に」
「消せる時になれば」
「まさにその時にですか」
「その兵を使い」
「そこから一気にですか」
「我等の兵を起こし」
そして、とうのだ。老人の声は闇の中で周りにいる姿は見えないが気配は確かにあるその者達に対して話していった。
「天下を今度こそじゃ」
「乱すのですな」
「それもこれまで以上に」
「そして血を流させ」
「我等の糧を得ますか」
「そのうえでこの国の全てを壊し」
そして、というのだ。
「その後はじゃ」
「我等の世とする」
「これまでは大和の者達のものでしたが」
「それを根本からひっくり返し」
「我等のものとするのですな」
「これまで長い間耐えてきた」
実に恨みに満ちた言葉だった。
「しかしじゃ」
「それもですな」
「間もなく終わり」
「大和の者達を倒し」
「我等の世になるのですな」
「思うのじゃ、神武の頃からじゃ」
その古の頃からというのだ。
「我等は敗れ隠れ続けてきたな」
「はい、大和朝廷に敗れ」
「それからもです」
「大和の者達に敗れてきて」
「闇を広めることは出来ませんでした」
「常に」
「そうじゃ、常にじゃ」
そうであったとだ、老人の声は言う。
「そうであった、しかし」
「これからは違いまするな」
「織田信長、日輪を沈め」
「この世を闇に覆いましょう」
「今度こそ」
「織田信長は日輪じゃ」
老人の声も信長をそうだと断定した。
「これまでの相手で最も陽の力が強い」
「そして強い」
「聖徳太子や行基よりも」
「源頼朝や足利尊氏よりも」
「さらにですな」
「だからこそわしも全力で向かいじゃ」
そのうえで、というのだ。
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