『僕と僕』
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『幼少期』
僕が、僕の中の僕を知ったのは、たぶん物心ついて暫くしてからかな。
お母さんは居るんだけど、いつも、テレビとお酒に夢中だった。
お父さんも居るんだけど、殆ど逢えなかった。
お兄ちゃんは、僕が物心着く迄は育ててくれたらしい。
お姉ちゃんは、なんかよく解らないけど意地悪だった。
僕は、毎日毎日、お腹が空いてた。
たまに来てくれるオッチャンが『内緒やで』って、100円玉くれたりした。
確か『お金』ってのも知らなくて、最初は駄菓子屋さんに連れて行ってくれたんだ。
その時『買い物』を覚えた。
そして『紐飴』の甘さも覚えた。
この時、僕は既に、お母さんに期待する事は間違ってると解ってたんだ。
何故か...
僕の中から声がしたんだ。
僕の中から僕の声が。
『お母さんなんて本当は居ないんだよ。頑張って独りでも生きていこうね』って。
たぶん僕は『独りじゃないよ。ちゃんと居るよ』って応えたと思うんだ。
でも、違和感が在ったのも確かだったんだ。
其の『お母さん』が、僕に何かしてくれてるか...考えると何もしてくれてないから。
だから、僕は、僕の中の僕の声に耳を傾けたんだ。
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