シュシュット
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第一章
シュシュット
パキスタンと聞いてだ。村川理恵子は友人の小野田智美にこう返した。
「インドと仲が悪い」
「そう、イスラム教の国よ」
「そうよね」
こう智美に返した。
「あの国はね」
「それは知ってるでしょ」
「有名だから」
パキスタンのそうしたところはとだ、理恵子は答えた。その切れ長で睫毛の長い瞳で。髪は黒くて後ろで団子にしている。顔は面長で唇は細く大きめだ。智美は丸顔で目も丸くて大きい。そして髪の毛は理恵子と同じだが長くストレートに伸ばしている。二人共背は小柄で一五五位だ。胸はよく見れば智美の方が大きい。二人共高校二年で今は私服で一緒に商店街を歩いて遊んでいる。二人共アルバイトもしている。
「その二つはね」
「インドと仲が悪くてね」
「イスラム教ってことは」
「ところがね」
ここでだ、智美は笑ってだ。理恵子に言った。
「これがイスラム教徒でない人もいるのよ」
「あれっ、そうなの」
「驚いたでしょ」
「意外ね」
それこそとだ、理恵子も返した。
「パキスタンっていたらね」
「イスラム教よね」
「そのイメージ強いから」
だからとだ、理恵子は答えた。
「そう聞くとね」
「驚くでしょ、私もよ」
「そうよね。やっぱり」
「イスラム教徒じゃない人もいて」
そしてというのだ。
「その人達はね」
「どういった人達なの?」
「何でも金髪碧眼らしいのよ」
「それはあるでしょ」
理恵子は智美にこのことはあっさりと返した。
「やっぱりね」
「あれっ、驚かないの」
「別にね」
やはりあっさりとした返答だった。
「だってパキスタンって元々インドでしょ」
「まあイギリスの統治時代はね」
「インド人って白人でしょ」
理恵子はこのことから言うのだった。
「アーリア人じゃない」
「ええ、ヒトラーもそれでインドに興味があったし」
このことは歴史にある通りだ、実際にインド人は語学的にはアーリア語族とある通り白人でありそれは骨格にも出ている。
「カーストの上の人は特にね」
「その血が強いでしょ」
「だからなの」
「別に金髪碧眼の人がいても」
特にというのだ。
「驚かないわ」
「そうなのね」
「それでだけれど」
理恵子は智美にさらに言った。
「また急にそんな話してどうしたのよ」
「いや、実はパキスタンから来た人がやってる雑貨屋さん見つけたの」
智美はここで本題に入った。
「それでなのよ」
「そのパキスタンから来た人が」
「金髪碧眼でね」
「しかもムスリムじゃないのね」
「そうなの、私もその人と会って話をして」
そしてというのだ。
「びっくりしたのよ」
「パキスタンからの人に思えなくて」
「そうなの、だからね」
それで、と言うのだった。
「今度行ってみる?お店に」
「パキスタンのものが売ってるのね」
「色々とね。服もね」
「服もあるの」
「そう、実はその人パキスタンの少数民族の人で」
その金髪碧眼の人はというのだ。
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