| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~共鳴の宴舞台~

作者:提供者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

SAO:アインクラッド〜共鳴しあう絆の中で〜
  ボス戦、第三ステージ

 
前書き
一行でわかる前回のあらすじ

まさかのフィーネさんの出番(^言^)オイまさかってなんだまさかって 

 

「あっはっはっはぁ! ほらほら、もっと来なよ!」

フィーネが餌たちを屠った時から約一時間と30分後。

ボスのHPバーは五本目の四割のところまで削られていて、これともう一つのバーを削れば倒せるという状況。

もちろん、狩人も何もしなかったわけじゃない。

実際何度かピンチにも陥ったし、餌のPOP数も増えてきた。

だが、新たに生まれた餌は、全てフィーネが一撃で切りはらっていた。

無駄な攻撃は一切しない。

喉を突き、首を狩り、頭を落とす。

攻撃全てがクリティカル。

戦闘中とは思えないような動きで滑らかに、敵を狩り続ける。

「はっはは!なかなかいいよぉ!楽しいじゃないか!」

『一人の世界に入りました。連れ戻すことはできません。』

「なんかメッセージ来たんだけど!?」
「ルイン、気にしたら負けです」
「だからルイン負けだね!」
「……弱者……だね」
「酷くね!?主にヒナが一番!」

そろそろ集中しなおせー。来るぞー。

「っ! ありがとうございますッ!」

いいってことよ。

「リークさん……俺フォルテが何者かわかんなくなってきました」
「者共かかれー!」
「あ、無視っすか。そっすか」
ドンマイ(ざまぁ)
「…………」

飛びかかってきた狩人の拳を、フォルテが上に弾き飛ばす。

狩人の猛ラッシュ。それを受け止め、弾き、避ける。

「フォルテ!スイッチ!」
「了解!」

リークの声と同時にフォルテが後退、そしてリークとヒナが攻撃を始める。

と言ってもヒナの方は完全なヒットアンドアウェイ。リークをロックオンしているタイミングで通り抜けざまに切りつけていくだけだが。

そこで、ルインが気づいた。

「フォルテ、どうした?」
「え?」

フォルテが明らかに、疲弊していた。

ゲーム内だから汗こそないもの、息を切らして、呼吸をするごとに肩が上下に動いている。

忘れてはいけない。

平気なように見えても、彼は今トラウマと向き合い、あまつさえ戦っている。

それにさっきは、一人きりでボスと戦闘を繰り広げていたのだ。

無理もない。

「……落ち着け。俺もお前も、そう簡単に死なねーよ」
「そう……ですよね」
「だからさっさと終わらせて、みんなで笑って飯食おうや。今日はなんだって作ってやるからよ」
「じゃあ……じゃあ、ラグーラビットのフルコースでお願いしますね」
「へっ、言うようになったじゃねぇか。ちなみにそれは却下だ!」

喋りながら、彼らも狩人へと走り出す。

「うぉぉおおおおらああ!!」
「ハァァアアアアアッッ!!」

咆哮を轟かせながら、二人が狩人に己の獲物を叩きつけた時。

狩人のHPバーが、最後の一本に差し掛かった。

「ッ!皆離れ––––––」

ドスン。

まるで、アニメや漫画のようだった。

狩人の体から一気に蒸気のようなものが吹き出し、一瞬だけ狩人の姿が見えなくなった。

そう、一瞬だけ。

次の瞬間には、もう狩人はその蒸気の塊の外へ、自分から出ていたから。

そして、フォルテが冷静に物事を判断できたのも、ここまでだった。

フォルテの視界には、もう一つ、あるものが写っていた。

左から、右へと。

物凄い速さで通り抜けていく、あるものが。

いや。

()()()が、見えていた。

「リークさ……ん……?」

蒸気の中から出てきた狩人は、一番近くのプレイヤーを。つまりはリークを攻撃した。

動き自体は先ほどと何も変わらない。

変わったのは、スピードだった。

蒸気の中から出た狩人は、物凄いスピードで移動し、そこでまた蒸気を生み出す。

部屋の中には合計9つの蒸気の塊ができていた。

だが、そんなことはどうだっていい。

あれほどの力で、リークさんを、攻撃した。

頭のどこかではわかっていた。リークが死んだのかどうかは、わからない。

彼女ほどの実力者がガードもできずに吹っ飛ばされるとは思えないし、まずまだ確認さえしていない。

ただ、リークが飛んでいった方向を見ることは、できなかった。

そして彼の中で、何かが切れた。

「なんで……」

呟いたことを、本人は気づいていなかった。

「あの人なんだ……」

能天気に笑っているように見えて、誰よりも辛い思いをして、誰よりも耐えてきて、誰よりも強く、前を向き続けようとする人。

「誰か、なんだ……」

あの人だけじゃない。きっと、前を向いてきた人もいた。諦めたくないと、耐えてきた人もいたはずだ。

「なんで……!」

なんで……なんで。なんで!なんで!

「なんで、僕じゃないんだ!!」

辛くて、逃げて、諦めて。
水が下へ下へ流れるように、ずっとずっと落ちてきた。
そんな僕を。

「なんで、僕を殺さないッ!?」

理由が、欲しかった。

第一層、誰かのために死ねるかもしれないと歓喜に震えた。

第二十五層、ものすごく強いボスがいたと聞いた。

第五十層、人知れず死ぬことを少しだけ望んでいた。

だけど、死ねなかった。

五十層のボス戦、勇敢に立ち向かった人が死んだ。誰かを守るために盾を掲げた人が死んだ。

ただ逃げ続けていた自分は、無様に生き残った。

そして、死ぬことを怖いと思った。

何度死のうと思っただろう。その度に、何かと理由をつけて生きながらえてきた。

「諦めたく……なかったから……」

諦めることがどれほど辛いのかは、十分すぎるほど知っている。

「だから誰かのために終わりたかったのに……」

どれほど泣いても、どれほど叫んでも、選んだのは、捨てたのは、自分だから。

「なんで、周りの誰かの幸せを、砕き続けるんだよぉぉぉおおおッ!!!」

この言葉は、少しだけ矛盾していたかもしれない。

そして今の彼も、少しの矛盾と、幼稚な感情で動いていた。

ただの––––八つ当たりである。

「《自分なりの既存曲(オリジナル・エグゼ・シング)》!!」

フォルテの周りに、薄い膜のようなものでできた球体が現れ、どこからか演奏が聞こえ始める。

静かで美しく、それでもどこか悲しい音色が。

「曲名《ツギハギセカイ》」

聞こえてくる演奏に合わせて、フォルテが踊るようにその球体を内側から叩き始める。

そしてそれと同時に、狩人の方にも変化が現れる。

フォルテが球体を殴る度、少しづつダメージを受け、ノックバックもくらっている。

フォルテの憎悪値も爆発的に増えたようで、狩人も餌も寄って来ようとするが、ノックバックのせいで思うように進めずにいる。

かろうじて狩人の方はフォルテの方に進むことはできているが、さっきまでのスピードと比べると、雲泥の差がある。

だとしても。

球体の中で踊り続けるフォルテに、狩人は時間をかけてなんとかたどり着くことはできた。

そしてフォルテに攻撃した瞬間……いや、正確には拳が球体に触れた瞬間。

フォルテの姿が、消えた。

その直後、狩人は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられていた。

「演奏中です……舞台上には上がらないでください……あなたは黙って、砕け散ればいいのですから」

フォルテは、狩人の後ろにいた。

そして、また消える。

いや、消えるように見えるだけで、正確にはそれほどのスピードで動き回っている。さらに言えば、そのスピードで狩人に攻撃している。

ほとんどフォルテ自身も焦点があってはいない。つまりこれは、先ほどのソードスキル、《自分なりの既存曲(オリジナル・エグゼ・シング)》の能力ということだろう。

「この中は、ステージです。協調性も何もないあなたが上がっても、不協和音しか生まれない」

呟いた言葉には、自虐の念も含まれていた。

「不協和音なんて……一人で十分なんですから」

消え入るように生まれた言葉は、誰に聞かれることもなく消えていく。

ただただ棍を叩きつけ、何も考えず砕き潰す。

終わったのは、狩人を殴る耳障りな音とは違う音が響いた時だった。

ガキィン、と。

フォルテの棍棒が、大剣に阻まれた音だった。

「フォルテ」

これ以上ないほど静かに紡がれた言葉を聞いて、前を向くと。

「ルイン……」

「もう……終わってる」

壁を叩き続け、壊れた自分の武器と、自分を真っ直ぐに見据える、自分の親友がいた。

敵はもう、いなかった。 
 

 
後書き
えーとね

フ「どのくらい、遅れました?」

数えたくなくなるくらい。

フ「理由は?」

今回の次の話がこれでいいのかと迷いに迷ったから。

フ「そして?」

まだ決まってません。

フ「言うことは?」

す、すいませんでしたぁぁぁあああ!!

それでは次回のお話も!

フ「耳を傾けていってくださいね!」(さっさと書け)

ばいばいぃぃ…… 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧