転生とらぶる
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Fate/stay night
1125話
「ここが柳洞寺、か。……確かに色々な意味で一流の霊地と言ってもいい場所だろうな」
凛特製の中華料理で食事を終えた後、綾子は結局凛の家に残し、俺と凛は予定通りに柳洞寺へとやって来ていた。
山の中にある寺が柳洞寺であり、その名前通り柳洞一成の家でもあるのだが、こうして近くまで来てみると明確に怪しい……というより、確定的に怪しかった。
「どう? アークエネミー、何か感じる?」
「ああ。サーヴァントにのみ効果のある結界が柳洞寺……というか、この山全体に張られているな。相当に凶悪な結界だぞ。近づけば、それだけで『近づくな』というのを令呪のような強力さで負荷を受けさせるようになっている。まさしく、サーヴァントとしては致命的な結界だな」
「……じゃあ、サーヴァントは中に入れないの?」
「いや、あの参道を通っていくのなら問題ないらしい」
魔術に関しては殆ど知識がない……あるいは記憶喪失の影響で忘れている俺だが、この結界はサーヴァントのみに有効な結界である為か、自分でも不思議な程にこの結界の効果を理解出来た。
……あるいは、今朝解放された念動力の中に入っている直感とか、そっち関係のスキルの影響もあるのかもしれないな。
「じゃあ、どうするの? 行く? あからさまに何か罠がありそうなんだけど」
「そりゃ、行くしかないだろ。確かにこの結界はサーヴァント殺しと表現してもいい結界だけど、参道でなら普通に戦えるんだからな」
「けど、この結界を一番有効に使えるのは……多分、いえ、間違いなくキャスターよ? それが分かっただけでも、今日ここに来た甲斐があったわ。明確な収穫があったんだから、もう帰ってもいいと思うんだけど」
「どうしたんだ? 凛らしくもない。いつもなら、ここは敵に向かって突っ込んで行くところだろ?」
「ちょっと、私を猪みたいに言わないでよね。……そうじゃなくて、ここがキャスターの本拠地なら、絶対ここには色んな仕掛けが施されている筈よ。魔術師の工房なんて、一種の要塞に近いんだから。そんな場所にノコノコ突っ込んで行くのがどれ程危険なのかは分かるでしょ?」
心配そう……いや。不安そうか? とにかく、一旦戻ってきちんと準備を整えてからまた挑もうといった感じなんだろうけど……
「ここがキャスターの本拠地なら、時間が経てば経つ程に手強くなっていくんじゃないか?」
「それは……まぁ、否定出来ないけど」
「なら行くぞ。出来れば今日のうちにキャスターは仕留めてしまいたい。他のサーヴァントと戦っているところで邪魔をされるのはごめんだし」
その言葉は、凛の一旦退くという考えを覆す程度には効果があったらしい。
まぁ、他のサーヴァントと戦っている時にちょっかいを出されると厄介だってのは、凛自身が言ってた事だしな。
「……分かったわ。けど、いい? 何か危険があったらすぐに退くわよ?」
「ああ」
凛の言葉に頷きを返し、俺達は参道を上っていく。
そして……やがて視線の先に門が見えてきたところで、手を伸ばして凛の動きを止める。
「アークエネミー?」
「お客さんだ。……隠れてないで出てこいよ?」
「別に隠れているつもりはなかったのだが……確かにそちらだけ姿を現しているというのに、こちらが姿を現さないのは無粋というものか。失礼した」
その言葉と共に現れたのは……侍?
えっと、どうなってるんだ? 確かこの柳洞寺にいるのはキャスターだった筈じゃないか? それが、何で侍? もしかしてこの侍がキャスター? にしては、随分とらしくないけど。
しょうがない、少しカマを掛けてみるか。
「やはりこの山門からしか入れないようになっているのか。随分と強力な結界だな」
「ふむ、そうだな。私もそう思うよ。この山門からは離れられぬ身なれど、これ程の結界、恐らくあの女はキャスターとしても一流の腕の持ち主なのだろう」
……おい。何だかカマを掛けるも何も、向こうからペラペラ情報を喋ってくれたんだが。
その辺の事情は気にしていないのか?
ともあれ……
「今の話しぶりだと、どうやらお前がキャスターじゃないってのは確実のようだな」
「ああ。私はキャスターなどではないよ。アサシンのサーヴァントだ」
呟くと同時に、背中の鞘からスラリと剣を……いや、刀を引き抜く。
長い……アサシンの身長よりも長い刀。
聖杯から与えられた知識なのか、斬馬刀という言葉が一瞬頭を過ぎる。
だが斬馬刀というのは、その名の通り馬に乗った相手を斬る為の刀。
肉厚で頑丈な、刀と呼ぶよりは西洋の剣寄りの武器だ。
だが、今俺の前でアサシンと名乗ったサーヴァントが持っているのは、日本刀の刀身をそのまま長くしたような刀。
普通であればその長い刀身に反して脆いだろう。
幾ら日本刀が折れず、曲がらず、良く斬れると言われているとしても、あの長さの日本刀となればそれに当て嵌まらない筈だ。
だが……そんな刀を持っているアサシンだというのに、こうして向き合っているだけで念動力がビンビンと危険を伝えてくる。
間違いなく一級品の技量を持つ存在。対英雄の効果もあって能力の下がっていたランサーやセイバーと比べれば、その強さは上のようにすら思えた。
『凛、どうする? こいつがアサシンだというのなら、まだここにはキャスターのサーヴァントがいる事になる。幸い今は出てきてないが、こうしてアサシンがここにいる以上、間違いなく俺達の存在は知られているぞ』
『その辺に関しては間違いないでしょうね。……どうする? さっきも言ったけど、収穫はあったんだし退く? アサシンだけならまだしも、キャスターも一緒に相手にするとなると厄介よ』
『だろうな。けど、折角ここまで来たんだ。せめてアサシンがどんな強さを持っているのか……それを見るくらいの事はしてもいいんじゃないのか? この先戦う時の事を思えば、向こうの強さは知っておきたい』
『……分かったわ。けど、一戦交えたらすぐに退くわよ。こっちも複数のサーヴァントがいるならともかく、こっちにいるのはアークエネミーだけだし、向こうはアサシンとキャスターのマスター2人もいる筈なんだから』
『だろうな』
凛の台詞にちょっと違和感があったが、それが何なのかは分からないままなので取りあえずそう答える。
『それで、凛。このアサシンの能力は?』
『筋力C、耐久E、敏捷A+、魔力E、幸運A、宝具は……不明、ね』
不明? その言葉に疑問を持つが、ともあれ速度特化型のサーヴァントらしい。
いや、アサシンらしいと言えば、らしいのか?
とにかく、こっちの戦力は俺と凛の2人。それに比べると、向こうの戦力はアサシン、キャスター、そのマスターが2人。
けど今この状況であれば、こっちの戦力は俺と凛。そして向こうはアサシン。
これなら有利に戦える筈!
『凛、援護を。幸いここは山門の前で狭い。あの長い刀も十分に活かすのは難しいだろう』
『ええ、油断しないでね』
短く言葉を交わした後で1歩前に出る。
「おや、やるのかな? 私としては歓迎だが。この山門を通るには私を倒して行くしかないのだから」
「だろうな。……お前の仲間がやって来る前にここで決めさせて貰おう」
拳を構え、アサシンと向き合う。
それを見て、向こうもまた長い刀……長刀を構える。
「では、改めて……アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。参る!」
そう告げると共に、こちらへと向かって長刀を振るってくる。
現在俺がいるのは、山門の前にある踊り場とでも表現すべき場所。
その狭い場所なだけに、あの長刀は使いにくい筈。
そう思って戦いを挑んだのだが、まさか……
「自分から真名を告げるとは……なっ!」
アサシンの懐へと潜り込むべく、地面を蹴って前へと出る。
俺の場合は戦闘方法が格闘である以上、相手の武器がなんであれ前に出るしかない。
だが、このアサシン……佐々木小次郎の場合は、敏捷が俺とそう大差ない。
不幸中の幸いだったのは、ここが山門の前にある踊り場だという事か。
おかげで敏捷はライダーやランサーとの戦闘の時程に重要ではない。
こちらにの首を刎ねるかのように長刀の刃が首へと迫る。
けど、その長刀だ。懐に入り込まれれば、それこそ何も出来ないだろう。
そう判断し、長刀の刃が届く寸前に姿勢を低くし、地を這うような体勢になったところで……ゾクリとした悪寒が背筋を走る。
本来なら相手へと踏み込む1歩で地面を蹴り、真横へと跳躍。
瞬間、俺が一瞬前までいた空間を長刀の刃が通り過ぎていく。
こいつ、あの一瞬に手首の動きだけで長刀の軌道を変えたのかっ!?
「……やるな」
「そちらこそ。いや、愉快愉快。この涼しげな月夜の晩に、お主程に腕の立つ者と戦えるとはな。これでお主も剣士であればもっと良かったのだが」
「武器が格闘で悪かったな」
「ふむ、こちらも名乗ったのだ。出来ればそちらも名乗って欲しいものだが」
長刀を構えながら告げるアサシンに、拳を構えつつ口を開く。
「アークエネミーだ。……悪いが真名は秘密でな」
「ほう? なるほど、イレギュラークラスというものか。此度の聖杯戦争は、ほとほとイレギュラーが好きと思える」
「……どういう意味だ?」
俺のクラスがイレギュラーだというのはいい。それはクラス名を見ればすぐにでも分かる。
だが、イレギュラーが好き……それは、俺以外にも何らかのイレギュラーがあるということだろうが……何を意味している?
「さて、残念ながらそれを話す舌は今のところ持っておらん。だが、そうだな。私を倒せたのなら、教えてやってもいいが?」
「そうか、そう言われたのなら是が非でも倒したくなってきたな」
『凛、援護を』
『しょうがないわね。けど、無理はしないでよ? いつキャスターとマスター2人が姿を現してもおかしくないんだから』
念話で短くやり取りし、次の瞬間には再び地面を蹴って前へと出る。
さっきのやり取りだけで分かった。
確かにこのサーヴァント、佐々木小次郎はステータス的に見れば決して強いとは言えない。
けど、ステータス表記されていない純粋な技量という面で考えれば、これまで戦ってきたサーヴァントと比べても上位に位置する。
それこそ、セイバーやランサーといった3騎士のサーヴァントと比べても技量が上だ。
正直、こいつのどこがアサシンだって感じがする。
しかも、俺の対英雄のスキルは相手のステータスを下げるという能力を持っているけど、技量はステータスに表記されていないから下がりようがないというのも痛い。
けど、やりようなら幾らでもあるのは事実。
真っ直ぐ……今度は地を這うようにとかではなく、ただひたすらに真っ直ぐアサシンへと向かって突き進む。
佐々木小次郎。その真名が事実であれば、あの長刀の名前は物干し竿。
巌流島の決闘で宮本武蔵に負けた、あの佐々木小次郎なのだろう。
そうなると、燕返しとかを使ってくる可能性もある。
それでも……そう、それでも今の俺であれば、そんな相手にも対抗が可能な武器がある。
ヒュッ、という鋭い風切り音と共にこちらに向かってくる物干し竿の刃。
その刃の軌道が先程同様に俺の首へと向かっているのを確認し、念動力を発動。
次の瞬間には俺の首へと吸い込まれる筈だった物干し竿の刃は、空中で動きを止められていた。
「な!?」
これはアサシンにとっても予想外の出来事だったのだろう。
佐々木小次郎である以上、武器は当然この物干し竿しかなく、その唯一の武器を念動力で空中に固定されたのだから、驚愕するのも当然だった。
よし、これなら様子見とかじゃなくて、一気にアサシンを倒せる!
地面を踏む混む足に更に力を入れ、右手を貫手へと変えて力を籠める。
同時に回避しようとしたアサシンを、凛の放ったガンドが妨害する。
あのバーサーカーの皮膚すらも貫いた一撃。
バーサーカーよりもステータスが圧倒的に低いアサシンであれば、この一撃を受けて無事で済む筈はない!
そう判断し、実際その一撃はアサシンへと叩き込まれそうになった、その時。
自分に向けられる害意を感じ取った俺が選んだのは、その場所から大きく飛び退る事だった。
次の瞬間、一瞬前まで俺がいた場所へと無数の魔力弾が叩き込まれる。
「ちぃっ、何だ!?」
視線を魔力弾の飛んできた方へと向けると、そこにはまるで翼のようにローブを広げた女の姿が空中に浮かんでいた。
同時に、その翼の如きローブの周囲には幾つもの魔方陣が浮かんでいる。
「キャスターかっ!」
「ええ、ごきげんようイレギュラー」
俺をイレギュラーだと知っている?
いや、俺が戦闘している光景を見れば、本来召喚されるべきサーヴァントじゃないってのはすぐに分かるか。
となると、キャスターはアサシンとの戦闘の様子か、あるいは他に今まで行われた戦闘の様子か……どちらにせよ、見ていたのは間違いないだろう。
『どうする、凛?』
『退くわよ。決まってるでしょ。このままここにいて、更にマスター2人を相手にするなんて、どうにもならないわよ。あんたが宝具の類を使えるならまだしも』
だろうな。
そう思い、階段の途中にいる凛の側へと跳躍して着地する。
「あら、もう帰るのかしら? こちらとしては、貴方達とゆっくり話をしたかったのだけれど」
「生憎と、サーヴァント2人を相手にする程自信家じゃないのよ」
そう告げる凛は、俺に視線で合図をしてくるが……
「そう? あのヘラクレスを相手に1度とは言っても勝利を収めたのでしょう? なら私達を恐れる事はないと思わない?」
ちっ、やっぱりここ以外の戦闘も覗いてたか。
『アークエネミー、退くわよ』
凛に促され、俺は背後のアサシンとキャスターを警戒しながらも階段を下りていく。
……不思議なことに、キャスターにしろ、アサシンにしろ、追撃の類は全く行われず、そのまま俺達を見逃したのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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