戦国異伝
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第二百二十七話 荒木謀反その七
「ではな」
「戦の用意は出来ております」
「では最後まで、です」
「我等は殿と共に」
「戦いまする」
「頼むぞ、本丸と要所は渡すでない」
絶対にというのだ。
「こうした場所はな」
「我等で、ですな」
「何としてもですな」
「守り抜く」
「あの浪人達に任せずに」
「我等だけで」
「そうするのじゃ」
こう彼自身の家臣達に言い籠城の用意をさせた、そして。
遂にだった、まずは大坂城と姫路城からだった。
織田の軍勢が来て城を囲んだ、それから。
他の軍も来てだ、信長もだった。
安土から軍を率いて来た、しかし。
主な将帥は揃っていてもだ、その数は。
「やはりです」
「十万もいません」
「その数は大したものではありません」
信長が動かす数にしてはというのだ、荒木の家臣達は有岡城の天守閣から城を囲む軍勢を見つつ共にいる荒木に話した。
「対する我等は一万」
「浪人達も入れてです」
「それだけです」
「浪人の数はやけに集まりましたが」
それで一万だというのだ。
「それではですな」
「最後の最後まで戦いますか」
「この城を枕として」
「そのうえで」
「うむ、では攻めてくればな」
その時はとだ。荒木も言う。
「よいな」
「はい、では」
「我等も武士」
「この城においてです」
「見事討ち死にします」
「その覚悟です」
「その覚悟聞いた、ではじゃ」
荒木はあくまで自分についてくれた家臣達にこうも言った。
「わしの命にはじゃ」
「絶対にですな」
「従え」
「そうですな」
「そう仰るのですな」
「それを破れば切腹じゃ」
こう断を下すというのだ。
「そのこともわかってもらう」
「では」
「敵が攻めてくればですな」
「迎え撃ち」
「そしてですな」
「殿が命じられるままに」
「戦ってもらう」
このことを誓わせるのだった。
「よいな」
「はい、さすれば」
「我等はです」
「殿のお言葉に従い」
「そして」
「戦い抜きます」
荒木の家臣達は最後の最後まで荒木の言葉の通り戦うつもりだった、荒木はそのことを確認してだった。戦に入る様に見せていた。
だが信長はその荒木がいる有岡城を本陣から見てだ、こう言った。
「やはり十二郎じゃ」
「と、いいますと」
「上様、何か」
「何かおありでしょうか」
「うむ、本丸と要所は押さえておる」
有岡城のそういった場所はというのだ。
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