ドリトル先生の水族館
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第五幕その十二
「元々は外来種でね」
「へえ、そうなんだ」
「鯉さん達もなんだ」
「最初から日本にいなくて」
「増えたものなの」
「実はね。まあ定着したけれど」
それでもというのです。
「外来種は気をつけて国に入れないといけないんだ」
「複雑な問題がまだあるんだね」
「亀さん達にしても」
「そうしたお話があって」
「気をつけないと難しいんだね」
「そうだよ、ではアマゾンの亀君であるね」
ここでお話が戻りました、先生が今水族館を巡っている本来の目的に。
「マタマタ君達のところに行こう」
「ああ、この亀さんだね」
「そうだよね」
沢山の亀さん達が一緒にいるその水槽の中にです、大きな木の葉を思わせる形の首の長い亀さん達がいます。その亀さんがマタマタです。
そのマタマタさんを見てからです、先生は言いました。
「じゃあこれからね」
「亀さん達のコーナーに入って」
「そしてだね」
「マタマタ君とお話をするよ」
こうしてです、先生は実際にそのコーナーの中に亀さん達の飼育係のおじさんと一緒に入ってでした。
そのうえで係の人にです、事情を聞きました。
「実は最近元気がなくて」
「そうみたいですね」
「どういう訳か」
「ではマタマタ君自身からお話を聞いてみます」
「お願いします」
係の人も応えてでした、先生はそのうえでお話を聞きました。
「元気がないそうだけれど」
「最近寝られなくてね」
マタマタさんは自分のところに来てくれた先生に答えました。先生の周りにはコーナーの中の亀さん達が皆集まってきています。
「どうにも」
「寝られないんだ」
「そうなんだ」
「それはまたどうしてかな」
「うん、実はね」
「実は?」
「気になることがあって」
それで、というのです。
「僕はお水の中にいるのが好きだけれど」
「君はそうした種類の亀君だからね」
「そうだけれど妙にね」
「妙に?」
「ここのお池のお水は僕が身体を全部入れるには少し浅くて」
「そこが気になってなんだね」
「あまり眠れないんだ」
これがマタマタさんの不眠症の理由でした。
「だからなんだ」
「そうなんだ、じゃあ」
「うん、もっとお池のお水の深さがあるといいんだけれど」
「僕にとっては深いかな」
「僕は浅いよ」
他の亀さん達もお話します。
「どうにもね」
「僕には丁度いいけれど」
「色々な種類の亀がいるけれど」
「そのそれぞれで好きな深さがあるから」
そのお水の、です。
「だからね」
「一つのお池だけだと」
「皆には合わないんだ」
「極端に気になる訳じゃないけれど」
「それはね」
「多分僕は神経質なんだと思うよ」
マタマタさんは自分の気質のことも言いました。
「けれど気になるから」
「わかったよ、じゃあね」
先生はマタマタさんと他の亀さん達のお話も聞いてでした。係員のおじさんに事情をお話してそのうえでアドバイスをしたのでした。
「お池を区分してお水が浅いところ、深いところを作りましよう」
「亀達それぞれに合わせて」
「はい、そうしましょう」
こうアドバイスしました。
「それでどうでしょうか」
「わかりました、それじゃあ」
係の人も頷いてでした、そのうえで。
亀さん達のお池はそれぞれの亀さんが快適に暮らせる様に幾つかに区分されてど亀さん達も快適に暮らせる様になりました。マタマタさんも安眠を取り戻すことが出来ました。
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