ドリトル先生の水族館
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第五幕その七
「また違うんだ」
「ううん、進化って絶対に正しいんじゃなくて」
「そうでもないんだ」
「進化しなくてもよくて」
「そのままでいてもいいんだ」
「そうだよ、進化といってもいい進化でない場合もあるしね」
ここで先生がお話するよくない進化はといいますと。
「この前トミーがしていた日本のテレビゲームでね」
「ああ、日本ではそうしたゲーム多いね」
「それも凄くね」
「ネットのゲームもあるけれど」
「そっちのゲームもかなり多いね」
「そのゲームの中でも大人気のシリーズの四作目でね」
先生のお話は続きます。
「進化の話だったけれど」
「その進化がなんだ」
「よくない進化だったんだね」
「そうだったの」
「うん、魔族の王だったキャラクターが魔族かね」
魔族どころか、というのです。
「人に近い姿が巨大で禍々しい化けものになったんだ」
「化けもの?」
「人に近い姿が化けものになるんだ」
「それはね」
「かなり問題よね」
「そうした進化は」
「そうした進化を選んだのは恋人を殺された復讐心からで」
殺された恋人の恨みを晴らす為にというのです。
「自分が進化して強い力を持とうとしたからだったんだ」
「そしてその進化がなんだ」
「化けものになってしまう進化で」
「よくなかったんだね」
「そうだよ、もっともそのキャラクターは復讐心にとらわれて心が化けものになってしまっていたから」
既にその心がというのです。
「その心に従ったと言ってもいいけれどね」
「人は姿形で決まるんじゃない」
「心で、だよね」
「先生がいつも僕達に言ってるけれど」
「人は心で人になる」
「心が人なら人だよね」
「そうだよ」
先生はいつも皆にこうお話しています、だから動物の皆もそうした広い意味において人と言っていいものだというのでうs。
「だからそのキャラクターはね」
「心が化けものだったから」
「姿形まで化けものになった」
「そう言えるんだね」
「うん、けれど進化のことを語るとね」
そのキャラクターのそれをです。
「そうも言えるね」
「悪い進化もある」
「そういうことなのね」
「うん、僕も再認識したよ」
トミーがしていたそのゲームを観て、というのです。
「幸いそのキャラクターは助かって主人公の味方になったけれどね」
「それはよかったね」
「悪い進化から解き放たれてね」
「姿形も心もだよね」
「化けものじゃなくなって」
「恋人が生き返ってね」
そして、というのです。
「恋人に助けてもらってなんだ」
「化けものじゃなくなって」
「魔族に戻ったんだね」
「魔族は生物的には人間じゃないけれど」
「心が、だからね」
「そうなるよ、本当にね」
それこそとも言う先生でした。
「進化っていっても様々であることはね」
「僕達も知っておいた方がいいね」
「その中には悪い進化もある」
「そして進化しなくてもいい」
「そういうものなんだ」
「そうだよ、世の中はね」
それこそというのです。
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