オズのポリクローム
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第五幕その七
すぐに見えなくなってしまいました、その雲が見えていた場所を見ながらです。
ジョージはしみじみとしてです、こう言いました。
「飛行船は遅いっていいますけれど」
「うん、それでもね」
「襲いっていってもね」
神宝とカルロスがジョージに答えます。
「船とかよりはね」
「ずっと速いよね」
「もうあっという間にね」
「雲が見えなくなったよ」
「そうだよね、飛行機とかより襲いっていうだけで」
他の乗りものや移動手段と比べると、というのです。
「速いよね」
「そうだよね」
「飛行船は速いよ」
「だからポリクロームさんのお家に着いたのも」
それもだとです、ジョージは言うのでした。
「すぐだったんだよ」
「確かに最初思っていたよりも」
「早く着いたわね」
恵理香とナターシャも言います。
「それで今も」
「もう雲が見えなくなったから」
「飛行船は速いわ」
「夜も昼も動いているし」
「そうだよね、飛行船は速いと思うよ」
また言ったジョージでした。
「この飛行船自体もね」
「そんなに速いかな」
魔法使いは操縦を自動にしたうえでジョージ達のところに来てお話に加わってきました。ドロシーやポリクローム達も来ました。
「この飛行船は」
「はい、そう思います」
「ううん、オズの国は他にもね」
「速い移動手段がありますね」
「空を飛ぶのならガンプもね」
かつてオズマが男の子だった時に都から脱出するのに使った鹿の剥製を中心とした空を飛ぶ大きな箱です、
「凄く速かったよ」
「ガンプね、私はあの時オズの国にいなかったけれど」
ドロシーはその時のことはお話に聞いているだけです。
「凄く速くてオズのお空を飛んだのよね」
「そうらしいね」
「ガンプも速くて」
「木挽きの馬も速いよね」
「あの馬なんてもうオズの国だと何処でも一瞬よ」
一瞬で目的地まで行けるというのです。
「それこそね」
「そうだよね、他にも速く動ける移動手段はあるし」
「飛行船だけじゃなくても」
「速いものは多いけれど」
「いえ、飛行船もです」
実際にとです、ジョージは魔法使いとドロシーにも言います。
「速いですよ」
「それはあれかな」
「お昼も夜も進めるからじゃないかな」
臆病ライオンと腹ペコタイガーがここで言いました。
「だからじゃないの?」
「ジョージ達が速く感じる理由は」
「僕達もこの飛行船はそんなに速く感じないけれど」
「いつも動いてるからね、この飛行船」
「それを考えたらね」
「速いかもね」
「いつも動けると」
ポリクロームも言うのでした。
「その分だけ前に進めるからね」
「そのことはやっぱり大きいね」
トトは今もドロシーの足元にいます。
「かかしさんや木樵さんもそうだしね」
「かかしさんや木樵さんだと」
ここでまた言ったポリクロームでした。
「それこそ休む必要がないから」
「前に進もうと思えばね」
「かなりの距離を進めるわ」
「いつも動ける」
トトははっきりと言いました。
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